*** june typhoon tokyo ***

FC東京×川崎@国立 【ナビスコ】

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2009 
 
 ナビスコ準決勝までで5得点したカボレはいない。攻撃の軸として躍動した石川は怪我で戦線離脱。長友も手負いの状態…。戦前は強力攻撃陣を誇り、現在リーグでも首位にいる川崎が有利との声が大半だった。ジュニーニョ、チョン・テセ、レナチーニョのFW陣に中村憲剛、谷口……バックには代表GKの川島が控える。川崎の爆発力がフルスロットルとなって打ち合いとなれば、東京の劣勢は否めない。

 前半の半ばまでは、予想通り川崎が幾度もチャンスを作る。だが、東京は集中力を切らさず、前線からのチェイス、諦めずにマークしてプレッシャーをし続け、ゴールを割らせない。川崎は大きな決定機があったが、最後で枠をとらえずにいた。しかしながら、東京はシュートまではなかなか持っていけていなかった。

 そんな悪い空気を寸断すべく、米本がミドルレンジでシュートを放つ。しかし、このシュートが無回転の素晴らしい弾道で、川崎のGK川島の手をはじいてゴールネットを揺らした。まさに、値千金のゴールとなった。流れを東京に戻すばかりか、選手、サポーターに活気と勇気を与える一撃となったのだ。

 前半終了で1対0。この時点ではまだ川崎は慌てていないと思う。自分たちが点を返せば、一気に流れが変わる……そう感じていたに違いない。現に、リーグでは、東京は先制したにも関わらず、逆転を許して負けている。速いカウンターで東京ゴールへと迫る川崎攻撃陣。だが、この日の東京は体力や運動量の減退を余りある集中力でカヴァーしていた。
 ゴールへ突進しCKを獲得したレナチーニョが、ゴール裏を煽る。ヴォルテージが高まる川崎サポーター。ゴールの予感……そして、予感は現実になった。ただし、それは川崎のゴールではなく、東京がナビスコ優勝をさらに手繰り寄せるゴールだった。川崎のチャンスを摘むと、羽生から鈴木へパスがわたり、鈴木が左サイドを駆け上がりゴールへと向かう。中央ではそれに離されないように併走する平山。ゴールへと切り込んだ鈴木が平山へ絶妙のクロスをあげると、平山が渾身のヘディング。叩きつけられたボールは、GK川島の横をすり抜けネットを揺らした。

 後がない川崎は、前へ前へと迫ってくる。だが、焦っていることもあって上手く連動せず、前線はイライラし始める。
それでも川崎は前へボールを放り込んでくる。東京は平松、佐原を入れて、守りきる作戦に。その時もピッチ上の東京の選手の集中は衰えていなかった。ピッチには東京の選手は11人しかいなかったのだが、川崎にとっては見えない壁、それはとても強い意志を持った見えない壁が、ゴール前に立ちはだかっていたように思えた。藤山の、浅利の、石川の、カボレの、ベンチに入れなかったメンバーの、サポーターたちの……それらの想いが込められた見えざる壁が、川崎のゴールを阻止していたのではないかと思えるほどだった。
 
 ロスタイムは4分。川崎にとって、一気呵成で2得点を奪うには可能性がない時間ではない。しかしながら、川崎の攻撃は東京の強く粘りのあるディフェンスに、精神的に参っているようだった。ロスタイムはほとんど東京の自陣で、東京がクリアしたボールを拾った川崎がゴール前へ迫るという展開の繰り返しであったが、なぜか恐怖感はそれほどなかった。見えざる壁が川崎の気持ちを上回っていたのかもしれない。

 ピッチに試合終了の笛が鳴り響く。カップを掲げる瞬間が訪れる。今年はこれで終わりではない。ただ、今日だけはこのカップの頂点に昇り詰めたことを素直に酔いしれてもいいはずだ。ACLに出場し、リーグで首位の川崎に、大舞台でこれだけの試合をやってのけた。今日は褒め続けていいだろう。長友の2度の1対1の決定機を活かせなかったことも、梶山のちょっと不用意なパスも、今日だけはご愛嬌だ。

 2009年秋、城福東京、ナビスコ杯戴冠す。ただし、まだまだ成長途上中だ。
 

◇◇◇

2009 ヤマザキナビスコカップ 決勝

FC東京 2(1-0、1-0)0 川崎

【得点】
(東): 米本(前半22分)、平山(後半14分)


会場: 国立競技場
観客: 44,308人


≪STARTING LINE-UP≫
GK 20 権田修一
DF 33 椋原健太
DF 04 ブルーノクアドロス
DF 06 今野泰幸
DF 25 徳永悠平
MF 10 梶山陽平
MF 28 米本拓司
MF 18 鈴木達也 (→ 後半41分、佐原)
MF 22 羽生直剛 (→ 後半29分、平松)
FW 24 赤嶺真吾 (→ 後半15分、長友)
FW 13 平山相太
 
≪SUBSTITUTION≫
GK 01 塩田仁史
DF 03 佐原秀樹
DF 05 長友佑都
DF 08 藤山竜仁
DF 15 平松大志
MF 14 中村北斗
FW 32 近藤祐介
 
≪MANAGER≫
城福浩
 
◇◇◇

試合開始直前のFC東京のスタメン発表。
今回はナビスコ仕様ということでロング・ヴァージョン。
だが、いきなり…

「2016年オリンピック開催地」 (ん!?)
「リオデジャネイロに決定」 (…なんだぁ?)

って、余計なことを思い起こさせる。(苦笑)

「BUT」 (オッ)

「泣くな東京」 (お、おう…)
「笑えよ東京」 (お、おうっ!)
「東京には俺たちがいる」 (オーッ!! って、そうきたか…笑)

「川崎からお越しのみなさん」
「俺たちの国立へようこそ」 (!)

「国立での勝利は譲れない」 (そうだ! そうだ!)
「カップを奪い取れ」 (奪い取る!!)
「掲げよ東京」 (!!!!!)

という、東京らしい演出からスタート。
この笑いが試合後にも訪れることを祈って…

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試合直前に意気揚がる東京ゴール裏。

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川崎ゴール裏も臨戦態勢。

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川崎は真ん中に黄色い星(=1冠)をあしらったコレオグラフィを演出。

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それに対して、トイレットペーパーが舞う東京ゴール裏。

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両チーム選手整列。

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FC東京の円陣。

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円陣から戦闘体制へと移る川崎の選手たち。

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前半22分、それまでの劣勢を吹き飛ばした米本の無回転弾丸ゴールで東京が先制!
歓喜の東京ゴール裏。

200909
ロスタイム4分を守り切り、試合終了の笛。
東京が頂に立った瞬間。

200910
完封劇に沸くスタンド。
超強力攻撃陣を擁する川崎を相手に、無失点完封は素晴らしい。

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ピッチ上の選手が自然と集まる。

200912
優勝メダル授与を待つ東京の選手たち。

200913
バックスタンドのサポーターに挨拶する東京の選手たち。
この瞬間を見るために聖地・国立に足を運んだのだ。

200914
ゴール裏のサポーターに挨拶。石川、浅利、藤山、カボレのチャントも。

200915
満たされた気持ちで、後ろ髪をひかれながら国立を去る。
この後、味スタでの優勝報告会へ…と、行きたかったが、自分は東京ドームへ。(笑)
 

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