梶浦のプロ初先発&プロ初ゴールも、最後に逆転弾をねじ込まれてルヴァンカップGS敗退。
福岡が湘南を降して勝ち点9で並んだ、ルヴァンカップのDグループ。試合前にともに勝ち点4で並び、勝利以外はグループステージ敗退が決まってしまう(引き分けでも湘南、福岡の勝ち抜けが決定する)磐田とFC東京一戦は、アディショナルタイム7分のラストにFC東京陣内で波状攻撃を仕掛けた磐田が、泥臭く鹿沼がゴールを流し込んで逆転に成功。最終節にグループステージ突破への望みを繋げた。一方、敗れたFC東京は勝ち点4にとどまり、グループステージ敗退が決定。2020年の優勝、2021年の4強進出と近年は好成績を挙げていたが、アルベル東京1年目は苦汁を嘗める結果となった。
磐田は前節から梶川、清田を控えに、ドゥドゥを外し、GKにアレクセイ・コシェレフ、中盤に山本康裕、1トップに大津を先発に起用。ジャーメイン良と黒川をシャドーに配した3-4-2-1の布陣に。FC東京は中村帆高とバングーナガンデの両SBに、東廉太とエンリケ・トレヴィザンのCBコンビ、中盤に梶浦勇輝、前線に山下、高萩、紺野を配した布陣。どちらもフレッシュなメンバーとヴェテラン勢を融合させ、勝ち点3奪取に挑んだ。
前半はFC東京がペナルティエリア手前から東慶悟が、その後にバングーナガンデが惜しいシュートを放ち、磐田も黒川の右アウトサイドのシュートが右ポストを掠めそうになるというシュートチャンスはあった。ただ、FC東京がボールを保持するものの、磐田の重心の低い守備からの速攻というスタイルに苦心して、なかなか攻勢を続けられない。全体的にはテンポ良い繋ぎや浮き球のパス交換などもあったが、磐田の守備網を掻い潜れず、アタッキングサードに入ってからパスがズレるなど自らリズムを崩してしまい、なかなかスムーズにゴール前へ攻め込めなかった。チャンスは皆無ではないが、ゴールも遠いという難しい印象の試合となった。
後半は一転して動きが活発に。53分、FC東京は最終ラインの裏のスペースへ抜け出した山下がシュートを決めたかと思ったが、微妙ながらもオフサイドの判定(ルヴァンカップはVARなし)。だが、次第にゴールの匂いがし始めた2分後、エンリケ・トレヴィザンから山下への縦パスの繋ぎからボールが三田に渡ると、ペナルティエリア左角あたりからの三田の浮き球クロスに中から走り込んできた梶浦が左脚を合わせて、FC東京が先制。今季プロ入りの18歳は、プロ初先発で初得点という大仕事をやってのけた。
同様に負けられない磐田は、ファビアン・ゴンザレス、金子、小川大貴と3枚替えを敢行し、4-2-3-1の布陣へ移行。すると、ギャップが生じたのと、疲労から中盤にスペースが出来始めたこともあって、磐田が次第に攻勢へ転じる。FC東京は粘り強く対応していたが、なかなか流れを大きく引き戻すことが出来ず。GK波多野がビッグセーヴを連発して耐えていたが、68分のショートコーナーの流れから、森岡の折り返しをファビアン・ゴンザレスに押し込まれ、同点となった。
FC東京は中村帆高、紺野に代えて、渡邊凌磨、安田を投入。中盤での激しい攻防のなか、鈴木準弥のロングスローからゴール前で立て続けにシュートを放つも、磐田が必死にブロック。さらに、カウンターを繰り返すも、高萩のラストパスがズレたり、山下がシュートを打ち切れずと最後のワンプレーが活かせないなか、88分に最大の絶好機が到来。ディフェンスの背後へ抜け出した山下が、飛び出してきたGKアレクセイ・コシェレフを躱そうとするも、交錯。そのこぼれ球を梶浦が収め、無人のゴールへシュートを放つも、これがクロスバーに阻まれて最大のチャンスを逃してしまう。
アディショナルタイム突入前後にオープンな展開となり、得点が生まれそうなムードのなか、磐田は大津や金子のクロスなどで徐々にゴールへ迫り、FC東京は磐田陣内へ波状攻撃を仕掛けるなか、三田のシュートはクロスバーに弾かれる。引き分けで両者ともにグループステージ敗退という状況もチラつくなかで、最後に決めたのは磐田。左サイド敵陣深くから清田がクロスを入れると、FC東京がなかなか大きく蹴り出せないゴール前の混戦から、小川のヘディングのこぼれ球に反応した鹿沼がゴールへ流し込み、ホームの磐田が勝利を引き寄せた。
