ミッドウィークのナイトゲームとなった天皇杯3回戦。J2で2位と好調の松本山雅を迎えての一戦は、しっかりと決定機をものにしたFC東京に軍配が上がった。
武藤を欠いたが、東京はほぼリーグ戦と同様のスターティングメンバー。エドゥー、渡邉、河野をFW3枚に置き、MFには三田を投入。久しぶりに梶山がベンチ入りを果たした。
一方、松本山雅はアウェイ愛媛戦から中2日という厳しい日程もあり、飯田らDF陣をベンチに下げたややリフレッシュも兼ねた布陣で応戦した。
松本の前線のアグレッシヴなプレーにやや受け身になりつつあった前半の東京。松本はメンバーチェンジをしながらも効果的なパフォーマンスが出せていたと思う。サイドからのクロスを飯尾がゴールマウス前で合わせたシュートやCKからのヘッドなどが決まって松本が先制していたら、ゲームの流れも多少変わったのかもしれない。
そのなかで、東京はドタバタせずに徐々に自分たちのペースに持ち込んでいく。松本の動きの予測に対応しはじめた30分過ぎからは、カウンターを中心に東京も細かなパスや太田からのクロス、徳永の持ち上がり、米本のミドルなど、攻撃の幅を広げながら、ジワジワとゴールに近づいていく。
前半はスコアレスで終えるかと思えた40分過ぎ、米本のミドルが松本DFに当たったボールがバーへ直撃。その跳ね返りをエドゥーが上手く拾ってシュートせずに中央へグラウンダーのパス。そこへタイミング良く河野が走り込んできて、FC東京が先制。この前半の先制が大きくものをいった。松本のDFは久々の先発のメンバーもいたが、大久保などはあまり対応出来ずに後手を踏んでいる場面も散見された。いつもの飯田のスタメンの時のように松本のDFに高さがなかった分、高さと幅どちらともケアしなければということが、どっちつかずになってしまったのかもしれない。
後半は、FC東京ペースで展開。前半までは力量差を感じなかったものの、終わってみれば、東京の23本のシュート数に対し、松本はわずか4本。松本は、常に90分ハードワークをする姿もこの試合に限っては見られず、後半中盤以降は松本の方が足が止まった感じ。80%を超える蒸し暑い厳しい環境の中でビハインドを埋めようと前へ焦った結果、ボールを奪われカウンター、あるいはミスパスにより攻守の切り替えも遅くなるなど、肉体的精神的に厳しいものとなってしまった。
その後は防戦一方の松本に、東京が攻め込む展開。東京はもう1、2点獲れたと思うが、そこを詰め切るところが次への課題となるか。途中から投入された石川は終盤ではチャンスも作ったが、投入当初はやや消えている感も。三田や河野も最初はややつっかかり気味なところもあった(アギーレ御前試合だから……という訳ではないだろうが)し、松田も冷静に選択していい場面もあった。チーム内競争がしっかりあって、そのために必死なところはいいが、半分は熱く、もう半分は冷静にというメリハリある判断を持てると、さらにいい結果に繋がるのではないかと思う。
まだ怪我が完治せず途中で交代したエドゥー、打撲でピッチをあとにした森重と、やや心配な要素はあるが、そこをチームとして上手く循環させて、出場したメンバーがベストを尽くすように、週末までに調整していきたい。
次回の天皇杯での相手は清水に決まった。だが、その前に、この週末の浦和戦。東京がリーグ戦で上位争いに踏みとどまれるのかどうかの大事な一戦だ。浦和は天皇杯で敗れ、勝利へのモチベーションが相当高まっているはず。それをホームで撃破し、さらなる上昇気流へと自ら導きたい。
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≪天皇杯 3回戦≫
【日時】2014/08/20 19:04
【会場】味の素スタジアム
【観衆】9,446人
【天候】曇
【気温】26.9度
【湿度】82%
【審判】(主審)西村雄一(副審)唐紙学志、清水崇之
【結果】
FC東京 2(1-0、1-0)0 松本
【得点】
(東):河野(41分)、平山(54分)
(松):
【FC東京メンバー】
GK 20 権田修一
DF 02 徳永悠平
DF 03 森重真人 → DF 50 松田陸(69分)
DF 29 吉本一謙
DF 06 太田宏介
MF 04 高橋秀人
MF 07 米本拓司
MF 08 三田啓貴
FW 17 河野広貴 → MF 18 石川直宏(60分)
FW 09 渡邉千真
FW 09 エドゥー → FW 13 平山相太(52分)
GK 01 塩田仁史
DF 33 椋原健太
MF 10 梶山陽平
MF 22 羽生直剛
監督 マッシモ・フィッカデンティ
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それにしても、平日で9000人超の入り。松本山雅サポーターは2000人くらい来たそうで、応援の一体感とともにその熱意には頭が下がりますな。