楽園づくり ~わが家のチェンマイ移住日記~

日本とタイで別々に生活してきた私たち家族は、チェンマイに家を建てて一緒に暮らし始めました。日常の出来事を綴っていきます。

チェンマイで家を借りる(2)

2012-01-09 16:44:47 | タイの暮らし

その日(1月5日)の夕方になって、借り上げタクシー運転手のおばちゃんから妻に連絡が入りました。「ノンホイに空き家が2軒ある」というのです。ノンホイは、わが家の土地からそれほど遠くありません。5キロくらいでしょうか。早速行ってみることにしました。

 

その空家は、去年5月に一度だけ宿泊したことのある、一風変わった日本のラブホテルのような造りをした「アドベンチャーホテル」の近所にありました。背の高いゴムの木が並んでいることで知られるチェンマイーランプーン街道(106号線)から細いソイに入って数百メートルの所です。同じような2階建ての空き家が2軒並んでいたので、すぐにそれとわかりました。

その前で待っていると、1年前に会った運転手のおばちゃんが歩いて現れました。あれっ?なんで車じゃないんだろう?

彼女はハイヤーの運転手をしているので、チェンマイ空港や中心部に車を出しやすいその場所に、実はもう一軒住まいがあったのです。自分の住まいのそばだから歩いて来たわけです。それに、空き家を見つけるのが早い道理も納得しました。

彼女は私たちを見るなり、「からだは大丈夫?」と、妻を優しく気遣ってくれました。そして挨拶もそこそこに、家主を呼んでくれました。

車でやってきたのは初老のご夫婦でした。さっそく2軒とも中を見せてもらいました。2つの家は、全く同じつくりで、左右対称になっているだけです。一軒は日当たりのよい角地です。築30年くらいでしょうか。1階にリビング、さらに一段降りたところに食事室とユーティリティスペース。台所は外です。2階には広めの寝室が3つあります。フローリングが相当いたんでいますが、6か月くらい住むのに贅沢は言っていられません。

家賃は1か月7000バーツです。便利な場所にあるので高くはないと思いましたが、1月~3月は住まないのです。4月から借りられないかと言ってみました。すると、奥さんのほうが即座に答えました。

「ほかにも人が見に来ていますから、それはダメです。でも1月から3月の3か月は、月5000バーツにしてあげますよ。」(う~ん、ちょっとねえ・・・・・せめて半額にしてほしいなあ・・・・・)全く住まないのに、15000バーツ余計に払うのには抵抗感がありました。いやなら、3月になってから探せばいいじゃない、という声が聞こえてきそうです(笑)。

私たちの顔色をずっと見ていた奥さんは、「じゃあ1月は2500でいい。4月からも1か月6000でいいです。」と、まけてくれました。こちらも頭の中で計算してみました。実質的に4月から6か月間住むとすれば、1か月の家賃はだいたい8000バーツの勘定になります。予算オーバーだけど、それなりの家なので、しょうがないかと思いました。

妻にきくと、便利な場所にあるので、とても気に入ったといいます。何でもすぐに気に入ってしまうのが妻の性格なのです。まだ躊躇している私を見て、ちょっとムッとしたように妻が言い放ちました。「いやなら契約しなくていいよ。でも、明日別の人が来るかもしれないよ。それでもいいなら、やめてもいいよ。」・・・これじゃあ、まるで妻が家主みたいですね。

時間を見ると、もう5時半近く。相当疲れたし、持ち合わせの現金も少なかったので、では、契約は翌日の午後3時にこの場所でと決めて、家主と別れました。ふと気が付くと、運転手のおばちゃんは、いつの間にか姿を消していました。急いで車を走らせ、前日に試乗した三菱Pajeroの販売店に駆け込みました。こちらは足かけ2日で、めでたく契約成立です。

 

翌日は夜バンコクに戻る日でした。サラピーの銀行に私名義の新しい口座を開設したあと、家も決まって時間ができたので、サンカムペーン温泉に行きました。わが家の土地からは40分とかかりません。ほとんど車の走っていない広い道路を独り占めできるので、久しぶりに妻に運転させました。相変わらず発車までの動作がのろく、いらいらしますが、免許をとって半年、運転歴はのべ4~5日ですから、我慢です。

 

サンカムペーン温泉はとても綺麗なところでした。色とりどりの花が目をなごませてくれます。そういえば、今はチェンマイで花博が開かれていることを思い出しました。でも、人がいっぱいのところは、私も妻も好きではないのです。

