鳥栖 vs FC東京【J1リーグ】

　鬼門克服。今季2度目のクリーンシートで5試合ぶり勝利。

　“金J”開催となったアウェイ鳥栖戦は、FC東京が木本が決めた虎の子の1点を守り、先週のミッドウィークのルヴァンカップに続いて、鳥栖に勝利。リーグでは2016年より1分7敗と“鬼門”となっていたアウェイ鳥栖だったが、ようやく克服し、5月のラストゲームをいい形で終えることができた。

　ホームの鳥栖は、FC東京からのレンタル移籍中の木村のほか、原田、キム・テヒョンに変わって、山崎と上夷がCB、丸橋が左SBに入った。一方、FC東京は松木、仲川が先発に復帰。右SBは長友に代わって安斎が務めた。怪我以来久しぶりに中村帆高がベンチ入り。

　鳥栖は1トップのマルセロ・ヒアンへ当てるというよりも、左ウィングの横山のドリブル突破で活路を見出そうとする。右からは富樫が攻め上がり、右SBの長沼も頻繁に仕掛け、運動量豊富な河原がボールを散らしていく。
　ただ、ボールを奪った後に、すぐにマルセロ・ヒアンへ当てるということはなく、横山の仕掛け以外は両サイドへボールを渡すことが多かったため、FC東京の選手たちが自陣へ戻る時間を与えてしまう。CBの木本、エンリケ・トレヴィザンを中心に中央を固め、高や小泉がボールを阻んでいく。

　10分過ぎ頃から、俵積田の仕掛けなどでFC東京が流れを作り出すと、11分にFC東京がこの試合初めてのCKを獲得。荒木のCKはマルセロ・ヒアンに頭でクリアされるが、その浮き球を鳥栖・菊地と競り合った高がヘッドで前へ送ると、ペナルティエリア右から木本が強烈なシュートを突き刺す。一旦オフサイトのフラッグが上がるも、VARオンリーレヴューを経て、ゴールが認められ、FC東京が先制した。

　これで流れに乗ったFC東京は、15分にペナルティエリア中央から仲川が右脚を振り抜くも、鳥栖・GK朴一圭がセーヴ。22分には自陣からのエンリケ・トレヴィザンのロングボールに反応した俵積田が長沼と競り合う。長沼がGK朴一圭に苦し紛れにパスを出すと、これが乱れ、朴一圭が慌てて出した足に当たったボールが、ペナルティエリア付近に詰めていた松木の前へ。これを難なく流し込んでFC東京が追加点を挙げた……と思われたが、ここでVARが介入。主審によるオンフィールドレヴューで、エンリケ・トレヴィザンがボールを蹴った瞬間、俵積田が僅かに長沼よりも前に出ていたとして、オフサイドの判定となり、追加点とはならず。ただ、このオンフィールドレヴューの映像が、この駅前不動産スタジアムには真横からのものではなく、斜めからの映像しかなかったため、正直正確な判断は厳しい映像であった。結果、主審の主観の判断に委ねられたのだが、主審・副審は当初明確にオフサイドを宣告していたようには思えなかったので、明確な間違いと言い難い（さらに映像判断でも明らかな判定が難しい）事象にVARが介入してしまうのであれば、いささか疑問ではあった（ただ、オフサイド判定時の青と赤のラインは引かれていたため、単にどちらが前かどうかという事象ではないのかもしれない）。

　鳥栖としては命拾いとなり、その後の10分くらいは息を吹き返したように攻勢を強めていたから、仮にその間に同点に追いついていたら、一気に鳥栖へと流れが移った可能性もなくはなかった。38分に右サイドの手塚のクロスに反応した横山が右脚でシュートを放ったが、GK野澤大志ブランドンがビッグセーヴで鳥栖の得点を阻んだのは非常に大きなプレーとなった。

　すると、FC東京は、後半終盤に俵積田、松木、高がシュートを仕掛け、荒木、仲川が細かにポジションを移しながら、ボールを繋げていき、ゴール取り消しの嫌な流れを消し去って、試合を折り返す。

