アウェイでの多摩川クラシコ。多摩川“コ”ラシコは4対0で圧勝したものの、本家のトップチームはほとんど良さを発揮出来ずに無得点で終了。
“武藤がいなくなったら勝てなくなったと言われたくない”と強い気持ちで臨んだはずだが、結果を見れば、想像以上に武藤の穴は大きかったということに。
序盤は前線からボールを追って悪い展開ではなかった。決定力不足で先制点のチャンスを逃し、東京の時間帯でシュートまで持ち込めずにいると、後半の52分にエウシーニョに得点されてから気落ちしたのか、一気に川崎のペースとなった。
その川崎も決して褒められた出来ではなく、GKの新井をはじめ、攻撃に関してはいいものの武岡や車屋のディフェンスは脆さも散見。負け惜しみではないが、これが今の東京でなかったらどうなったかと思うと、川崎の守備はドルトムント戦の教訓を活かし切ってその欠点を解消したという単純なものではないと感じた。
東京は攻撃時、ハーフウェー付近(ミドルサード)からアタッキングサード、さらにはバイタルエリア、エリア内へと向かうスピードが非常に遅く、速攻が速攻にならず終わってしまうことが多数。前線の動き出しが少ないという言い方も出来るが、前線を動かそうとする球出しや相手を揺さぶる早いパスも行なわないから、必然的に動き出しを生まないという状況にも陥っている。
具体例で一つ言えば、右サイドから徳永が持ち上がる場面。アタッキングサードに入りかけたところで相手にブロックされるとボールを止めて出しどころを探す、あるいは自陣へ戻りながらパスコースを探す。そこへ相手のプレッシャーがかかるとゴールへ向かって後ろ向きな態勢になり、苦し紛れにバックパスや横パスを出す。あるいは相手と競り合いになるなかでアタッキングサードへ進出しようとするも、相手に競り勝とうとするあまりドリブルが大きくなって待ち構えていた相手にボールを奪われてカウンターでピンチを招く……といった具合だ。
そしてミドル・レンジのシュートが圧倒的に少ない。そもそもシュート自体が少ないのだが、ゴールを意識してバイタルエリアからもっとミドルを放っていれば、相手も対策を練らざるをえなくなり、それが自らの攻撃のヴァリエーションを増やすことやエリアへの進出を比較的楽にすることにもなるのだが、東京にはそれがなく、バイタルエリアやアタッキングサードからのシュートは、ほぼ太田のFKのみといってもいい。
攻撃においては、途中出場したネイサン・バーンズや中島翔哉が可能性を見せてくれた。中島は自分で打開しようと思い過ぎてしまい相手へのミスパスやボールを奪われるなど、結果としては散々な出来だったが、それでもボールを動かそうという意識や積極的な姿勢は窺えた。この試合だけで判断するものではない。ネイサン・バーンズはまだ来日から日が浅く、コンビネーションも取れていない状況の中で、光るものを出せていたと思う。
一番問題なのは、最重要事項として作り上げてきたはずの守備だ。これで1stステージから通じて10試合連続で失点している。奇しくもその失点は味スタでの川崎戦から始まっているのだが。
特に中盤。米本がスペースを埋めるべくハイプレッシャーをかけ続けるのだが、これが奪いきれずにかわされるとポッカリと穴が開き、相手の自由を増やしてしまう。決して米本だけの問題ではないが、彼のボール奪取力に周囲が頼り過ぎているのか、相手への寄せのタイミングが遅いために後手を踏み、前がかりでプレッシャーに行ったところをスルリとパス交換でかわされるという場面が多かった。
詰めるなら詰める、タイミングが遅いと思ったら下手に飛び込まないという冷静な判断が必要不可欠だ。だが、最優先としてはボールを持つ相手へすぐにプレッシャーを“連動”でかけにいくこと。常に前線、中盤、最終ラインが連係してボールを囲い込む、パスの選択肢を潰していく動きが必要だ。
1点目の失点の場面も人数は揃っていながら、どのディフェンスも反応が遅れての対応だったために、中央にぽっかりとスペースを開けたところをエウシーニョに決められている。まずは堅い守備の再構築をもう一度トライしなければならないだろう。しっかりと守れる自信を得られれば、攻撃への余力も生まれてくる。今は、どっちつかずの印象しかない。
単純なことだが、相手陣内へゴールへ近づければ近づけるほど得点の確率は高くなる。逆も真なりで、自陣へのボールの距離が近くなるほどゴールは遠く、相手の得点の可能性が高くなる。いかに素早く、いかに的確に相手陣内のゴールへボールを運べるか、その点を強く意識して、プレイしてもらいたい。
2ndステージは始まったばかりだが、年間トータルでは首位の浦和と勝ち点で9差となった。この時点で既に3試合の勝ち点の差は、優勝争いをする上でこれ以上離されてはいけない差だ。夏の暑さで苦しい時期を過ぎれば、ナビスコカップが控えており、日程が厳しい期間もある。だが、今眼前にある戦いに全勢力で向かい、高いハードルを越えていかねばならない。
◇◇◇
【J1リーグ 2ndステージ 第1節】
2015年07月11日/等々力陸上競技場/18:30キックオフ
観衆:23,793人
天候:晴、弱風
気温:26.1度 湿度:71%
主審:佐藤隆治/副審:村上孝治、三原純
川崎 2(0-0/2-0)0 FC東京
得点:
(川):エウシーニョ(52分)、レナト(74分)
(東):
≪スターティングラインアップ≫
