*** june typhoon tokyo ***

湘南 vs FC東京 @レモンS【J1リーグ】


 シーズン前半ラストゲーム、連勝に奢ったか、隙を見せて湘南に完敗。

 清水に続いて首位・鹿島にも3得点して連勝した後、代表ウィークによって3週間のインターバルがあったJ1リーグ。再開初戦はリーグ前半戦ラストゲームとなり、この試合を終えて、ちょうどシーズンの半分を消化したことになる。連勝の勢いをもって上位へ加速をつけたいFC東京が、17位と苦しんでいる湘南のホーム・レモンガススタジアムに乗り込んでの一戦は、湘南が池田と町野の2発で快勝。FC東京は代表選出で欠いた長友、松木の不在を感じさせない勝利とはならなかった。

 湘南との相性は良いFC東京。リーグにて湘南に敗れたのは2015年の味スタまで、アウェイで敗れたのは2013年までなく、リーグにおける通算での敗戦もその2試合のみ。ただ、近年は2021年のルヴァンカップのプレーオフステージ第1戦(駒沢)、今年4月のルヴァンカップのグループステージで敗れており、選手構成が異なるとはいえ、この2年に関しては、容易に勝てるという印象はない。

 首位・鹿島に3得点して奢った訳ではないだろうが、この日のFC東京は全体的に重さが目立った。そして今季、前からの速いプレスでビルドアップを封じられ、後ろを3バックから5バックへと移行して固めてくるチームには苦戦しているFC東京だが、その弱点というか修正し切れていない部分を突かれてしまう。プレスをかわし、あるいは中盤で相手を剥がして前へ展開出来ればよいのだが、それもままならず。誰がという訳ではないが、たとえば、これまでも指摘されてきたことだが、小川はボールを持ち出す際にトラップした後、右脚から左脚へ置き換えるクセがある。そのため、その足元にボールを入れている時間で相手に詰められ、パスコースを防がれて横か後ろへ戻す、あるいは、チャレンジングというよりもギャンブル気味に前方へパスを入れようとするもボールを弾かれたり、パスミスとなって相手へボールを与えてしまい、守勢に回らざるをえない状況を作ってしまう。

 なかなかビルドアップが出来ないため、結局アダイウトンをはじめとする個の力での突破を図るが、サポートへの距離感も良くなく、単騎で挑んで跳ね返されるということの繰り返し。時にのちにボディブローのように効かせるために“捨て石”的にミドルシュートを放って、相手にその意識を持たせたいところだが、それもないため、湘南にとっては個の突破を防ぐことに集中して、FC東京に攻撃のリズムを生み出させないことに成功。とにかくシュートへのトライが少ないまま試合が進んでいくと、ボールを奪った後に少ない手数でゴールへと攻め込んでいた湘南が試合を動かす。26分に小川のスローインのボールを奪った湘南が中盤でボールを動かした際、町野の手に当たったボールが瀬川に渡り、前線の池田へ浮き球パスを供給。池田はGKヤクブ・スウォビィクが飛び出してくるなかで、ボールのバウンドの上がり際をジャンプして爪先で合わせると、GKヤクブ・スウォビィクの頭上を越えたシュートがクロスバーの内側を叩いてゴールイン。湘南が先制点を挙げる。
 なお、VARチェックが入ったが、町野のハンドは認められず。跳ね方から見ても挙げた手に当たってボールの軌道が変わっていたのだが、すんなりチェックが終わったのをみると、ハンドかどうかではなくオフサイドかどうかを見ていたのだろうか後日、DAZN『Jリーグジャッジリプレイ』での別角度の映像で、ハンドでなく顔に当たっていることが確認できたが、その映像は当日の開場や放送ではオンエアされず)。とはいえ、判定が確定する前にセルフジャッジをして一瞬でも足を止めてしまったのは、いただけない。笛が鳴るまではプレーを止めないことを徹底してほしい。

 その後、次第に攻勢を仕掛けられるようになったFC東京だが、ゴール前で細かいパス交換を試みるも湘南のブロックに合い、良いタイミングでシュートが打てない。後半に入っても永井のドリブル突破は阻まれ、湘南陣内奥からの中村帆高のクロスも精度を欠き、アダイウトンからのクロスもディエゴ・オリヴェイラに合わずなど、ボールを持つ時間は増えるものの、決定機までには至らない。