　後半は鳥栖がマルセロ・ヒアンと横山、FC東京が俵積田を軸にゴール前でチャンスを創出。一進一退の攻防になるなかで、FC東京は仲川に代わって中村帆高を投入し、右SBの安斎を右ウィングへ上げる。鳥栖が丸橋を下げて、堀米をピッチに送ると、FC東京も松木が怪我で自ら交代をアピールしたこともあり、松木をディエゴ・オリヴェイラに、俵積田をジャジャ・シルバへ交代。すると、78分にペナルティエリア内からのバングーナガンデのクロスにディエゴ・オリヴェイラがダイレクトで合わせるも、僅かにゴール左に外れて、惜しいチャンスを逃してしまった。

　後半中盤以降は、互いに疲労も窺え、細かいミスが散見。交代選手を投入しながら、ゴールを目指すも、それぞれ最終ラインで踏ん張り、得点には至らず。鳥栖のパワープレーもFC東京も守備陣が跳ね返し続け、タイムアップとなった。

　高さのあるマルセロ・ヒアンとドリブルで仕掛ける横山の攻撃は脅威だったが、マルセロ・ヒアンには木本とエンリケ・トレヴィザン、横山には後半から中村帆高を当て、松木や荒木などのプレスバックで鳥栖の攻撃を食い止めた結果、久しぶりのクリーンシートでの勝利に。鳥栖の攻撃はサイドに振る場面が多く、ワンタッチパスで前へ侵入するシーンがあまり見られなかったこともあるが、とにもかくにも無失点で勝利したことは、今後にとって非常に大きい勝利といえるだろう。

　攻撃面ではやはり奪える時に2点目を決めておかないと、苦しい試合になることは当然。仲川、松木、ディエゴ・オリヴェイラと決定機は少なくなかったはずで、その精度を高めたいところだ。

　6月に入ると、A代表に長友佑都、U-23代表に松木玖生、野澤大志ブランドン、バングーナガンデ佳史扶、荒木遼太郎の4名、U-19代表に佐藤龍之介、後藤亘が選出され、ルヴァンカップの広島戦、天皇杯のヴィアティン三重戦、そして16日の磐田戦くらいまでは、主力がごっそり抜けるなかで戦っていかねばならない。簡単ではないが、チームの底上げとなるべく、この間に起用される面々は奮起し、勝ちグセをもたらしたいところだ。

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明治安田J1リーグ　第17節
2024年5月31日（金）19:04KO
駅前不動産スタジアム
入場者数： 7,528人
天候：晴 ／ 気温：20.6℃ ／ 湿度：68%
主審：清水勇人
副審：聳城　巧、津野洋平
第4の審判員：岡　宏道
VAR：田中玲匡
AVAR：淺田武士

鳥　栖 0（0-1 /0-0）1 FC東京　

【得点】
（栖）：
（東）：木本恭生（11分）

〈試合経過〉
11分　　得点　東京　木本恭生
35分　　警告　鳥栖　長沼洋一
44分　　警告　東京　松木玖生
59分　　警告　鳥栖　山崎浩介
65分　　交代　東京　仲川輝人 → 中村帆高
72分　　交代　鳥栖　丸橋祐介 → 堀米勇輝
76分　　交代　東京　松木玖生 → ディエゴ・オリヴェイラ ／ 俵積田晃太 → ジャジャ・シルバ
82分　　交代　鳥栖　手塚康平 → 藤田直之 ／ 富樫敬真 → ヴィニシウス・アラウージョ ／ 菊地泰智 → 北島郁哉
87分　　交代　鳥栖　横山歩夢 → 河田篤秀
87分　　交代　東京　荒木遼太郎 → 原川　力 ／ 安斎颯馬 → 徳元悠平

【FC東京メンバー】
〈スターティングメンバー〉
ＧＫ　41　野澤大志ブランドン
ＤＦ　38　安斎颯馬
ＤＦ　04　木本恭生
ＤＦ　44　エンリケ・トレヴィザン
ＤＦ　49　バングーナガンデ佳史扶
ＭＦ　07　松木玖生
ＭＦ　08　高　宇洋
ＭＦ　37　小泉　慶
ＦＷ　33　俵積田晃太
ＦＷ　39　仲川輝人
ＦＷ　71　荒木遼太郎

〈控えメンバー〉
ＧＫ　13　波多野豪
ＤＦ　02　中村帆高
ＤＦ　03　森重真人
ＤＦ　43　徳元悠平
ＭＦ　40　原川　力
ＦＷ　70　ジャジャ・シルバ
ＦＷ　09　ディエゴ・オリヴェイラ

