(僕)前回のおさらいをします。お父さんは10年くらい前にタイ語の入門書を買ってきて、自分で何度も繰り返し勉強した。とくに付属のCDを何百回も聞いた。でもタイの普通の人が普通に話すタイ語には、今でもなかなかついていけない。そういうことでしたよね。
(父)はい、その通り。今日はその続きをお話ししましょう。
はじめの1年足らずは「東進ブックス」の会話入門書で勉強しましたが、実はすぐに浮気してしまったんですね。1年も同じ相手としていると、やっぱり飽きるというか、倦怠期に入ってしまうんですね。とくに毎日していると、別のに触手を伸ばしたくなるのが人情というものです。
(僕)ちょっと待って、お父さん。飽きるとか、ケンタイキとか、どういうこと?浮気って何なの?それタイ語とどういう関係があるの?食べ物でも、僕は毎日ステーキでも、多分飽きないと思います。
(父)いや、食べ物でも毎日同じものだったら、飢えてないかぎりはイヤになるよ。
(僕)そうかな~。そんなの科学的根拠がまったくありません。
(父)まあ浮気とか言うからややこしくなるけど、要するに、向学心に燃えて別の本も買ったってわけだよ。
これもCDを聞きまくりました。ほとんどの単語に短い例文が付いているので、比較的覚えやすかったです。全部で1500語くらいですが、タイ語のニュースを聞いていると、このとき覚えた単語がときどき出てきます。「ナーヨック ラタモントリー」(首相)とか、「ルアク タン」(選挙)とか。
当時はi-podのような便利な道具が世の中になかったので、SONYの携帯用のCDプレーヤーをいつも持ち歩いていました。
それからほかの入門書も買いました。同じ東進ブックスだったら浮気とは言いませんけど、今度はTLS(タイ・ランゲージ・ステーション)の本に手を出しました。
まったくの余談ですけど、そこの社長さんの昔のことを妻が知っていたので、新宿の会社まで会いに行ったことがあります。もちろん本はもらってませんし、というより名刺しかくれませんでしたし、そもそも何しに行ったのかすら憶えていませんけど。
TLSの本は「24時間で学ぶタイ語2」(CD付き)」、「日・タイポケット辞典」(CDなし)、さらに何故か、「男と女のタイ語会話術」(CD付き)の3点です。
このうち「日・タイポケット辞典」は妻にすぐとられてしまいました。20年近くも日本に居て、日本語もそこそこ話せるのに、自分では辞書を買ったことが一度もなかったんだそうです。まじめに勉強しなかったんですね、きっと。
さらに浮気は続きます。
「日常生活の中のタイ語会話・サワッディー2」(国際語学社)、これは初心者よりは少しレベルが上かもしれませんが、何度も勉強しました。残念なのはCDが付いていないことです。
辞書では「簡約タイ語辞典」(大学書林)というのを勉強し始めて2年目に買いました。値段は当時14,000円で、お安くはないのですが、1冊持っておいて損はないでしょう。ただし、タイ文字が読めない人には使えません。
そうそう、タイ文字で思い出しました。タイ語の勉強で絶対にやらなければならないのは、タイ文字を覚えることです。英語だってカタカナで読んだり書いたりして勉強した人はまずいないように、タイ語も文字から入る勉強法もあるくらいです。
ちょっと横道にそれますけど、タイ文字は読めないけど、会話はできるという人もいます。私の知っている人でバンコクに駐在した経験があり、日常会話がとてもうまいという人がいます。その人を知っているタイ人から、笑い話として面白いことを聞きました。
その人(男性)のタイ語は、夜覚えたタイ語なのだそうです。タイ人だったら、水商売の女性が使うタイ語はだいたい区別がつくんだそうです。彼の話すタイ語は、その系統のタイ語なので、彼がどのようにバンコクで時間を潰していたのか、すぐにわかるんだそうです。
ただ、夜の水商売と一口で言ったって、タニヤのクラブやカラオケでもピンからキリまであるでしょうし、高級クラブとゴーゴーバーで話すタイ語がまったく同じとは思えません。
(僕)お父さん、何の話してるの?カラオケとかゴーゴーバーとか、ママが聞いたら大変だよ。
(父)いや、全然心配ないよ。だってお父さんは夜タニヤに行ったことがないし、カラオケも入ったことがない。
(僕)じゃあ、ゴーゴーというのは?
(父)あぁ、タイの踊りを見るところだよね・・・・・・。1回か2回あったかな。10年以上前に出張で行ったとき。一緒に行った先輩がタイは初めてで、どんなところか見てみたいとせがまれて案内したことがあるだけだよ。
(僕)タイの踊りはゴーゴーって言わないんじゃなかった?僕知ってるよ、ゴーゴーダンスって、腰をくねくねさせてセクシーに踊るやつでしょ。もう、お父さんたらっ!そういうの好きなんでしょ。僕も好きだから許してあげるよ。でも案内したの?お父さんが・・・?逆じゃなくて?
(父)いきなり猫の登場とはどういう意味?その手はもうやめろということですか?
(僕)いや、まあそうだけど。白々しいこと言うのはやめなさい、ということだよ。
(父)どこまで話したのか分からなくなったじゃないか。えーと、えーと、タイ文字が大事だという話でしたかね。
これはなぜ大切かと言うと、アルファベット表記の場合はかなりOKだと思うんですが、カタカナは完全にアウトです。タイ語の発音を表せないから。
アルファベットだと、例えば・・・・(タイ文字を打とうとしても、このブログでは打てないことを今発見しました)、最近話題になったタクシン/インラック連合軍の「タイ貢献党」は英語(米語)では「Pheu Thai party」と書きますよね。このpheuはカタカナではどう表記すればよいのでしょうか。「プア」でしょうか、あるいは「プゥア」でしょうか?
「プゥア」が近いかもしれません。ただし「ゥ」は日本語の「ウ」とは違う音です。英語のあいまい母音に近いでしょう。だから米語では「pheu」と書きます。
ところが今度は「プ」が問題です。「p」じゃなくて「ph」です。日本語ではこの2つを区別できません。なので、カタカナ表記ではタイ語の発音ができません。いつまでたっても、間違った発音のままいることになります。
ですから、勉強し始めのころから、できるだけタイ文字に親しむに限ります。タイ文字であれば、微妙な発音の違いはすぐに分かります。ただし、正しく発音できるかどうかは、また別問題です。
(僕)タイ語の発音って、そんなに難しいの?
(父)そりゃ、お前さんにとっては朝飯前だよな。自然に身についてるんだから。
お父さんの正直な気持ちを言うと、タイ語の発音は英語よりやや難しい。とくに聞き取りが。
「p」と「ph」、「t」と「 th」、とくに「k」 と「kh」がむずかしい。お父さんの経験では「k」「kh」はほとんど絶望的に区別できません。ほとんど前後の文脈からわかるんですけどね。
ところが最近、とても勇気づけられることをあるタイ人から聞きました。それはタイ人でも、タイ語の発音は難しいそうです。とくに「r」と「l」をきちんと区別して発音できる人は最近少なくなってるんだそうです。
そういえば、テレビのアナウンサーなんかは「r」を巻き舌で発音して分かりやすくしてますね。ひょっとしたら、巻き舌にしないと正しく区別して発音できないのかもしれません。
(つづく)
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