展開的には勝点3を奪う熾烈な両者に見えるも、その実は決定機を射止めきれない消化不良の応酬に終始。優勝争いから引き離されるかどうかの瀬戸際に。
神戸は積極的に前へ推し進める速いショートカウンター中心、FC東京は神戸のアンカー役高橋秀人の周囲を大久保嘉人が突いて高萩が高めの位置からパスを供給。一進一退の攻防が続くも、14分に中盤まで下りてきた大久保嘉人が前線に速いスルーパスを入れると、前田がワンタッチでDF裏へとフリック。これに反応した永井が長身の神戸GKキム・スンギュのはるか上を過ぎるループシュートをゴール左隅へ決めて、FC東京が先制。これを機にFC東京が次第にボールを支配し始め、神戸ゴール前へ迫る場面が多くなるが、神戸が最後は割らせない。すると、神戸も攻め立てられながらもカウンターで応酬するなど、我慢する展開が続く。
後半も序盤はFC東京にチャンスが訪れ、アタッキングサード近辺でのFKやCKを得る回数を増やすものの、ゴールを割るまでには至らず。後半から4-4-2の陣形にシステム変更していた神戸はあまりその成果が見られずにいたが、56分に松下に代わりウエスクレイを投入するとその展開も一変。63分にウエスクレイが右サイドからボックスへ侵入し、森重、田邉を素早くかわしてグラウンダーのマイナスのパスを送ると、中央にいた渡邉千真がダイレクトで合わせて同点に。
疲労と両者ともに勝ち点3を奪う姿勢が強くなると、終盤はオープンな展開でやり合う形に。神戸は小林成豪、田中順也、FC東京は中島、徳永、ピーター・ウタカを投入。FC東京は徳永を3バックの右へ配置し、太田らを前へ上げてクロスを送り込もうという戦術を選択する。中島の裏へのボールに走り込んだ徳永がゴールへ一直線に迫るもキム・スンギュの好判断でクリアするなど、決定機を演出するも、90分前後以降は神戸がその流れを掴み、FC東京ゴールへ攻め立てる。カウンターから高萩のチェックを掻い潜ったウエスクレイが中央を進むと右の小林へパス。エリア前でこれを受けた小林が切り返して左足のシュートを放つもFC東京のGK林が横っ飛びで弾くと、アディショナルタイム3分経過時に右エリア外から中央へのパスを渡邉がシュート。一度はブロックにあうが、そのこぼれ球を田中順也が狙いすましてシュートを放つも、再度GK林がスーパーセーヴでゴールを死守。それで得たCKでニウトンがヘディングシュートを放つも枠外となり、タイムアップ。上位を目指す両者にとっては勝ち点1を積み上げるに留まった、痛み分けとなった。
FC東京は早めに訪れたチャンスを決めていればということもあるが、やはりまだ個のパフォーマンスに依存した攻撃に頼りがちとなっている。得点を決めた永井の場面など、ダイレクトや素早いパス回しを繰り出せば好機を演出出来るものの、チャンスを拡大出来そうな場面でのボールロストやパスミスが多発。特に近い距離での弱く短いパスは神戸の格好のターゲットとなっていた。重心を前線へ移し始める時の東のパスミスや中盤での高萩のやや慌て気味の精度の欠いたパスは、神戸のカウンターを生む要因の一つとなっていたことは否めない。
それ以上に補修をあてがわなければいけないのはDF陣。特に森重は連戦の疲労からか精彩を欠くプレイが連戦で目立つ。FC東京が失点した場面も、エリア内でのファウルへの意識からかウエスクレイに対してタイトなコンタクトを避けて早々と両手を挙げる仕草で易々とボックス内の進出を許し、その後に対した田邉も同様なコンタクトで抜け出され、フリーの渡邉へ繋がれてしまった。さすがにスーパーセーヴを連発する林でも、DF陣の奮闘なくしてはゴール死守を続けることは不可能だ。チームの中核を外すのは勇気がいることには変わらないが、一度森重を休ませるという手も必要かもしれない。カップ戦ではそのチャレンジも可能なはずだ。
さらにいえば、交代カードが効果を発揮した神戸に対し、FC東京は豪華な駒を使いながらも、連動性をなかなか生み出せないもどかしさばかりを露呈。守備への負担や疲労度が増す夏場までに“チームの連係による攻守”を構築していかなければ、このもどかしさの解消は覚束なくなってしまう。
試合前は5位で迎えるもドローで7位まで後退したFC東京。勝ち点5差のなかに8チームがひしめき合う混戦ではあるが、得失点差などを考えると、今節で首位に立ったG大阪を抜くには実質勝ち点6が必要だ。同じ勝ち点の8位神戸の下の9位横浜F・マリノスは勝ち点3離れており、マラソンで言えばFC東京は先頭集団の最後方にいるといってもいい。ここで上位についていけないと、一気に脱落する可能性も孕んできてしまう。次節はミッドウィークのルヴァンカップを挟んでのホーム甲府戦。優勝戦線に踏みとどまるためには、現在14位と低迷する甲府には絶対に取りこぼしは許されない。心して臨みたい。