〈監督〉
ピーター・クラモフスキー



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【明治安田J1リーグ 2024シーズン FC東京試合日程】
第01節　02月24日(土)15:00△FC東京 2-2 Ｃ大阪（Ａ・ヨドコウ）
第02節　03月02日(土)15:00△FC東京 1-1 広　島（Ｈ・味スタ）
第03節　03月09日(土)16:00✕FC東京 1-2 神　戸（Ｈ・味スタ）
第04節　03月16日(土)13:00〇FC東京 3-1 福　岡（Ａ・ベススタ）
第05節　03月30日(土)15:00✕FC東京 0-3 川　崎（Ａ・Ｕ等々力）
第06節　04月03日(水)19:30〇FC東京 2-1 浦　和（Ｈ・国　立）
第07節　04月07日(日)17:00〇FC東京 2-0 鹿　島（Ｈ・国　立）
第08節　04月13日(土)16:00△FC東京 2-2 東京Ｖ（Ａ・味スタ）
第09節　04月21日(日)15:00✕FC東京 1-2 町　田（Ｈ・味スタ）
第10節　04月27日(土)14:00〇FC東京 3-1 新　潟（Ａ・デンカＳ）
第11節　05月03日(金)15:00〇FC東京 2-1 京　都（Ｈ・味スタ）
第12節　05月06日(月)14:00〇FC東京 2-1 札　幌（Ａ・札幌ド）
第13節　05月11日(土)17:00△FC東京 3-3 　柏　（Ｈ・味スタ）
第14節　05月15日(水)19:00✕FC東京 1-3 名古屋（Ａ・豊田ス）
第15節　05月19日(日)15:00△FC東京 1-1 横浜FM（Ｈ・味スタ）
第16節　05月26日(日)15:00✕FC東京 0-1 Ｇ大阪（Ｈ・味スタ）
第17節　05月31日(金)19:00〇FC東京 1-0 鳥　栖（Ａ・駅スタ）

第18節　06月16日(日)18:00　FC東京 ✕ 磐　田（Ｈ・味スタ）
第19節　06月22日(土)19:00　FC東京 ✕ 湘　南（Ａ・レモンＳ）
第20節　06月26日(水)19:00　FC東京 ✕ 札　幌（Ｈ・味スタ）
第21節　06月30日(日)18:30　FC東京 ✕ 福　岡（Ｈ・味スタ）
第22節　07月06日(土)19:00　FC東京 ✕ 　柏　（Ａ・三協Ｆ柏）
第23節　07月13日(土)19:00　FC東京 ✕ 新　潟（Ｈ・国　立）
第24節　07月20日(土)18:00　FC東京 ✕ 鹿　島（Ａ・カシマ）
第25節　08月07日(水)19:00　FC東京 ✕ Ｇ大阪（Ａ・パナスタ）
第26節　08月11日(日)19:00　FC東京 ✕ 川　崎（Ｈ・味スタ）
第27節　08月17日(土)19:00　FC東京 ✕ 東京Ｖ（Ｈ・味スタ）
第28節　08月24日(土)19:00　FC東京 ✕ 京　都（Ａ・サンガＳ）
第29節　08月31日(土)18:30　FC東京 ✕ 広　島（Ａ・Ｅピース）
第30節　09月14日(土)or15日(日)　FC東京 ✕ 名古屋（Ｈ・国　立）
第31節　09月21日(土)or22日(日)　FC東京 ✕ 浦　和（Ａ・埼　玉）
第32節　09月28日(土)or29日(日)　FC東京 ✕ 横浜FM（Ａ・日産ス）
第33節　10月05日(土)or06日(日)　FC東京 ✕ 鳥　栖（Ｈ・味スタ）
第34節　10月19日(土)or20日(日)　FC東京 ✕ 神　戸（Ａ・ノエスタ）
第35節　11月03日(日)　　　FC東京 ✕ 湘　南（Ｈ・味スタ）
第36節　11月09日(土)　　　FC東京 ✕ 町　田（Ａ・国　立）
第37節　11月30日(土)　　　FC東京 ✕ 磐　田（Ａ・ヤマハ）
第38節　12月08日(日)　　　FC東京 ✕ Ｃ大阪（Ｈ・味スタ）

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