妻がバート・プラチャーチョン(タイ国民のIDカード)を更新した話を以前書きました。IDカードはタイ人がタイ国内で暮らしていくために必須のものですが、もうひとつ重要なものに「タビアンバーン」があります。タビアンバーンは「住居登録証」と訳すのがいいと思います。これは日本の住民票と似ているようで性質が違います。
日本だと、賃貸アパートに住んでも世帯主になれます。しかしタイでは自分の所有する家がないと、世帯主としてタビアンバーンを持つことはできません。賃貸などに住んでいる人は誰かのタビアンバーンに入れてもらわなければならないのです。例えば、妻はこれまでカムペンペットにある実家のタビアンバーンに入っていました。娘と息子はバンコクの同じ地域に住んでいる学校の先生のタビアンバーンに入れてもらっていました。
妻のように、チェンマイに自分の家を所有することになると、自分のタビアンバーンを新しく作ることができます。家が完成してなくても、だいたい4分の3出来上がった時点でOKです。そこで、昨日、妻は自分のタビアンバーン(住居登録証)を作りに役場に行ってきました。
ここは役場の敷地内にある住居登録専用の部署です。私たちの新居のあるチェンマイ県・サラピー郡は4つの町に別れているみたいで、入口も4つありました。(正確には、サラピー郡は12の行政区(タンボン)、105以上の村(ムーバーン)から構成されています)
右奥の女性が決済権限のある管理職です。妻と同じカムペンペットの出身でした。
タビアンバーンの申請には、家の存在する地区(町村)の一番偉い人(プーヤイ・バーン=地区の長(おさ))の承認が必要です。また家の写真も提出しなければなりません。条件は、外壁に色が塗られていること、玄関の戸がはめられていること、この2点が絶対条件です。私たちは自分で撮影した家の表裏、両横の写真8枚を持ち込みました。すると担当者がその中から4枚を選んで書類に貼り付けていました。地図は、私が手書きしなければなりませんでした。そこに妻がタイ語で道路の名前や目印の建物名を記入しました。もちろん、妻のIDカードを合わせて提出します。
さらに、新築の設計図書も必要でした。家の間取り図だけではなく、基礎や柱の構造の詳細まで描いた分厚い設計図書です。私たちは持っていなかったので、その場で建築会社に電話すると、15キロ離れているのに、20分後にはオートバイで持ってきてくれました。役場の担当者はその冊子をぱらっと2~3ページめくって見ただけで「はい結構です」と言われ、やってきた建築会社のバイト君はたった1分で、また設計図書を持ってトンボ返りしました。とてもユーモラスな光景でした。
さて、妻がもらったタビアンバーンです。タイ人にとっては珍しくもなんともないものです。でも自分のタビアンバーンを所持できるのは大きな喜びのようです。
ここには、この日確定した家の番地の入った住所と、家の所有者である妻の名前が記載されています。では妻の住民票がこれかというと、実はそうではないということを発見しました。このタビアンバーンを作った後、自分をこの住居に登録しなければならないのです。ちょっと分かりにくいですが、これは「住居登録証」です。このあとに、改めて「住民登録」しなければならないのです。日本で言えば、住民票の世帯主の欄とは別に自分の名前を登録するようなものです。でも日本だと、そこに住んでいない人が世帯主にはなれないと思いますが、タイではなれます。要するに、家の大家なのです。
理論的には、IDカードを持っているタイ人なら、誰でも大家さんである妻のタビアンバーンに入れてあげることができます。人数制限はとくにないようです。もうお分かりと思いますが、タビアンバーンに登録されている人は、必ずしもそこに住んではいないのです。日本の住民票とは少し意味合いが違いますね。
ところで、タイ人ではない外国人の私も妻のタビアンバーンに登録することができると、役場の人は言っていました。所持しているパスポートの必要なページのタイ語訳がいるとのことでした。後日やってみようと思います。
このタビアンバーンに子供たちも登録して、学校にコピーを提出しなければなりませんし、健康保険を作る時もこれが必要になります。健康保険は、以前は「30バーツ保険」と呼ばれていましたが、今は「バート・トーン(黄金のカード)」と呼ばれています。タイ人であれば実質的にタダで医療を受けることができます。これについては、またあとで書くことにします。
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辞書を調べると、
①戸籍謄本
サム(v)ナオタビアンバー(^)ン
↑本件の書類
②住民登録
ロンタビアンサム(v)マノークルア
となってました。
しかし、日本でいうところの戸籍謄本とも住民票とも違い、タビアンバーンは家の所有者と住所の登録で、それに住人が追加登録される、ということですか。
(姻戚関係は記載なし)
なるほど、です。
สำเนาทะเบียนบ้าน
ลงทะเบียนสำมะโนครัว
感想としては、日本の制度より格段に柔軟に使えます。赤の他人のタビアンバーンに、一緒に住んでもいないのに、まるで家族のように登録してもらうことができますからね。
とにかく、本当はどこに住んでいるかということを驚くほど問題にしない社会制度です。日本だと、運転免許の住所までいちいち本当の住所に変えろと言われるでしょ。タイでは考えられないことです。