01 GK 権田修一
02 DF 徳永悠平
03 DF 森重真人
29 DF 吉本一謙
06 DF 太田宏介
07 MF 米本拓司
10 MF 梶山陽平
22 MF 羽生直剛 → 高橋秀人(66分)
18 FW 石川直宏 → 中島翔哉(75分)
20 FW 前田遼一
38 FW 東慶悟 → ネイサン・バーンズ(61分)
≪サブスティテューション≫
13 GK 榎本達也
05 DF 丸山祐市
50 DF 松田陸
04 MF 高橋秀人
37 MF 橋本拳人
16 FW ネイサン・バーンズ
39 FW 中島翔哉
≪マネージャー≫
マッシモ・フィッカデンティ
◇◇◇
【明治安田生命J1リーグ 1stステージ】
第01節 03月07日(土)14:00△ FC東京 2-2 G大阪(A・万 博)
第02節 03月14日(土)14:00△ FC東京 0-0 横浜FM(H・味スタ)
第03節 03月22日(日)17:00〇 FC東京 2-0 神 戸(A・ノエスタ)
第04節 04月04日(土)16:00〇 FC東京 1-0 甲 府(H・味スタ)
第05節 04月12日(日)16:00〇 FC東京 1-0 湘 南(A・BMWス)
第06節 04月18日(土)16:00✕ FC東京 1-2 広 島(H・味スタ)
第07節 04月25日(土)18:30〇 FC東京 1-0 山 形(A・NDスタ)
第08節 04月29日(祝)14:00〇 FC東京 1-0 新 潟(A・デンカS)
第09節 05月02日(土)16:00〇 FC東京 2-1 川 崎(H・味スタ)
第10節 05月06日(休)19:00〇 FC東京 3-2 仙 台(A・ユアスタ)
第11節 05月10日(日)16:00✕ FC東京 0-1 鹿 島(H・味スタ)
第12節 05月16日(土)15:30✕ FC東京 1-4 浦 和(A・埼 玉)
第13節 05月23日(土)19:00✕ FC東京 0-1 名古屋(H・味スタ)
第14節 05月30日(土)19:00〇 FC東京 2-1 柏 (H・味スタ)
第15節 06月07日(日)16:00〇 FC東京 2-1 松 本(A・松本平)
第16節 06月20日(土)16:00〇 FC東京 2-1 鳥 栖(A・ベアスタ)
第17節 06月27日(土)19:00〇 FC東京 3-2 清 水(H・味スタ)
【明治安田生命J1リーグ2ndステージ】
第01節 07月11日(土)18:30✕ FC東京 0-2 川 崎(A・等々力)
第02節 07月15日(水)19:00 FC東京×新 潟(H・味スタ)
第03節 07月19日(日)19:00 FC東京×山 形(H・味スタ)
第04節 07月25日(土)18:30 FC東京×鹿 島(A・カシマ)
第05節 07月29日(水)19:00 FC東京×仙 台(H・味スタ)
第06節 08月12日(水)19:00 FC東京×甲 府(A・中銀スタ)
第07節 08月16日(日)18:00 FC東京×G大阪(H・味スタ)
第08節 08月22日(土)19:00 FC東京×名古屋(A・豊田ス)
第09節 08月29日(土)18:00 FC東京×清 水(A・アイスタ)
第10節 09月12日(土)19:00 FC東京×神 戸(H・味スタ)
第11節 09月19日(土)19:00 FC東京×横浜FM(A・日産ス)
第12節 09月26日(土)18:30 FC東京×松 本(H・味スタ)
第13節 10月03日(土)19:00 FC東京×広 島(A・Eスタ)
第14節 10月17日(土)14:00 FC東京×湘 南(H・味スタ)
第15節 10月24日(土)14:00 FC東京×浦 和(H・味スタ)
第16節 10月28日(水)19:00 FC東京× 柏 (A・日立柏)/11月07日(土)14:00
第17節 11月22日(日)13:30 FC東京×鳥 栖(H・味スタ)
【J1リーグ 順位表 年間】
01 浦 和 44/18/13/5/00/41/18/+23
02 広 島 37/18/11/4/03/33/19/+14
03 G大阪 35/18/10/5/03/26/14/+12
04 FC東京 35/18/11/2/05/24/20/+04
05 川 崎 33/18/10/3/05/34/26/+08
06 横浜FM 27/18/07/6/05/22/18/+04
07 鹿 島 25/18/07/4/07/30/27/+03
08 湘 南 25/18/07/4/07/22/25/-03
09 仙 台 23/18/06/5/07/30/24/+06
10 鳥 栖 23/18/06/5/07/25/34/-09
11 神 戸 22/18/05/7/06/22/19/+03
12 名古屋 22/18/06/4/08/19/20/-01
13 甲 府 20/18/06/2/10/13/24/-11
14 柏 18/18/04/6/08/24/28/-04
15 松 本 15/18/04/3/11/18/28/-10
16 山 形 15/18/03/6/09/15/25/-10
17 新 潟 14/18/03/5/10/22/36/-14
18 清 水 13/18/03/4/11/22/37/-15
※(勝点/試合数/勝/分/負/得点/失点/得失点差)
◇◇◇
◇◇◇