ゴールデンカムイ23巻を読んでかなり印象深かった場面があるので書こうと思う。
拙い感想に過ぎないが、ご一読いただければ嬉しい。
※ネタバレというほどではないですが、気になる方は注意してください。
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ゴールデンカムイ第227話(野田サトル)で、戦場では敵を撃たない兵士が多いという気づいた鶴見中尉は、どうすれば兵士が敵を撃つようになるのかについて、道場の先生にこう語る。
「兵士の攻撃性を引き出す原動力となんもんは
敵兵への憎しみではねく恐怖でもねく
政治思想の違いでもねぇ…」
「それはなんら?」
「『愛』です」
『愛』を何と定義するかという問題があると思うが、
同様の考え方は戦争における心理を扱った他のものにも見られる。
古代ギリシャの神聖隊は同性愛集団だったそうだが、非常に強い軍隊だったと言われる。
性愛ではなくとも、最も大切ともいえる命を預ける仲間とは
恋愛以上の強い絆で結ばれていると言えるかもしれない。
「愛する仲間のために」は自身を少しでも正当化しながら、
葛藤しつつも殺人へ踏み切る要素になるのだろう。
また運命共同体といえる集団の中では、仲間からの失望というのも行動の要因になるそうだ。
『愛』は平和を謳うスローガンに用いられることも多いのに、
それが殺人に踏み切る強い要因だと言うことには、複雑な気持ちを抱く。
『愛』は強い感情であるが故に、その熱量は
味方を温めることにも、敵と見なした者を焼き尽くすことにも強く作用するのだろう。
ところで鶴見中尉が頭から垂らしている汁は一体何なのだろうか?
私は『感情』が流れ出ているのではないかと思っているが…