海外からの参戦は、アメリカからアルティストロワイヤル、イギリスからはペイパルブルとハリカナサス、ドイツからはサデックスの計4頭。ディラントーマスが回避したことで、迫力、実績ともに不足の印象が否めない海外勢がが、走ってみたら東京と相性が良かったということもありえなくもないので、完全に無視というのは少々危険だ。ホスト国日本の総大将はメイショウサムソン。鞍上も武豊と万全だ。今年に入ってアドマイヤムーンに敗れた宝塚記念2着以外は全て1着。大阪杯、天皇賞・春、天皇賞・秋と内容も文句なし。個人的にはこの馬はテイエムオペラオーを超える資質がある馬だと思っていて（3歳時の成績を考えれば、すでに超えているといってもいい）、父オペラハウス、母の父ダンシングブレーヴとこれからが充実期と思える血統からも、いくら穴党でもここは逆らえないか。休み明けの天皇賞・秋も完勝で、さらなる躍進が期待出来る。
インティライミはここにきて重賞2連勝とようやく本格化か。前走が京都大賞典で佐々木晶調教師、佐藤哲騎手コンビといえば、2003年のタップダンスシチーを思い浮かべる。体調も万全でローテーションもいいし、この馬が勝てばドラマティックこのうえないことだが、ツメが弱く一瞬のキレでしか勝負できない同馬に過度の期待は禁物ではないか。スムースに走れば有力な一頭に違いはないが。
アドマイヤムーンは前走天皇賞・秋で不利を受けての6着。宝塚記念を勝ってはいるが、父エンドスウィープの血統から考えると、どうしても距離延長が歓迎のクチとは思えない（父エンドスウィープ×母の父サンデーサイレンスは、ラインクラフト同じでマイラー気質）。また、初めて勝利したGIが宝塚記念という馬は、本質的にストレスのかかるクラシックディスタンスのレース（1600、2000、2400など）では勝ちきれないという印象があるので、人気になるようなら個人的には軽視したい。
ポップロックは前走天皇賞・秋で流れに乗れず不利も受けての4着。突き抜けるとまではいかなくとも馬券対象には充分なるだろう。
牝馬のダービー馬、ウオッカが参戦してきた。前走エリザベス女王杯では当日右寛ハ行のために出走取り消し、その後症状が回復しての出走となる。この馬にはいつもダービー馬という冠がついてまわるが、今年の3歳牝馬レヴェルが高いことには異論はないが、それがこのレースで通用するかはまた別次元の話。少なくともダイワスカーレットに3歳GIで2度破れ、宝塚記念で51キロの軽量でありながら、アドマイヤムーンと1.6差の8着と負けている同馬は、順調にこのレースに臨んだとしても、勝てる確率はかなり低いだろう。しかも本質的には短距離血統の母系ということもあり、優勝したダービーと同じ舞台ということ以外には強調する点は見当たらない。
それならば、故障休み明けとはいえ、昨年のJC2着馬ドリームパスポートの方が確率が高いのではないか。力を出し切ることが出来る状態ならば、好走してもまったくおかしくない。昨年末の有馬記念でディープインパクトの4着（0.6差）となった以外は、全て3着以内の馬券対象になっていて、3歳クラシックではメイショウサムソンと激戦を繰り広げ、菊花賞では2着（メイショウサムソンは4着）、その後の有馬記念でも4着（メイショウサムソンは5着）と先着している。騎手は安藤勝で、ここで勝つとエリザベス女王杯、マイルCSに引き続き3週連続GI制覇となってしまい、さすがにそれはないだろうという気もするが、その可能性も否定出来ないほどの馬であるのは確かだ。
海外勢に関しては、ゴールデンフェザント以来全く勝っていないアメリカ馬（アルティストロワイヤル）は軽視。日本の芝にはどうも合わないサドラーズウェルズ産駒のサデックスだが、ドイツ馬ということでランドの例もあるので抑えは必要か。前走アークトライアルで勝利したハリカナサスだが、同レースでハリカナサス56.5キロに対して61キロで3着に入ったペイパルブルを上位に見た。父は凱旋門賞馬モンジューで、モンジュー自身がJCに参戦した時は1番人気も期待を裏切り4着。日本の芝適性に疑問を感じさせたが、馬券対象の3着までには滑り込みそうな可能性という意味で考慮する余地はある。
インティライミにタップダンスシチーを重ねるという話は上述したが、もしかしたらタップの再現をするのはインティライミではなくヴィクトリーなのかもしれない。ダービー9着、菊花賞16着と皐月賞V以来のGIは惨敗しているが、前走菊花賞にしても出負けした時点で勝負あった。なかなかアテにしづらい気性だが、やはりこの馬は逃げてナンボなのかもしれない。皐月賞までは4コーナー先頭もしくは2番手の展開で、1着→2着→1着→1着（皐月賞）。それ以降は4番手、5番手、5番手で9着→3着→16着。
今回は鞍上がルメールに乗り替わるし、あれよあれよの大逃走でゴール前を沸かすシーンがあるかもしれない。母の父はトニービン、兄弟にリンカーンと東京の長距離で上位に食い込む力は充分に備わっている。
≪予想≫
◎ 10 メイショウサムソン
○ 02 ポップロック
▲ 14 ドリームパスポート
△ 07 ペイパルブル
△ 16 サデックス
☆ 06 ヴィクトリー
◇◇◇
≪結果≫
1着 04 アドマイヤムーン （岩田）
2着 02 ポップロック
3着 10 メイショウサムソン
4着 11 ウオッカ
5着 18 デルタブルース
アドマイヤムーン、岩田が涙の勝利。
レースはペイパルブルが出遅れ。そのペイパルブルは7着だが海外勢では最先着ということで、今年の海外勢はレヴェルが高くなかったということだろう。なんとチョウサンが引っ張る展開。横山典が一発かけたのかもしれない。メイショウサムソンは中段やや後ろ目とよくない位置取り。チョウサンが引っ張るもペースは遅い。結果的にチョウサンが6着に粘ったというペースで、中段後ろ、外を回ってでは、それほどキレがある馬ではないメイショウサムソンでは分が悪い。武豊らしい騎乗ではなかった、というかプレッシャーがかなりあって慎重になりすぎたのかもしれない。
前目につけたポップロックはペリエの好騎乗もあって戴冠かというレース運びをしたが、アドマイヤムーンのキレに最後は屈した感じ。舞台が中山ならば逆転は可能だ。
ウオッカは道中は最後方だったが、直線で一瞬突き抜けるかという脚を見せての4着。ダービーを制した実力は並大抵ではないことは証明した。ただやはりこのレベルとなると53キロの軽量でも突き抜けるまでにはいかないだろう。インティライミは10着、ドリームパスポートは14着といいところなし。ヴィクトリーはルメールをしても殿の18着。気性も距離もあるだろうが、この馬はやはり逃げなきゃダメだということを、誰か教えてやってくれ。
やっぱり、自分が一番人気馬を買うとダメですな。（苦笑）
