*** june typhoon tokyo ***

FC東京×名古屋@味スタ 【ナビスコ】

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 進化と過信。

 会社を終え、ダッシュで味スタへ。風がやや強く吹く上空。ナビスコカップ準決勝進出へ向けて、勝利が必要となるホーム・ゲームだ。名古屋は先の日曜に3-0で勝利した相手。ダヴィの日本でのラスト・マッチでもある。中2日という連戦で、どのようなパフォーマンスを見せるかが一つの課題だった。

 しかしながら、前半10分ほどで試合は決してしまった。東京の攻撃は勢いだけでなく形として意図したものとなっていた。このゴールラッシュにおいては何を言うことはない。強いて言うならば、名古屋のディフェンス対応……という単純なものではなく、チームとしてまったく機能していなかったということか。特にダヴィは前線で孤立するばかりだった。

 だが、あえて苦言を呈すならば、常に自分たちのサッカーを完遂しなければならなかったということだ。中2日、日中の気温が30度を越えるようなタフなコンディション……ということもある。とはいえ、安易なパスミスや中途半端な意識での攻撃は、全く意味をなさない。特に東京の後半は、全く別のチームとなってしまっていた。
 
 前半で4得点し、ゲームプランとしては難しくなった。疲労も考慮しながら、ボール・ポゼッションを高め、速攻と遅効を繰り返す。そういう意図は持っていたとは思う。だが、考えてもらいたいのは、攻撃をすること=疲れる、ということではないということだ。名古屋の速めのプレッシャーに対し、ボールをバックに戻しながらいなそうとするが、あわやパスカットされて、という危険性の高い凡プレーが幾度も見受けられた。今野や梶山、特に梶山はゲームを作る基盤であるのだから、リスクをもっと考えてパスを出してもらいたい。彼はタイミングが独特なワンタッチ・パスを多用するプレイ・スタイルだが、どちらかというとひらめき的な要素が強いため、周囲が見えてないと一気にピンチに陥るようなミスパスも散見するのだ。ひらめきを活かす場面とゲーム・コントロールをし、リスクを回避する場面のしっかりとした区分けをしなければならない。
 そのようなプレイは連鎖反応を起こす。プレッシャーのなかで苦し紛れにしたパスは、その受け手は次なるプレッシャーにたちまち選択肢を奪われ、苦し紛れのプレイを呼び込む……これが今日の名古屋だったからいいが、鹿島や川崎、浦和などが相手だったらどうなっていたか。ボール・ポゼッションをとってみても、自陣ばかりでボール・キープを繰り返し、ラインを下げていれば、一回のミスで失点の危機が訪れるのも無理はない。常に速攻でとめどなく走りまくれ、といっている訳ではない。前半が4得点したから、後半も同様に、ということもない。今後のことを考慮すれば、後半は0-0だっていい。ただ、問題なのは、時間を巧みに進ませながらも、常に自分たちのサッカー・スタイルを保ちながら、最後はフィニッシュで終えるというシンプルな約束事を遂行するべきだったのだ。
 
 その意識の薄れは守備にも伝播する。判断が緩んだ隙に小川のゴールで失点をしてしまった。相手もあることだから失点の可能性はある。だが、それが判断の緩みやモチベーションの低下などから来るものであるならば、そのあたりは大いなる修正を求められて当然だ。野球で言うならば、序盤に大量得点をして勝負を決した展開なのに、投手が無意味な四球を繰り返したり、塁上の走者が先の塁へ行くべきところをボーンヘッドしたりという、それ自体は結果として試合の大勢に影響はないとしても、今後の試合に悪影響を及ぼすプレイをするといった類のことだ。東京が勢いを持っている時はいい。ただ、チームとしてはあくまでもさらなる高みへと進化しなければならない時。リーグ戦にしたって、中位、下位のチームに連勝しているだけで、鹿島をはじめとする上位チームから連勝を築き上げてきた訳ではないのだ。
 今は上位へ挑戦権を獲得し、互角以上にやりあえる可能性が高まったという段階でしかない。チームとして勢いから本物の強さへと変革しなければならない時なのだ。だからこそ、高いレヴェルをキープしていかなければならない。大げさに言えば、プレイでのいなし方、休み方にもしっかりとした哲学を持ち続けるべき、ということ。消極的な選択肢はチームの勢いを留まらせ、油断を生む。カップの奪取、リーグの制覇を掲げるチームを求めるならば、来るべき上位との対戦に備え、いま一度意識を徹底させて、過信を捨て、さらなる進化へとまい進して欲しいところだ。

◇◇◇

 久々の大勝。後半にイライラしたところはあったものの、トータルで判断すれば、上出来の結果。次のアウェイ・ゲームでよほどのことがない限り、準決勝へ進めるだろう。カボレ、平山、石川の好調さはとまりそうもないし、羽生の展開力と運動量や米本の献身的でしつこいプレイは、相手に脅威を与えるのに充分だ。当初は不安視されていたブルーノや今野、権田のディフェンスもしっくりきている。浮かれたくなる要素が大いにあるが(苦笑)、やはりここは勝って兜の、だ。鹿島、川崎、浦和などに今日の前半のような試合が出来た時、チームは頂へ近い存在になる日も近くなるだろう。それまでは恐れることなく、しかしながら自己のスタイルに忠実に、進化を積み重ねていかなければならない。

 それにしても、名古屋はどうしたのか。前へ前へという意図は多少は感じられたが、一転守勢にまわると、ズルズルとなすすべなく立ち尽くすのみ。アグレッシヴなプレイはほとんど見られなかった。個々の選手の質は高く、サイドを巧みに活用して、という昨季の好調時のイメージがまるでない。ベンチで考え込むしかなかったピクシーの心境たるや……。


◇◇◇

2009 J1 ヤマザキナビスコカップ 準々決勝 第1戦

FC東京 5(4-0、1-1)1 名古屋

【得点】
(東): 平山(前半3分)、米本(前半10分)、石川(前半11分)、長友(前半26分)、オウンゴール(後半30分)
(名): 小川(後半8分)

会場: 味スタ
観客: 12,226人


≪STARTING LINE-UP≫
GK 20 権田修一
DF 25 徳永悠平
DF 04 ブルーノクアドロス
DF 06 今野泰幸
DF 05 長友佑都
MF 28 米本拓司 (→ 後半23分、鈴木)
MF 10 梶山陽平
MF 18 石川直宏 (→ 後半28分、田邉)
MF 22 羽生直剛
FW 09 カボレ (→ 後半0分、赤嶺)
FW 13 平山相太

≪SUBSTITUTION≫
GK 01 塩田仁史
DF 03 佐原秀樹
DF 33 椋原健太
MF 19 大竹洋平
MF 27 田邉草民
MF 40 鈴木達也
FW 24 赤嶺真吾

≪MANAGER≫
城福浩

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