建築現場の写真を撮るのが好きになりました。それには、念願の住まいがもうすぐ完成するということ以外に、もうひとつ理由があることに気づきました。元来建築現場が好きなのです。
建築業界とは何の関係もない仕事をしてきました。でも家の図面を描くのは若い頃から好きでしたし、家に限らずとも、設計図を描いて、土台を作って、その上に構築物を組み上げていく。しかも最初の設計図をもとにしながらも、作りながら変更を加え、よりよいものを目指す・・・そして出来上がりを楽しむ。そういうプロセスがとても面白いのです。
たとえば、駐車場の屋根を作っているこの人の作業について考えてみましょう。もともとの平面的な設計図は彼の頭の中に入っています。ところが立体的な構造は作りながら考えているのです。なぜそう言えるかというと、昨日、母屋の図面を貸してくれと言ってきたからです。彼は既に建っている平屋の屋根の高さを確認してから、この車庫の屋根の高さを昨日決めたのです。単に図面に基づいて機械的に組み上げているのではありません。屋根の高さには彼のバランス感覚が表現されていると私は考えました。
このように思いをめぐらせながら現場を眺めていると、飽きることがありません。柱を立てたり、コンクリートを塗ったり、色を塗る作業も職人さんの感性を感じます。建築現場は、設計図を描く段階から最後の仕上げに至るまで、創造的な現場です。だから、建築現場は見ているだけでも面白いのです。
その意味では、大工さんの仕事はきついけれども、きっとやり甲斐があります。ああでもない、こうでもないと年中注文ばかりつけられると、うんざりするでしょうが、図面にはないちょっとした工夫をして、施主から「さすがプロだね」と言われると、きっと嬉しいものだと思います。工場で規格品を組み立てる作業とは、かなり違う世界です。
そうはいっても、ブロックを積み上げる作業は、どう考えても単純作業ですね。誰でも簡単にできる仕事とは思えませんが、やたら個性を出すとまずいでしょう。創造性を発揮できる場面は、仕事のプロセスのごくごく限られた部分なのです。それは、どんな仕事にも当てはまります。
わが家の完成を目前にして感じること。それは、建築が集団のチカラで成り立っているということと、大工さん個人の能力・個性がどこかに必ず現れる創造物だという2点です。最初に設計図を描いたのは、家の間取りも、外構工事の平面図も両方とも私ですが、もうとっくに私の手を離れていて、出来あがったものは、携わった大工さんの汗の結晶以外のなにものでもありません。
毎日現場にいると、なぜだか、ずっと大工さんと一緒に作り続けたい気持ちになってくるから不思議です。本当は、見ているだけなのに・・・・
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建築は総合芸術ともいいますから、超創造的。プロセスも楽しく美しいものなのでしょう。作業者の腕がよければなおさらですね。
今後この舞台装置で繰り広げられるドラマにも期待しております。
家づくりは、ほとんどドラマティックな出来事もなく完成を迎えてしまいました。妻は、引っ越した後からがいよいよ本番という構えです。私は目標を失って虚脱感に襲われるかもしれません(笑)。
家族のこと、とくに子供たちのことは、これからもカッコつけずに書いていきます。今後とも、応援よろしくお願いします。