 ギアを上げるべく、60分にバングーナガンデ佳史扶、レアンドロ、東慶悟と3枚替えをし、押し込む時間も増えるが、アタッキングサード以降のプレーの選択に迷いや精度の欠如がみられ、もどかしい攻撃が続く。すると、湘南は池田をウェリントンに、茨田をタリクにスイッチして、流れを引き戻そうと画策。その2分後の70分に、杉岡の左CKからニアサイドに飛び込んだ町野が頭で合わせてネットを揺らし、湘南が追加点。町野の“忍者ポーズ”も飛び出して(町野は忍者で有名な三重県伊賀市出身)、湘南ベンチやサポーターにさらなる活気がもたらされた。

 あとがないFC東京は、レアンドロやアダイウトンの個の力で何度も攻め込むも、GK谷を中心としたしぶとい守りで絶好機を作らせない。寧ろ、高さのあるウェリントンにボールを集めて、ウェリントンを起点にチャンスを生み出していく。FC東京は、80分に紺野を投入し、右サイドからのカットインクロスなどでゴール前へボールを供給するも、押し込むところまではいくが、それ以降が繋がらず。湘南は米本を入れ、中盤でボール奪取、最終ラインは5バック気味にして堅い守りを形成。アディショナルタイム5分も運動量豊富に守り抜いた湘南に軍配が上がった。

 FC東京は鹿島戦では活躍した渡邊凌磨だったが、インサイドハーフの役割では、安部と松木の組み合わせに比べるとやや運動量が不足してポジションが上手く埋められてなかったようにも見えた。また、この日は雨が強く吹き付ける悪条件ではあったが、それにしてもパスを受け渡すスピードに欠け、相手を呼び込んでいるつもりが一気に詰められ囲まれる状況が散見されるなど、自分たちのリズムで試合を運べていなかった。2失点し、苦心する流れに苛立ちをみせたか、後半終了間際には、タッチラインに出そうなボールをラインを越えて止めに行ったアルベル監督が警告(ボールは触らなければ出ていたとは思うが、なかなか微妙な位置でボールに触れたようだ)。最後まであまり良さを見出せないまま、ストレスの溜まる敗戦となってしまった。

 レアンドロの推進力や紺野の仕掛けなど、今後も期待出来そうなプレーもあったが、やはりチームとしての連動性、共通認識の上でのプレーの選択においては、まだ修正を重ねていかなければならないようだ。不甲斐ない敗戦ではあるが、これから大きな穴をあけないために、折り返し地点で修正事項を再確認する機会が与えられた勉強代と思って、後半戦はより高い意識を持って挑んでもらいたい。早速、次節からは鳥栖、福岡と近年“鬼門”となっている九州勢との対戦が待ち構えている。どちらも敗戦となると、今季ダブル敗戦を喰らうことになるゆえ、危機感とシュートへの意識を持って、後半への起爆剤となるような結果を残してもらいたい。その前に、ミッドウィークに天皇杯3回戦があるが、こちらもしっかりと勝利し、リーグへと繋げる流れを作りたい。
 
◇◇◇

【明治安田生命J1リーグ 第17節】
2022年6月18日(土)18:03試合開始 レモンガススタジアム平塚
入場者数 10,733人
天候 雨 / 気温 22.5℃ / 湿度 90%
主審 井上知大 / 副審 中野 卓、坂本晋悟
第4の審判員 森川浩次
VAR 松尾 一 / AVAR 木川田博信

 湘 南 2(1-0 / 1-0)0 FC東京  

得点:
(湘)池田昌生(26分)、町野修斗(70分)
(東)

〈試合経過〉
26分 得点 湘南 池田昌生
45+2分 警告 湘南 池田昌生
60分 交代 東京 中村帆高 → バングーナガンデ佳史扶 / 永井謙佑 → レアンドロ / 青木拓矢 → 東 慶悟
68分 交代 湘南 池田昌生 → ウェリントン / 茨田陽生 → タリク
70分 得点 湘南 町野修斗
80分 交代 湘南 町野修斗 → 大橋祐紀 / 瀬川祐輔 → 米本拓司
80分 交代 東京 渡邊凌磨 → 紺野和也
87分 交代 湘南 高橋 諒 → 大野和成
88分 警告 湘南 杉岡大暉
89分 警告 東京 アルベル

