*** june typhoon tokyo ***

FC東京 vs 名古屋 @味スタ【J1リーグ】


 第5節・名古屋戦以来の零封で連敗ストップ、クラモフスキー初陣飾る。

 リーグ3試合3失点3連敗でアルベルが退任し、新たにクラモフスキーが指揮を執ることになったFC東京。新体制初陣となるホームゲームは、ディエゴ・オリヴェイラの2ゴールで2位・名古屋を降して、リーグ戦の連敗をストップ。5試合ぶりの勝利となった。クリーンシートで終えたのは、第5節のアウェイ名古屋戦以来。クリーンシートでの勝利となると、開幕戦の浦和戦以来となる。

 FC東京は木本に代わってエンリケ・トレヴィザンをCBに、右SBに直近のルヴァンカップ・グループステージ最終節・京都戦と同様に小泉を配し、松木と安部のダブルボランチ、俵積田が先発に名を連ねた4-2-1-3の布陣。一方、名古屋は、負傷のDF丸山に代わって野上が入った以外は、前節と同様の3-4-2-1の布陣。

 アルベル体制ではアンカーに適する人材がなく、常にアンカーの両脇を狙われるという苦悩から抜け出せないままだったが、運動量豊富な松木と安部のダブルボランチとすることで、その懸念を打ち消した。名古屋は安定感ある守備から、キャスパー・ユンカー、マテウス・カストロ、永井というスピードある前線で一気にゴールを狙う戦術だが、そのボールの出どころや中盤での切り替えの部分での競り合いでFC東京がやや上回ったということか。

 FC東京は前線から素早いプレスを仕掛け、球際で名古屋を上回る。ただ、名古屋も後ろからロングボールを供給し、DF陣のスペースへ走り込む形でチャンスを窺う。キーポイントの一つとなったのは、前半16分。名古屋は前方へ浮き球を送るとキャスパー・ユンカーがペナルティアークで頭で繋ぎ、マテウス・カストロが抜け出してGKヤクブ・スウォビィクと1対1に。この場面でGKヤクブ・スウォビィクがファインセーヴで弾き、絶好機を防いだ。

 すると、17分にディエゴ・オリヴェイラが左サイド深くからドリブル突破して、マイナスのクロス。渡邊がエリア中央でフリーとなっていたが、この絶好機を枠外へ浮かせてしまう。ただ、その直後にエンリケ・トレヴィザンの高い位置でのインターセプトから松木を経由して渡邊へボールが渡ると、ペナルティエリア中央に走り込んできたディエゴ・オリヴェイラへパス。これをゴールに背を向けて受けたディエゴ・オリヴェイラが素早く反転して左脚を振り抜くと、GKランゲラックが手を伸ばすも届かず。FC東京が先制に成功した。

 34分に仲川の負傷で前半から交代カードを切らざるをえなくなったが、この先制点でより集中を高めたFC東京は、その後もいくつか名古屋の縦に速い攻撃からシュートチャンスを作られるが、森重やエンリケ・トレヴィザンをはじめ、中盤や前線の選手も戻ってボールを奪い、名古屋に最後までやり切らせず。ロングボールで前線のスピードで勝負させる以外は、サイドにボールを供給するものの、なかなか思うような形が作れない名古屋は、FC東京の素早いプレスに苦しめられて、中盤の球際の攻防も一歩遅れる場面が散見。両チームともに早い段階からイエローカードを受けていた影響もあってか、後半開始からイエローカード1枚を受けていた米本が山田に代わると、中盤のボール奪取も上手くいかず、ボールは保持出来るものの、単調な攻撃を繰り返す状況に。

 素早い切り替えと豊富なスプリントで球際の勝負に競り勝っていたFC東京が次第に主導権を握り始めると、連動性を持ったまま、ミドルシュートやCKなどのセットプレーで攻め込む回数が増えていく。名古屋も時折鋭いカウンターやアーリークロスからの好機を作るが、単調で続かない。高い位置からのボール奪取が目立つFC東京は、76分に最大の絶好機。名古屋のパスミスを突いて、ディエゴ・オリヴェイラがペナルティエリア左へ進入すると、GKランゲラックをかわして、右脚でシュートを放つ。だが、ゴールライン上に1人カヴァー入った選手が気になったか、枠の左へ外して、追加点のチャンスを逃してしまった。

 それでも、その4分後に松木が左サイド深くに進出していた安部にパスを送ると、安部がゴール前でポジション取りして待つディエゴ・オリヴェイラへクロス。この正確なクロスを、ディエゴ・オリヴェイラがしっかりとヘディングで決めて、FC東京が追加点。その後も集中力を切らさずに、攻守のバランスを保ったFC東京が名古屋の反撃の芽を摘み、ホームで久しぶりの「眠らない街」を響かせた。