 

小中学生の団体が遠足に来ていました。もちろん入浴できる温泉が別にあります。ここは足だけ浸かれます。慣れるまでは結構熱い。でも子供たちは全然平気です。入場料は大人20バーツ(50円)ですから、家族で1か月に一度は来てみたいと思います。ここは思っていた以上によい場所でした。温泉というより、道中の自然が気に入りました。息子も喜びそうです。

 

さて、家主との契約の時間は午後3時と決めてあったので、銀行で少しお金をおろし、ちょっと早いけれど、前日の場所を目指しました。すると、2時に着いてしまいました。1時間どうやって時間を潰そうかと思っていたら電話です。運転手のおばちゃんらしい。私も多少ですがタイ語がわかるので、妻の受け答えで、話し向きは理解しました。なんと、近所にもう一軒あるというのです。

昨日2軒空き家があると言っていたのは、並んで建っている同じ間取りの2軒ではなく、別物らしいのです。「すぐ行くよ」そう妻は言い残して、車をさっさと降りて行ってしまいました。

あれっ、どこに消えたんだ?と、私も車から出て歩き始めると、すぐそばの別の家の玄関で、妻と運転手のおばちゃんと、見たことのない年配の女性が3人で話しています。昨日見た家から、たったの30メートルしか離れていません。しかし、今度は平屋です。一目見た瞬間に、こっちのほうがいいと直感しました。全体的にはこちらのほうが狭いのですが、住みやすそうでした。中に入ると、汚れていますが、掃除すれば何とかなりそうです。

 

 (見て5分で契約した家)

寝室は2つですが、なにしろリビングの広さだけは、昨日の家の2倍ほどもあります。断然住みやすいはずです。それに床の高さが台所を含めて1メートルは上がっているので、洪水も安心です。この場所での昨年の洪水の最高水位は、外壁の色の変化から見て、40センチ位だったようです。だから、この平屋でもだいたい安全と思われます。

家賃は1か月5000バーツです。家主の女性は最初から1月分はいらないと言いました。しかし2月と3月については、「たとえ住まなくても、月5000バーツいただきますよ。」人間、あまりにキッパリと言われると、まけてくれとは言い出しにくいものです。相手の顔色を見て話をする昨日の家主とは違って、今日の家主は毅然としています。

交渉はあっという間に終わり、すぐ昨日の家主に電話です。勿論キャンセルのためです。もし3時ごろそこに着いていたら、昨日の家を契約していました。でも1時間前に来てしまったので、別の家を見る時間ができました。それにしても、そのぎりぎりの時間に電話してくる運転手のおばちゃんは、やはり特別な存在に思われました。

 

 (車はレンタカーのCity)

さらに不思議な縁があることがわかりました。家主のご主人と、私の妻のおじさんが、同じ職場で働いていたことが分かったのです。家主のご主人は国家公務員で、幹部としてあちこちに転勤することが多かったそうです。そして妻の実家のあるカムペンペットで、ある役所の幹部として在職したことがありました。

一方、妻の叔父さん(母親の弟)は親戚の中でただ一人の公務員で、その役所で今も働いています。その話を聞いて驚いた妻が叔父さんに電話してみると、叔父さんは、家主のご主人の事をよ~く覚えていました。上司として大変世話になったというのです。

「世の中は狭い」とはよく言いますが、まさかチェンマイの借家探しで、このような偶然に遭遇することになるとは想像もできませんでした。「見えない糸」は、やはり存在するものなのですね。

家主のご主人はもう定年退職しています。タイ航空に務めている娘さんがいます。私たちが契約したこの家は、家主さんご夫婦が、子供さんがまだ小さい頃に住んでいた家だそうです。その後ご主人が出世したので、今は立派な家にお住いのようです。

 

借家探しは、まだ早すぎる気もしたのですが、ひとつでも移住の不安材料を消していく、という意味では早めに決めてよかったと思います。家賃も、今のバンコクの6500バーツよりは安くしたいという目標を達成できました。これも運転手のおばちゃんのおかげです。

どこにいても、縁は大切にしたいですね。

 