◇◇◇

【FC東京】
≪スターティングメンバー≫
GK 24 ヤクブ・スウォビィク
DF 37 中村帆高  → バングーナガンデ佳史扶(60分)
DF 30 木本恭生
DF 03 森重真人
DF 06 小川諒也
MF 31 安部柊斗
MF 16 青木拓矢  → 東 慶悟(60分)
MF 23 渡邊凌磨  → 紺野和也(80分)
FW 15 アダイウトン
FW 09 ディエゴ・オリヴェイラ
FW 11 永井謙佑  → レアンドロ(60分)

≪サブスティテューション≫
GK 13 波多野豪
DF 49 バングーナガンデ佳史扶
DF 50 エンリケ・トレヴィザン
MF 10 東 慶悟
MF 07 三田啓貴
FW 17 紺野和也
FW 20 レアンドロ

≪監督≫
アルベル


◇◇◇



◇◇◇

【FC東京 2022シーズンスケジュール・J1リーグ】
第01節 02月18日(金)19:00 ✕FC東京 0-1 川 崎(A・等々力
第02節 02月26日(土)15:00 FC東京✕名古屋(H・味スタ ※中止
第03節 03月06日(日)16:00 〇FC東京 1-0 C大阪(A・ヨドコウ
第04節 03月12日(土)15:00 〇FC東京 2-1 広 島(H・味スタ
第05節 03月19日(土)14:00 〇FC東京 1-0 京 都(A・サンガS
第06節 04月02日(土)19:00 ✕FC東京 1-2 横浜FM(A・日産ス
第07節 04月06日(水)19:00 〇FC東京 3-1 神 戸(H・味スタ
第08節 04月10日(日)14:00 △FC東京 0-0 浦 和(H・味スタ
第09節 04月16日(土)13:00 △FC東京 0-0 札 幌(A・札幌ド
第02節 04月20日(水)19:00 △FC東京 0-0 名古屋H・味スタ※代替
第10節 04月29日(金)19:00 〇FC東京 2-0 G大阪(H・国 立
第11節 05月03日(火)17:00 ✕FC東京 1-5 福 岡(A・ベススタ
第12節 05月08日(日)15:00 ✕FC東京 0-1 鳥 栖(H・味スタ
第13節 05月14日(土)14:00 ✕FC東京 1-2 磐 田(A・ヤマハ
第14節 05月21日(土)15:00 △FC東京 0-0  柏 (H・味スタ
第15節 05月25日(水)19:00 〇FC東京 3-0 清 水(A・アイスタ
第16節 05月29日(日)15:00 〇FC東京 3-1 鹿 島(H・味スタ
第17節 06月18日(土)18:00 ✕FC東京 0-2 湘 南(A・レモンS

第18節 06月26日(日)19:00 FC東京✕鳥 栖(A・駅スタ
第19節 07月02日(土)18:00 FC東京✕福 岡(H・味スタ
第20節 07月06日(水)19:00 FC東京✕札 幌(H・味スタ
第21節 07月10日(日)19:00 FC東京✕浦 和(A・埼 玉
第22節 07月17日(日)18:00 FC東京✕磐 田(H・味スタ
第23節 07月30日(土)19:00 FC東京✕広 島(A・Eスタ
第24節 08月07日(日)18:00 FC東京✕清 水(H・味スタ
第25節 08月13日(土)19:00 FC東京✕C大阪(H・味スタ
第27節 08月27日(土)19:00 FC東京✕ 柏 (A・三協F柏
第28節 09月03日(土)・04日(日) FC東京✕横浜FM(H・味スタ
第29節 09月10日(土)・11日(日) FC東京✕G大阪(A・パナスタ
第26節 09月14日(水)    FC東京✕神 戸(A・ノエスタ)※
第30節 09月17日(土)・18日(日) FC東京✕京 都(H・国 立
第31節 10月01日(土)・02日(日) FC東京✕鹿 島(A・カシマ
第32節 10月08日(土)    FC東京✕湘 南(H・味スタ
第33節 10月29日(土)    FC東京✕名古屋(A・豊田ス
第34節 11月05日(土)    FC東京✕川 崎(H・味スタ
※神戸がACLにおいてGS敗退の場合、8月20日(土)19:00に変更の可能性あり

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