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【明治安田生命J1リーグ戦 第12節】
2017年05月20日(土)19:04 試合開始 ノエビアスタジアム神戸
入場者数 24,814人
天候 晴 / 気温 22.0℃ / 湿度 71%
主審 西村雄一 / 副審 清水崇之、大川直也 / 4審 川崎秋仁
神 戸 1(0-1 / 1-0)1 FC東京
≪得点≫
(神): 渡邉千真(63分)
(東): 永井謙佑(14分)
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【FC東京 メンバー】
≪スターティングメンバー≫
GK 33 林 彰洋
DF 02 室屋 成
DF 03 森重真人
DF 05 丸山祐市
DF 06 太田宏介
MF 27 田邉草民
MF 08 髙萩洋次郎
MF 15 永井謙佑 → 中島翔哉(69分)
MF 13 大久保嘉人
MF 38 東 慶悟 → 徳永悠平(74分)
FW 20 前田遼一 → ピーター・ウタカ(79分)
≪サブスティテューション≫
GK 01 大久保択生
DF 22 徳永悠平
MF 10 梶山陽平
MF 23 中島翔哉
MF 37 橋本拳人
MF 07 米本拓司
FW 09 ピーター・ウタカ
≪監督≫
篠田善之
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【2017明治安田生命J1リーグ FC東京 日程】
第01節 02/25(土)14:00〇FC東京 1-0 鹿 島(A・カシマ)
第02節 03/04(土)15:00〇FC東京 2-0 大 宮(H・味スタ)
第03節 03/11(土)19:00✕FC東京 0-3 G大阪(A・吹田S)
第04節 03/18(土)19:00〇FC東京 3-0 川 崎(H・味スタ)
第05節 04/01(土)16:00△FC東京 3-3 鳥 栖(H・味スタ)
第06節 04/08(土)19:00✕FC東京 1-2 札 幌(A・札幌ド)
第07節 04/16(日)14:00✕FC東京 0-1 浦 和(H・味スタ)
第08節 04/22(土)16:00〇FC東京 3-0 新 潟(A・デンカS)
第09節 04/30(日)15:00〇FC東京 1-0 広 島(H・味スタ)
第10節 05/07(日)14:00〇FC東京 2-0 仙 台(A・ユアスタ)
第11節 05/14(日)15:00✕FC東京 1-2 柏 (H・味スタ)
第12節 05/20(土)19:00△FC東京 1-1 神 戸(A・ノエスタ)
第13節 05/28(日)16:00 FC東京 vs 甲 府(H・味スタ)
第14節 06/04(日)13:00 FC東京 vs 清 水(A・アイスタ)
第15節 06/18(日)18:00 FC東京 vs 横浜FM(H・味スタ)
第16節 06/25(日)18:00 FC東京 vs 磐 田(A・ヤマハ)
第17節 07/02(日)19:00 FC東京 vs C大阪(A・金鳥スタ)
第18節 07/08(土)19:00 FC東京 vs 鹿 島(H・味スタ)
第19節 07/30(日)19:00 FC東京 vs 新 潟(H・味スタ)
第20節 08/05(土)19:00 FC東京 vs 川 崎(A・等々力)
第21節 08/09(水)19:00 FC東京 vs 大 宮(A・NACK5)
第22節 08/13(日)19:00 FC東京 vs 神 戸(H・味スタ)
第23節 08/19・20・18※ FC東京 vs 浦 和(A・埼 玉)
第24節 08/26(土)--:-- FC東京 vs 横浜FM(A・日産ス)
第25節 09/09・10※ FC東京 vs C大阪(H・味スタ)
第26節 09/16・17※ FC東京 vs 仙 台(H・味スタ)
第27節 09/23(土)--:-- FC東京 vs 柏 (A・ 柏 )
第28節 09/30・10/01※ FC東京 vs 磐 田(H・味スタ)
第29節 10/14・10/15※ FC東京 vs 甲 府(A・中銀スタ)
第30節 10/21・10/22※ FC東京 vs 札 幌(H・味スタ)
第31節 10/29(日)--:-- FC東京 vs 清 水(H・味スタ)
第32節 11/18(土)--:-- FC東京 vs 鳥 栖(A・ベアスタ)
第33節 11/26(日)--:-- FC東京 vs 広 島(A・Eスタ)
第34節 12/02(土)--:-- FC東京 vs G大阪(H・味スタ)
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