チャン・ヒョンスの先制弾で逃げ切ったFC東京が、暫定で3位に浮上。
リーグ戦後のルヴァン杯決勝で敗れた横浜F・マリノスが、前節C大阪戦で試合を優勢に進めながらもカウンター一発で沈んだFC東京を日産スタジアムで迎えた第31節。横浜FMにとっては、浦和に続いて2クラブ目となるリーグ戦通算入場者数950万人達成というメモリアルな日となったが、ACL圏内を目指すためにはこれ以上負けられないFC東京が前半15分に挙げたチャン・ヒョンスの先制弾を守り切って勝利した。
森重の累積警告による出場停止と入れ違いで出場停止明けから復帰したチャン・ヒョンスは、10月30日に「兵役免除に必要な社会奉仕活動の一部について、事実とは異なる報告をしていた」として、大韓サッカー協会から韓国代表への選抜資格の永久停止と罰金約300万円を科されていた。韓国の国内事情であるとはいえ、虚偽報告で社会奉仕活動を免れていたという事実は非難されて当然。FC東京もクラブとして厳重注意を行なったが、クラブと長谷川監督は信頼のもとチームのキャプテンをピッチに送り出した。
チャン・ヒョンスとCBを組んだのは2試合連続出場となる丹羽。左SBには4試合ぶりに小川、ボランチには7試合ぶりに米本がスターティングメンバーに名を連ね、基盤の「4-4-2」ではなく高萩をトップ下、ディエゴ・オリヴェイラを1トップに配した「4-2-3-1」で挑んだFC東京。迎える横浜FMは左ウイングにイッペイ・シノヅカ、中盤に喜田を入れる布陣。遠藤は欠場したが、ドリブル切れ味鋭い仲川、精度の高いキックを有する天野、オーヴァーラップも脅威な山中、独特なリズムで敵陣を切り裂くウーゴ・ヴィエイラとタレントを揃え、容易に崩せない相手だ。
プレスをかけるFC東京、パスで前進を図る横浜FMという構図でスタートするも、ややアブレッシヴな着想に乏しく、ともに決定機を見出せない序盤だったが、15分に東からのチーム最初のCKをチアゴ・マルチンスのマークを振り切ってファーサイドから中央へ走り込んだチャン・ヒョンスが頭でゴールを決めて、FC東京が先制。ゴール前に陣取ったFC東京の選手がいっせいにニアに走るなかで、チャン・ヒョンスだけがファーから中央へというサインプレーは、さまざまなことがあったチャン・ヒョンスに点を取らせたいというチームの想いの表われとも窺えた。
ただ、それ以降は28分の仲川のゴール左にそれたシュート、35分のカウンターからディエゴ・オリヴェイラが競り合うチアゴ・マルチンスを交わして放ったクロスバー直撃のシュートくらいしかシュートチャンスが生まれない。後半は横浜FMが攻め込む時間帯が続いたが、なかなかゴール前でチャンスが作れないと、横浜FMは喜田に代わって投入したユン・イルロクを左、イッペイ・シノヅカを右に、ウーゴ・ヴィエイラと仲川の2トップで打開を図る。その後、イッペイ・シノヅカを下げて伊藤翔をピッチに送ると仲川を再び右サイドへ移し、さらに、攻撃を厚くするために86分に山中を下げて大津を投入。一方、FC東京は永井、リンスとカウンターで2点目を奪うための駒をピッチへ送り、ディフェンスの裏へのスペースへ縦パスを供給して速い攻撃を仕掛けるが、何といってもチアゴ・マルチンスとドゥシャンという強靭で速いCBが壁となって、なかなかカウンターチャンスを活かし切れない。
5分のアディショナルタイムに突入すると、横浜FMがFC東京陣内へ攻め込む時間が続くが、FC東京はチャン・ヒョンスや丹羽のCBコンビを中心に、米本、橋本のボランチが中盤でボールを狩り、前線の東が積極的に自陣へ戻ってクリアを続けるなど、横浜FMの攻撃を食い止めて最後までゴールを割らせず、そのままタイムアップ。FC東京がACL出場争いに踏みとどまる勝ち点3を獲得し、札幌の試合が翌日に残っているが、暫定で再び3位に浮上した。
チャン・ヒョンスは精神的なものか守備で相手に不用意に抜かれるなど不安定な部分も散見されたが、それ以上に選手や自身を鼓舞してキャプテンとして“戦う姿勢”を見せたことがチームにも影響し、最後までチームが長い距離を走り抜くことに繋がった。試合終了の瞬間に多くの選手がチャン・ヒョンスに駆け寄って勝利を分かち合った光景が、それを表わしていた。ボール支配率やパスや判断なども含め、チームの精度としては目を見張るところがなかったのが正直なところだが、それでも格好悪くとも何としてでも勝ち点3を持って帰るという気持ちが好結果を生んだように思う。
残り3試合、残留争いから完全に抜け出したい磐田、優勝目前の川崎、ACLを争う浦和と手強い相手が待つが、この日の飽くなき勝利への意識を途切れさせず奮闘し、しっかりと勝利を重ねていきたい。
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【明治安田生命J1リーグ 第31節】
2018年11月03日(土)14:03試合開始 日産スタジアム
入場者数 27,252人
天候 曇一時雨のち晴 ／ 気温 18.6℃ ／ 湿度 48％
主審 窪田陽輔 ／ 副審 数原武志、西村幹也 ／ ４審 中村太
横浜FM 0（0-1 / 0-0）1 FC東京
≪得点≫
（横）：
（東）： チャン・ヒョンス（15分）
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≪スターティングメンバー≫
GK 33 林 彰洋
DF 02 室屋 成
DF 05 丹羽大輝
DF 48 チャン・ヒョンス
DF 25 小川諒也
MF 38 東 慶悟
MF 07 米本拓司
MF 18 橋本拳人
MF 39 大森晃太郎 → 永井謙佑（71分）
FW 08 高萩洋次郎 → 田邉草民（46分*）
FW 09 ディエゴ・オリヴェイラ → リンス（83分）