FC東京はグループステージ1試合を起こしてルヴァンカップ敗退が決定したが、試合としてはこれまでの5試合のなかでさまざまな可能性を見せたものに。ゴールを決めた梶浦をはじめ、17歳のCB東廉太はスケールの大きさを感じさせ、怪我明けのバングーナガンデもGKの好セーヴに阻まれたものの自身でゴールを狙うなど、積極性も出せていた。ヴェテラン勢では高萩がセンスある配球やスペースに幅広く顔を出して攻撃のリズムを作り、相手の攻撃を詰むなど、リーグに繋がるパフォーマンスも見て取れた。気になるのが山下。リーグでの幻のゴール(判定はハンド)や今回のオフサイド判定でノーゴールもあるが、あと半歩判断を早めてシュートを打つなり、パスを出すなりしていれば、得点が生まれそうな可能性が高いところにいるだけに、もどかしい。磐田の最後の得点のように、もう一つより貪欲な泥臭い姿勢でゴールを意識すれば、おのずと今季初ゴールが見えてくるはずだ。
残念ながら次節はFC東京にとっては消化試合となってしまったが、リーグに繋げる実践の場として欠かせない試合にはなる。フレッシュな面々を中心としたメンバー構成となるだろうが、ルヴァンカップ敗退の結果はひとまず頭から取り除いて、ホームでの勝利に努めたい。
◇◇◇
【JリーグYBCルヴァンカップ グループステージ 第05節】
2022年4月23日(土)15:03試合開始 ヤマハスタジアム
入場者数 5,422人
天候 曇 / 気温 25.6℃ / 湿度 34%
主審 井上知大 / 副審 武田光晴、森川浩次
第4の審判員 道山悟至
磐 田 2(0-0 / 2-1)1 FC東京
得点:
(磐)ファビアン・ゴンザレス(68分)、鹿沼直生(90+7分)
(東)梶浦勇輝(55分)
〈試合経過〉
55分 得点 東京 梶浦勇輝
58分 交代 東京 バングーナガンデ佳史扶 → 渡邊凌磨 / 東 廉太 → 岡崎 慎
59分 警告 磐田 大津祐樹
62分 交代 磐田 吉長真優 → 小川大貴 / 黒川淳史 → 金子翔太 / 上原力也 → ファビアン・ゴンザレス
68分 得点 磐田 ファビアン・ゴンザレス
69分 交代 東京 中村帆高 → 鈴木準弥 / 紺野和也 → 安田虎士朗
83分 交代 磐田 松本昌也 → 清田奈央弥
86分 交代 磐田 ジャーメイン良 → 杉本健勇
86分 交代 東京 東 慶悟 → 品田愛斗
90分 交代 磐田 森岡 陸 → 伊藤槙人
90+7分 得点 磐田 鹿沼直生
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【FC東京】
≪スターティングメンバー≫
GK 13 波多野豪
DF 37 中村帆高 → 渡邊凌磨(69分)
DF 42 東 廉太 → 岡崎 慎(58分)
DF 50 エンリケ・トレヴィザン
DF 49 バングーナガンデ佳史扶 → 鈴木準弥(58分)
MF 43 梶浦勇輝
MF 10 東 慶悟 → 品田愛斗(86分)
MF 08 高萩洋次郎
MF 07 三田啓貴
FW 17 紺野和也 → 安田虎士朗(69分)
FW 19 山下敬大
≪サブスティテューション≫
GK 01 児玉 剛
DF 28 鈴木準弥
DF 29 岡崎 慎
DF 39 岡庭愁人
MF 18 品田愛斗
MF 45 安田虎士朗
FW 23 渡邊凌磨
≪監督≫
アルベル
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【FC東京 2022シーズンスケジュール・JリーグYBCルヴァンカップ】
《Dグループ》
第01節 02月23日(水)15:00 FC東京(中止)磐 田(H・味スタ)
第02節 03月02日(水)19:00 ✕FC東京 0-1 福 岡(A・ベススタ)
第01節 03月15日(火)19:00 △FC東京 0-0 磐 田(H・味スタ)〈代替開催〉
第03節 03月26日(土)15:00 〇FC東京 2-1 湘 南(H・味スタ)
第04節 04月13日(水)19:00 ✕FC東京 1-2 湘 南(A・レモンS)
第05節 04月23日(土)15:00 ✕FC東京 1-2 磐 田(A・ヤマハ)
第06節 05月18日(水)19:00 FC東京✕福 岡(H・味スタ)
【Dグループ順位表】
1位 湘 南 9/5/3/0/2/8/6/2
2位 福 岡 9/5/3/0/2/6/6/0
3位 磐 田 7/5/2/1/2/4/4/0
4位 FC東京 4/5/1/1/3/4/6/-2
※(勝点/試合数/勝/分/負/得点/失点/得失点差)
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