アウェイで勝点3を獲得。だが、……。
熊本は避難勧告が出るところもあったほどの大雨で試合の実施も危ぶまれていたが、雨も小康状態となりKKウイングでの試合は開始された。
ピッチはかなり滑りやすい状態で、パスも通しづらいなか、粘り強く戦った。その点は評価出来るが、多分に相手のミスに助けられたところもあり、手放しに喜べる訳では決してない。
CBに代表戦から戻った今野が入り、2列目には大竹に代わって谷澤が先発。これは雨による影響を考慮してのものだろう。熊本は長身の長沢、ファビオにボールを集めるという意識で仕掛けてきて、実際に危険な場面を作っていた。ただ、そこからの精度が低かったり、ミスによるボールロストなどで助けられた部分は大きい。DF市村にオーバーラップを許した部分も多かったが、そこからのアイディアや精度、決定力が欠けていた。東京としては、ボールを支配する時間は長かったが、追加点を奪えないこともあり、アウェイで勝点3という結果以上には喜べないところだった。
評価出来るのは、悪条件の中で相手に早いプレッシャーをかけていたこと。これにより、パスの選択肢を限定させていた。前へ向けない時間を作り出すことで、相手のミスを誘う場面もあった。次に特に羽生のフリーランニングで相手を撹乱したこと。それにより相手のラインを下げさせスペースを作り、エリアに侵入する機会が多くなったことだ。ただし、羽生が交代するとそういう場面が激減するのが今の東京で、疲れもあり相手のペースになりがちになる。ボールを持たれて後手に回り受ける態勢をとる時間が増えるのも否めない。
一方、相変わらずなのは、個々の能力の差ゆえボールを持てるだけに、球離れが遅く自らパスの選択の幅を狭めていること。相手を交わしたりすかしたりして前線へボールを供給するという狙いなのだろうが、その質は決して高いものではなく、最終ライン付近でそれをやるので、一つのミスが命取りになる危険性を大いに孕んでいる。結果、不用意なバックパス、後ろを向いてプレイする機会が多くなり、相手のプレッシャーに負けてチャンスを与える結果にもなる。ペースやリズムを維持するといった意味でも、それらが崩れやすくなり、相手の息を吹き返させてしまうことにも繋がるのだ。東京の失点が後半、特に後半の中盤以降に集中しているのは、そのような要因が多分に影響しているのだと考えられる。
また、シュートへの意識が極めて少ない。圧倒的にボールを支配する時間帯を有しているにも関わらず、シュート数は東京が11、熊本が10とさほど変わらない。直接FKが東京20、熊本10と倍あるが、結局シュートチャンスに持ち込めない、あるいはシュートする機会を失う率が多いのだ。特に今日のようなぬかるんだピッチでは、何が起こるか分からない。まずは、相手ゴールへシュートを放つという姿勢が必要なのだ。ゴールエリアへ短いパスやドリブルで切り込んでいくというのは、サッカーの一つの醍醐味ではあるだろう。しかし、それはシュートへと繋がってはじめてそれらの有効性が生まれるのであり、あともう一つ抜いていれば、パスが繋がっていれば、の繰り返しでは、相手に脅威を与えることは出来ない。
結果として勝点3を得たことは大きい。だが、昇格という目標へ向けては、このあたりのチームに余裕を持って勝っていけないようでは、この混戦のなかを抜け出すことは容易ではない。常に相手ゴールへの意識を高め、追加点を量産する意識がなければ、今後も終盤で追いつかれる、あるいは逆転されるという悪夢のリフレインから逃れることは出来ないのだから。
◇◇◇
Jリーグディビジョン2 第16節
2011/06/12 熊本県民総合運動公園陸上競技場(KKWING)
熊本 0(0-1、0-0)1 FC東京
【得点】
(東): ロベルト セザー(20分)
観衆: 5,204人
天気:雨、弱風
<メンバー>
≪FC東京≫
20 GK 権田修一
02 DF 徳永悠平
03 DF 森重真人
06 DF 今野泰幸
14 DF 中村北斗
04 MF 高橋秀人
10 MF 梶山陽平
39 MF 谷澤達也
27 MF 田邉草民 → 35 MF 下田光平(90+3分)
22 FW 羽生直剛 → 18 MF 石川直宏(75分)
09 FW ロベルト セザー → 32 MF 上里一将(83分)
01 GK 塩田仁史
26 DF 阿部巧
33 DF 椋原健太
19 MF 大竹洋平
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