ルーカス・ポドルスキやハーフナー・マイクらの途中加入で注目される神戸をホームに迎えてのJリーグ第22節。終盤に大久保のスルーパスをサイドから駆け上がった室屋が折り返したところ、室屋に食いついた神戸GKのキム・スンギュが飛び出しがら空きとなったゴールへウタカが流し込み決勝弾。前節・大宮戦から中3日のタイトなスケジュールのなか、久しぶりに連勝を飾った。
得点場面は、徳永が右サイドから持ち上がったところを大久保にパス。サイド奥から内へ切り込むように走り込んだ室屋へジャストなタイミングでの大久保のスルーパスが通った時点で勝負あり。普段ならアタッキングサードへ持ち込んでも後ろへ戻してしまう徳永だが、大久保にパスしたことで攻撃の重心を前へ移したまま室屋のランニングを活かした攻撃に繋げられたことで、ゴールへの道筋を得た。個ではなく連動性を持って綺麗に相手を崩しての得点も久しぶりだ。
ただ、この試合はFC東京が自ら連動性を発揮して崩したというよりも、やや神戸の戦術、選手起用のミスマッチによるところが大きいゆえ、もろ手を挙げて喜べるかというと、甚だ疑問だ。
特に前半はほとんど主導権を神戸に握られてしまい、東が決定機にシュートを2本打つ場面もあったが単発に終わり、それ以外ではほぼ攻撃の形を作れず。相手のボールを奪ってビルドアップする際も安易なパスミスを連発し、自陣で守る時間が非常に長かった。その一方で、神戸もボールは支配するもののポドルスキと周囲との連係がイマイチで、攻撃に怖さが見られず。渡邉千真や小川慶治朗がファーストディフェンダーとして力を注いだ分、攻撃の推進力を減退させてしまっていたようだ。
神戸は後半頭から小川を下げてハーフナー・マイクを投入。前線に高さを見出した攻撃で活力を得ようとし、75分には渡邉を下げ小林成豪を入れたが、これがあまり機能せず。対するFC東京は、57分に東を米本にチェンジ。すると、米本のプレスやチェイスに苦労させられたか、神戸が引いて守る時間が多くなると、攻守の切り替えも鈍く、FC東京が主導権を握るようになる。FC東京は72分にウタカをピッチへ送ると、前線でボールを左右に散らばせ、あるいは自身でドリブル進出するなど、神戸DF陣を後手に回らせることに成功。
とはいえ、神戸の個の力も侮れず、途中出場のニウトンからポドルスキ、あるいはハーフナー・マイクへボールが通る時には一転してピンチに。80分にニウトンから左を駆け上がったポドルスキへ送ったアーリークロス気味の展開からのシュートや、85分の左からの橋本和のクロスを合わせたハーフナー・マイクのシュートを大久保択生がビッグセーヴで免れるなど、肝を冷やす場面もあった。
だが、その大久保択生をビッグセーヴが呼び水になったか、直後の87分。前述のFC東京のウタカのゴールへと繋がった。林が膝を痛めたとのことでゴールマウスを守ることになった大久保択生だが、これまで退場処分を受けるなど不安定な要素がつく印象もあったものの、この試合をビッグセーヴと無失点で抑えたことで大きな自信を得たと思う。
この連勝での勝ち点3は大きいが、前半の攻撃での大きな停滞や、ビッグセーヴに助けられたもののハーフナー・マイクについていけなかったDF陣やDF背後のスペースの対策、攻守における味方との距離感や連動性などの修正をいち早く施さなければならないのも事実。アシストはしているものの攻守の停滞の要因の一つになっている太田や、ミスパスやボール被奪取が少なくない高萩、橋本、東あたりのプレスのスピードや球離れの判断の遅さなどは、ことさら考えなければならない修正案件だ。
神戸は前節の4バックから3バックへのシステム変更は奏功したかもしれないが、主導権を握っていた多くの時間を活かせず案外だった前半と、選手起用や戦術が思いの外フィットせずに攻勢が鈍化し中盤の疲労も露呈して流れを手放した後半と、補強によるチーム編成に苦しんでいる様子。その神戸の現状をしっかりと認識した上で、FC東京が克服すべき課題に取り組んでいかねばならない。
次節は長らく勝利がないアウェイ浦和戦。続いて横浜F・マリノス、C大阪とそれぞれ首位争いを展開しているチームとの試合となる。その間にはルヴァンカップの準々決勝もあり厳しい戦いとなるが、ここで連勝出来ないようでは、今季のACL圏内入りの目標のクリアは困難。真価が問われる8、9月になりそうだ。
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【明治安田生命J1リーグ戦 第22節】
2017年08月13日(日)19:03 試合開始 味の素スタジアム
