森重が攻守にわたるだけでなくレッドカードをもらって“大奮闘”した試合は、辛くも1点差を逃げ切って勝利した。だが、攻守ともに課題は山積みだ。
ハ・デソンが今季初先発し、ボールを散らす役割を積極的に担っていたが、アタッキングサードまではボールを運べるものの、受けてのそこからのスピードが欠けていたり、狭い地域での細かいプレーに固執して相手に止められるなど、シュートになかなか繋げられない。ハ・デソンは怪我明けということもあるが、パフォーマンスも絶好調とはいえず、攻撃以上に守備面で大きなスペースを開けてしまうこともあり、一長一短を露見したJデビューとなった。今日のプレーを見る限りでは、ハ・デソンは東京の攻撃のアクセントのワンピースにはなり得るが、彼一人が入るだけで得点が増加するという救世主とはいえないだろう。もちろん、巧さは見せてくれているのだが。
その攻撃では近い距離でパスを繋いでの打開を試みているが、やはり球離れや判断の遅さが目につき、すぐにプレッシャーを受ける場面が多いため、パスの精度も思うような質にはなっていない。一番危険なのはディフェンスが高い位置で攻め込んだ時に横パスやパスミスでボールを奪われること。この日は特に徳永が攻撃参加している時にシンプルに前へ出さずに奪われて、後ろに空いた広大なスペースを使われることが多かった。
また、ゴール前での綺麗なパス交換を意識し過ぎているのか、なかなかシュートへ辿り着かないのも問題だ。ミドルやシンプルなシュートを絡めながら狭い地域でパスの打開を繰り出していくならば、攻撃のヴァリエーションとして有効となるが、どうも東京はそれ一辺倒になりがちゆえ、相手DFも対応しやすくなってしまう。それでもそのスタイルをやり切るのであれば、高い精度と相手に対応する隙を与えないほどの速い正確なパス交換が必要不可欠だ。そのレベルにはまだまだ達していないなかで、このスタイルにこだわり続けるのか、ムリキが加わってもそれを貫くのか、今後の戦術に注目したいところではある。
守備ではこちらも引き続きの課題だが、セットプレーでの対策が改善されていない印象。そして、悪い意味で目立ってしまったのが小川の軽率なプレーだ。攻撃でも序盤はCKの精度に難があったが、守備では2失点のどちらにも関わってしまい、また危うく失点となるピンチをエリア内で“演出”してしまうところも。決勝点となる森重の得点をお膳立てしたアシストもあるが、それ以上にセーフティファーストの心がけとプレーの安定性を高める修正がいち早く望まれるところだ。
名古屋はシモビッチ、野田の高さに当てることと永井のスピードを活かすという攻撃パターンが主ゆえ、局地的なインパクトはあるが、連続・波状攻撃といった重圧を感じる攻撃はそれほど見られず、怖さというところはあまり感じなかった。ただ、それでもシュートチャンスに素早くシュートを打つことで得点を獲得、東京側とすれば失点を重ねてしまっているので、早急に守備の連係や意識を立て直す必要があるだろう。
森重の一発退場は妥当なところだろうが、遅れての対応をしに行かざるを得なかった状況にしてしまったことを、チーム全体で考えなければいけない。チームの中心である森重抜きでの戦いは特に守備面で厳しいものとなるが、過密日程で蓄積されている森重の疲労回復と改めて守備の立て直しを図る契機として位置づけられるか、これまでベンチやメンバー入り出来なかった面々の発奮材料となるか、反省を持って有効なものにしていきたい。森重の欠場、しかも怪我というような“代償”だけで終わらぬようにしてもらいたい。
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【J1リーグ戦 第5節】
2016年04月02日／味の素スタジアム／16:03キックオフ
観衆：20,249人
天候：曇、弱風
気温：13.7度／湿度：53％
主審：岡部拓人／副審：大塚晴弘、林可人
FC東京 3（1-1、2-1）2 名古屋
得点：
（東）：森重真人（43分、PK）、平山相太（70分）、森重真人（81分）
（名）：竹内彬（17分）、永井謙佑（76分）
退場：
（東）：森重真人（86分）
≪スターティングラインアップ≫
47 GK 秋元陽太
02 DF 徳永悠平
03 DF 森重真人
05 DF 丸山祐市
25 DF 小川諒也
07 MF 米本拓司
14 MF ハ・デソン → 橋本拳人（58分）
17 MF 河野広貴 → 平山相太（69分）→ 高橋秀人（89分）
44 MF 阿部拓馬
20 FW 前田遼一
38 FW 東慶悟
≪サブスティテューション≫
31 GK 圍謙太朗
04 MF 高橋秀人
22 MF 羽生直剛
37 MF 橋本拳人
48 MF 水沼宏太
09 FW 平山相太
16 FW ネイサン・バーンズ
≪マネージャー≫
城福浩
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【J1リーグ】
≪1stステージ≫
第01節 2016/02/27(土)19:00✕FC東京 0-1 大 宮（H・味スタ）
第02節 2016/03/06(日)15:30〇FC東京 2-1 仙 台（A・ユアスタ）
第03節 2016/03/11(金)19:00〇FC東京 1-0 神 戸（H・味スタ）
第04節 2016/03/19(土)15:00✕FC東京 0-2 鹿 島（A・カシマ）
第05節 2016/04/02(土)16:00〇FC東京 3-2 名古屋（H・味スタ）
第06節 2016/04/10(日)19:00 FC東京× 柏 （A・ 柏 ）
第07節 2016/04/16(土)15:00 FC東京×川 崎（H・味スタ）
第08節 2016/04/24(日)14:00 FC東京×甲 府（A・中銀スタ）
第09節 2106/04/29(金)17:00 FC東京×福 岡（H・味スタ）
第11節 2016/05/08(日)16:00 FC東京×湘 南（A・ＢＭＷス）
第12節 2016/05/13(金)19:00 FC東京×鳥 栖（H・味スタ）
第13節 2106/05/21(土)14:00 FC東京×浦 和（A・埼 玉）※ ACLラウンド16進出 → 2016/06/22(水)に変更あり
第14節 2016/05/29(日)17:00 FC東京×Ｇ大阪（H・味スタ）
第15節 2016/06/11(土) FC東京×磐 田（A・エコパ）
第10節 2016/06/15(水)19:00 FC東京×広 島（H・味スタ）
第16節 2016/06/18(土) FC東京×新 潟（H・味スタ）
第17節 2016/06/25(土) FC東京×横浜FM（A・日産ス）
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