≪サブスティテューション≫
GK 01 大久保択生
DF 29 岡崎 慎
DF 06 太田宏介
MF 27 田邉草民
FW 11 永井謙佑
FW 13 リンス
FW 19 平岡 翼
≪監督≫
長谷川健太
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【明治安田生命J1リーグ 2018シーズン日程】
第01節 2018/02/24(土)14:00△FC東京 1-1 浦 和（H・味スタ）
第02節 2018/03/03(土)15:00✕FC東京 0-1 仙 台（H・味スタ）
第03節 2018/03/10(土)15:00✕FC東京 0-2 磐 田（A・ヤマハ）
第04節 2018/03/18(日)15:00〇FC東京 1-0 湘 南（H・味スタ）
第05節 2018/03/31(土)15:00〇FC東京 3-2 Ｇ大阪（H・味スタ）
第06節 2018/04/08(日)14:00〇FC東京 5-2 長 崎（A・トラスタ）
第07節 2018/04/11(水)19:00〇FC東京 2-1 鹿 島（H・味スタ）
第08節 2018/04/14(土)15:00✕FC東京 0-1 Ｃ大阪（A・ヤンマー）
第09節 2018/04/21(土)13:00〇FC東京 1-0 清 水（A・アイスタ）
第10節 2018/04/25(水)19:00〇FC東京 3-1 広 島（H・味スタ）
第11節 2018/04/28(土)15:00〇FC東京 3-2 名古屋（H・味スタ）
第12節 2018/05/02(水)19:00△FC東京 0-0 神 戸（A・ノエスタ）
第13節 2018/05/05(土)14:00〇FC東京 2-0 川 崎（A・等々力）
第14節 2018/05/13(日)16:00△FC東京 0-0 札 幌（H・味スタ）
第15節 2018/05/20(日)15:00△FC東京 0-0 鳥 栖（A・ベアスタ）
第16節 2018/07/18(水)19:00〇FC東京 1-0 柏 （A・三協Ｆ柏）
第17節 2018/07/22(日)19:00〇FC東京 5-2 横浜FM（H・味スタ）
第18節 2018/07/27(金)19:00✕FC東京 0-1 長 崎（H・味スタ）
第19節 2018/08/01(水)19:00〇FC東京 2-1 鹿 島（A・カシマ）
第20節 2018/08/05(日)19:00〇FC東京 1-0 神 戸（H・味スタ）
第21節 2018/08/10(金)19:00✕FC東京 1-2 Ｇ大阪（A・吹田Ｓ）
第22節 2018/08/15(水)19:00✕FC東京 0-1 柏 （H・味スタ）
第23節 2018/08/19(日)13:00✕FC東京 2-3 札 幌（A・札幌ド）
第24節 2018/08/26(日)19:00△FC東京 0-0 湘 南（A・ＢＭＷス）
第25節 2018/09/02(日)19:00△FC東京 0-0 鳥 栖（H・味スタ）
第26節 2018/09/15(土)14:00✕FC東京 0-1 仙 台（A・ユアスタ）
第27節 2018/09/22(土)19:00△FC東京 1-1 広 島（A・Ｅスタ）
第28節 2018/09/29(土)17:00✕FC東京 0-2 清 水（H・味スタ）
第29節 2018/10/07(日)16:00〇FC東京 2-1 名古屋（A・豊田ス）
第30節 2018/10/20(土)19:00✕FC東京 0-1 Ｃ大阪（H・味スタ）
第31節 2018/11/03(土)14:00〇FC東京 1-0 横浜FM（A・日産ス）
第32節 2018/11/10(土)14:00 FC東京 vs 磐 田（H・味スタ）
第33節 2018/11/24(土)14:00 FC東京 vs 川 崎（H・味スタ）
第34節 2018/12/01(土)14:00 FC東京 vs 浦 和（A・埼 玉）
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【明治安田生命J1リーグ 2018順位表】※2018/11/03現在（暫定）
01 川 崎 63／31／19／06／06／52／24／+28
02 広 島 56／31／17／05／09／44／30／+14
03 FC東京 49／31／14／07／10／37／29／+08
04 鹿 島 49／31／14／07／10／44／37／+07
05 札 幌 48／30／13／09／08／42／44／-02
06 浦 和 45／31／12／09／10／45／34／+11
07 清 水 44／31／13／05／13／47／41／+06
08 Ｃ大阪 44／30／11／11／08／35／32／+03
09 Ｇ大阪 42／31／12／06／13／36／41／-05
10 仙 台 42／30／12／06／12／41／47／-06
11 神 戸 40／31／11／07／13／39／47／-08
12 磐 田 40／31／10／10／11／34／44／-10
13 横浜FM 38／31／11／05／15／53／52／+01
14 湘 南 37／31／09／10／12／34／39／-05
15 名古屋 34／30／10／04／16／47／54／-07
16 鳥 栖 33／30／08／09／13／26／33／-07
17 柏 33／31／10／03／18／38／49／-11
18 長 崎 29／30／08／05／17／34／51／-17
※（勝点／試合数／勝利／敗戦／引分／得点／失点／得失点差）
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