入場者数 30,642人
天候 曇のち雨 / 気温 26.2℃ / 湿度 85%
主審 東城穣 / 副審 聳城巧、福岡靖人 / 4審 中村太
FC東京 1(0-0 / 1-0)0 神 戸
≪得点≫
(東): ピーター・ウタカ(88分)
(神):
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【FC東京 メンバー】
≪スターティングメンバー≫
GK 01 大久保択生
DF 22 徳永悠平
DF 14 チャン・ヒョンス
DF 05 丸山祐市
MF 08 高萩洋次郎
MF 02 室屋 成
MF 37 橋本拳人 → 中島翔哉(83分)
MF 38 東 慶悟 → 米本拓司(57分)
MF 06 太田宏介
FW 13 大久保嘉人
FW 20 前田遼一 → ピーター・ウタカ(72分)
≪サブスティテューション≫
GK 30 廣末 陸
DF 04 吉本一謙
MF 10 梶山陽平
MF 15 永井謙佑
MF 07 米本拓司
FW 23 中島翔哉
FW 09 ピーター・ウタカ
≪監督≫
篠田善之
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【2017明治安田生命J1リーグ FC東京 日程】
第01節 02/25(土)14:00〇FC東京 1-0 鹿 島(A・カシマ)
第02節 03/04(土)15:00〇FC東京 2-0 大 宮(H・味スタ)
第03節 03/11(土)19:00✕FC東京 0-3 G大阪(A・吹田S)
第04節 03/18(土)19:00〇FC東京 3-0 川 崎(H・味スタ)
第05節 04/01(土)16:00△FC東京 3-3 鳥 栖(H・味スタ)
第06節 04/08(土)19:00✕FC東京 1-2 札 幌(A・札幌ド)
第07節 04/16(日)14:00✕FC東京 0-1 浦 和(H・味スタ)
第08節 04/22(土)16:00〇FC東京 3-0 新 潟(A・デンカS)
第09節 04/30(日)15:00〇FC東京 1-0 広 島(H・味スタ)
第10節 05/07(日)14:00〇FC東京 2-0 仙 台(A・ユアスタ)
第11節 05/14(日)15:00✕FC東京 1-2 柏 (H・味スタ)
第12節 05/20(土)19:00△FC東京 1-1 神 戸(A・ノエスタ)
第13節 05/28(日)16:00△FC東京 1-1 甲 府(H・味スタ)
第14節 06/04(日)13:00〇FC東京 2-0 清 水(A・アイスタ)
第15節 06/18(日)18:00✕FC東京 0-1 横浜FM(H・味スタ)
第16節 06/25(日)18:00✕FC東京 0-2 磐 田(A・ヤマハ)
第17節 07/02(日)19:00✕FC東京 1-3 C大阪(A・金鳥スタ)
第18節 07/08(土)19:00△FC東京 2-2 鹿 島(H・味スタ)
第19節 07/30(日)19:00△FC東京 1-1 新 潟(H・味スタ)
第20節 08/05(土)19:00△FC東京 1-1 川 崎(A・等々力)
第21節 08/09(水)19:00〇FC東京 2-1 大 宮(A・NACK5)
第22節 08/13(日)19:00〇FC東京 1-0 神 戸(H・味スタ)
第23節 08/19(土)19:00 FC東京 vs 浦 和(A・埼 玉)
第24節 08/26(土)19:00 FC東京 vs 横浜FM(A・日産ス)
第25節 09/09(土)19:00 FC東京 vs C大阪(H・味スタ)
第26節 09/16(土)19:00 FC東京 vs 仙 台(H・味スタ)
第27節 09/23(土)16:00 FC東京 vs 柏 (A・ 柏 )
第28節 09/30(土)16:00 FC東京 vs 磐 田(H・味スタ)
第29節 10/15(日)14:00 FC東京 vs 甲 府(A・中銀スタ)
第30節 10/21(土)16:00 FC東京 vs 札 幌(H・味スタ)
第31節 10/29(日)17:00 FC東京 vs 清 水(H・味スタ)
第32節 11/18(土)14:00 FC東京 vs 鳥 栖(A・ベアスタ)
第33節 11/26(日)13:00 FC東京 vs 広 島(A・Eスタ)
第34節 12/02(土)14:00 FC東京 vs G大阪(H・味スタ)
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