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
近くに温泉とはいいですね。 (teru)
2012-01-10 00:18:19
お気に入りの借家が見つかり良かったですね。
ハイヤーのおばちゃんはこれからのチェンマイ生活に、頼りになるかもしれませね。
私も昨年11月にサンカンペーン温泉の裏にあるルン•アルン温泉へ行ってきました。
ロッジに一泊し、バスタブにかけ流し状態で入浴しましたが、ほどよい熱さで久し振りに温泉を堪能しました。温泉たまごも美味しかったですよ。
4月からこの近くに引っ越しされるそうですが、温泉が近くにあるとはうらやましい限りです。
返信する
温泉 (うさぎ)
2012-01-10 09:14:42
teruさん、コメントありがとうございます。
私も今度はルンアルン温泉へ行ってみようと思っています。タイの温泉だから大したことはないと思っていたのですが、あのあたりの温泉はどこも泉質がいいそうです。わが家の土地のある場所からは、ほぼ1本道で25キロほどで行きやすいです。少し郊外の場所を選んだメリットのひとつでしょうか。
返信する
本格化してきましたね (Q太郎)
2012-01-10 15:02:33
移住の件も、いよいよ本格化してきましたね。
ところで、家を建てるに際し、「セキュリティ」のことはどうされるのでしょう。
日本でも最近は、警備会社と個人で契約を結ばれる方も出てきていますよね。

建築士の気まぐれ日記 - Yahoo!ブログblogs.yahoo.co.jp/ikemura83/folder/566517.html
これは、チェンライに分譲住宅を買われた方のブログですが、数年前に約200万バーツ出して購入されたようなのですが、やはり、「200万バーツも出せる」というのは、タイではお金持ちになるんでしょうね。
この分譲住宅の入り口には「警備員が3名も居る」そうです。
まあ、タイのことですから、この警備員が3名とも居眠りしていてもマンペライなのかもしれませんが(^_^;)、そうはいっても、居ると居ないでは大違いであることも事実でしょう。
チェンマイで「それなりの家を建てる」ということは、自分がお金持ちであることを告知しているようなものでしょうから、セキュリティに関しても、相応に考える必要があるのでしょうね…。
(ま、そんなことを考える必要の無い社会であることが一番なんですけどね。)
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タイの金持ち (うさぎ)
2012-01-10 19:24:18
Q太郎さん、コメントありがとうございます。
私の理解では、200万バーツの家を買う人は、金持ちとは言えません。本当の金持ちは高い塀で囲って、泥棒に入られないようにしています。見るからに一般庶民の家とはちがいます。屋根だけで400万バーツの家も見ました。そういうのを金持ちの家と言います。

警備員の常駐する住宅もたくさんありますが、私が買った土地は、出入り自由のところです。医者や軍人、警察官の家もありますので、それなりに立派な家もありますが、総じて中程度の家が多く、わが家もそのなかのひとつになるでしょう。塀の高さは、どの家も、子供でも越えられます。
泥棒に取られたら困るものと言えば、家そのものと、車だけでしょう。現金はいつも日本円で1万円も置いてません。
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セキュリティは (アオチンチン)
2012-01-11 14:54:46
泥棒対策だけを考えられる方多いようですが、それは大きな大間違いですよ。
ここは日本じゃないですから、泥棒=強盗になることもしばしばです。
今回の洪水時はそういうケースも話聞いています。
じゃあ塀を高くしたからいいのか?
これもマイネーチャイですね。
ただ周辺環境、雰囲気から聞いた話で思うのには、そんな治安云々を考えるような地域ではないのかと。

ちなみに、ムーバーンでガードマンと泥棒が組んで窃盗を働くっていうような話も聞きます。
最低でも、家の外回り(窓とか)に、鉄製の枠をはめ込むとかの対策は身近にできることのようです。

うさぎさんがおっしゃるように200万バーツ程度ならば、
そういう意味ではいわゆる普通の家。
ハイソな方の家なら、ガードマンや塀も含めてまだまだものものしい雰囲気の家になりますものね(笑)。
まぁ、タイもいろんな意味で物価は上がりましたが、こういう部分の進歩があんまりない国ですね。
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治安の地域差 (うさぎ)
2012-01-11 19:00:20
アオチンチンさん、毎度コメントありがとうございます。治安の悪いところと良いところの差が、一体どの程度存在するのか私にはよくわかりませんが、たとえば契約した借家の家主は、「ここは全然心配ない」と言っていました。その言葉を信じて被害に会えば、目も当てられませんけれど。

タイで強盗が多いのはやはりバンコクでしょうか?その点、高層マンションは安心ですね。仮に誰でも中に入れるとしても、玄関の鍵さえしっかりしていれば大丈夫ですからね。総じてタイの治安は、南部のような特殊な事情を除いて、良い方ではないですか。
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