FC東京が逆転勝ちでリーグ3連勝を飾った。
鳥栖の堅守速攻が実って75分までは鳥栖が2点をリード。東京は石川、渡邉を投入したのち、68分に河野をピッチへ送り出す。堅い守備を誇る鳥栖が2点を奪い消極的になったか、ファースト・ディフェンダーや中盤でのプレスが影を潜める格好。東京は河野のアクセントも効き、相手ゴールへ攻め立てる展開へ。石川がゴール右へ向かって浮かせたボールを送ると、相手DFラインから飛び出した渡邉が反応。1点を返す。続いて、ルーカスが左から浮き球を上げると徳永が折り返し、そこにいた渡邉が太ももで押し込んで同点。さらには、石川のFKがゴール前のDFと長谷川に当たったあとに渡邉が鼻で触れてゴール。渡邉は13分間でハットトリックを決め、大きくホーム・味スタの勝利に貢献した。
名古屋以降勝ちのなかったホームでの勝利、そしてリーグ3連勝。逆転勝ちというドラマティックな要素もあって、勢いが生まれそうな結果ではある。
だが、ケチをつけるようだが、もう一度振り返ってもらいたいのは、鳥栖のカウンター攻撃にあっさりと先制、追加点を奪われた形は、これまでも何度も見かけた光景と似たようなパターンだということ。注意や意識をしているはずのカウンターで、やられているということだ。
そして、逆転勝利となったのは選手交代が大きく影響したと思われるが、従来のポジションとは異なったところへ配置が変わってからだということだ。たとえば、1トップのルーカスが左サイドハーフ的なポジションへ移ったり、高橋もボランチからCBへと移っている。途中で配置を代えて得点を奪えたということは軌道修正が成功したともいえるが、一方ではスターティングメンバーの布陣では、負けていたということになる。このあたりを課題、反省点として、次へと繋げて貰いたい。
リーグ3連勝とはいえ、相手は序盤から苦戦を強いられている新潟、札幌、そしてともにJ2から昇格した鳥栖との間での3連勝だ。鳥栖は今季は調子がよいが、それもホームでの絶対的な負けない強さがあるということで、アウェイでは思ったほどの成績を残せていない。
ポポヴィッチは「本当に誤解を恐れずに言えば、(今日の試合は)日本サッカー界にも何かを示せたと思っている」「引かれた相手に対しても、それを攻略して勝利に結びつけることができた」とコメントしているが、個人的にはそれは早計だと思う。いや、早計というよりも、今日の鳥栖には示すことが出来た、ということだ。本当の実力が試されるのはこれからだ。
昨年の天皇杯では勝利したが、次にはリーグ戦では近年久しく勝てていない浦和、そして、序盤は勝てずにいたがこのところ調子も順位も上げてきた横浜Fマリノスと試合が続く。ここでどのようなパフォーマンスを見せるか、そして結果を残せるか。今季リーグの大きな分水嶺となるこの2連戦に注目したい。
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<J1 第12節>
2012/05/20 味の素スタジアム
FC東京 3(0-1、3-1)2 鳥栖
【得点】
(東):渡邉(75分)、渡邉(81分)、渡邉(88分)
(鳥):水沼(42分)、豊田(59分)
観衆:25,803人
天候:曇、弱風
気温:22.7度
≪MEMBER≫
GK 20 権田修一
DF 30 チャン・ヒョンス → MF 18 石川直宏(54分)
DF 02 徳永悠平
DF 03 森重真人
DF 33 椋原健太
MF 04 高橋秀人
MF 07 米本拓司 → MF 17 河野広貴(68分)
MF 08 長谷川アーリアジャスール
MF 10 梶山陽平
MF 39 谷澤達也 → FW 11 渡邉千真(54分)
FW 49 ルーカス
GK 01 塩田仁史
DF 14 中村北斗
DF 16 丸山祐市
FW 23 林容平
監督 ランコ・ポポヴィッチ
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渡邉“カズMAX”千真の1点目。