 スコアや結果としては快勝というところだが、リーグ戦としては約2週間ぶりとブレイクがあったとはいえ、すぐさまクラモフスキーがチームを改善出来たということではないと思う。たしかに前線への鋭いプレスや球際でボールを奪えたこと、テンポ良いパス回しを続けられたことなど、良化した場面が多く見受けられた。なによりもディエゴ・オリヴェイラのサポートや距離感が良くなったのが大きく、そしてディエゴ・オリヴェイラ自身も近リーグ5試合で4得点と好調をキープしていることもあり、それが2ゴールにも結び付いた形だ。何よりも競り合いで上回り、泥臭く走るということに慣れていたり、そのようなスタイルが活きる選手(たとえば小泉など)が少なくなかったのも、有効となった。

 ただ、思った以上に名古屋が試合に乗り切れないまま、FC東京の勢いの呑まれたという側面も否定は出来ない。いわゆる"ハマって”しまったという試合と言えるのかもしれないが、何か落ち着きがなく、終始バタバタしていた感が抜けきれないまま、90分が過ぎた感じも。それゆえ、FC東京は初陣で連敗ストップ、リズミカルにパスが繋がり、安部やエンリケ・トレヴィザンなどミドルシュートも積極的に放つなど、(連敗中に比べたら当然なのだが)見応えある場面が多かったが、ではそれが完全復調やら状態改善かというと、まだ早計ではある。ダブルボランチにより最終ラインとの距離が近く、スペースを埋めることが増えたのは確かだが、一方で、前線がプレスを掛けた際に中盤との距離が生まれて、スペースが生まれることも。入れ替わりでボールを持ち出されると、中盤で支配されるという危険性は低くない。それは一例ではあるが、それらの課題に取り組み、修正を重ねないと、上位や布陣が噛み合わないチームに対しては、この日出来ていたサッカーが遂行可能かというと、まだ大きく首を縦に振ることは出来ない。

 大切なのは、この内容を相手が変わるなかでいかに続けられるかだ。集中力などのメンタル的な部分はもちろん、守備を安定させて、素早いパス回しや精度を維持出来るか。ここの成就が今後、上位を狙える位置に割り込んでいけるのか、はたまた残留圏に吸い込まれるのかの分水嶺になるように思う。次節は現在勝ち点13で16位と苦しんでいる柏とのホームでの一戦になる。舐めてかかってはいけないが、上位に食い込むには、連勝はマストだ。

◇◇◇

明治安田生命J1リーグ 第18節
2023年6月24日(土)19:03KO 味の素スタジアム
入場者数:28,636人
天候:晴 / 気温:25.3℃ / 湿度 54%
主審:御厨貴文 / 副審:西橋 勲、平間 亮
第4の審判員:阿部将茂
VAR:上田益也 / AVAR:高山啓義

 FC東京 2(1-0 / 1-0)0 名古屋

【得点】
FC東京:ディエゴ・オリヴェイラ(18分)、ディエゴ・オリヴェイラ(80分)
名古屋:

〈試合経過〉
18分  得点 FC東京 ディエゴ・オリヴェイラ
25分  警告 名古屋 米本拓司
29分  警告 名古屋 永井謙佑
34分  交代 FC東京 仲川輝人 → 塚川孝輝
35分  警告 名古屋 野上結貴
45+1分 警告 名古屋 マテウス・カストロ
45+7分 警告 FC東京 安部柊斗
46分*  交代 名古屋 米本拓司 → 山田 陸
58分  警告 FC東京 ディエゴ・オリヴェイラ
64分  交代 FC東京 俵積田晃太 → 東 慶悟
64分  交代 名古屋 和泉竜司 → 河面旺成 / 永井謙佑 → 重廣卓也
72分  警告 FC東京 ヤクブ・スウォビィク
76分  交代 名古屋 森下龍矢 → 石田凌太郎
80分  得点 FC東京 ディエゴ・オリヴェイラ
81分  交代 名古屋 野上結貴 → 貴田遼河
84分  警告 FC東京 エンリケ・トレヴィザン
85分  交代 FC東京 ディエゴ・オリヴェイラ → ペロッチ / 渡邊凌磨 → 野澤零温


【FC東京】
〈スターティングメンバー〉
GK 27 ヤクブ・スウォビィク
DF 37 小泉 慶
DF 03 森重真人
DF 44 エンリケ・トレヴィザン
DF 05 長友佑都
MF 07 松木玖生
MF 08 安部柊斗
MF 11 渡邊凌磨
FW 39 仲川輝人
FW 09 ディエゴ・オリヴェイラ
FW 33 俵積田晃太

〈控えメンバー〉
GK 41 野澤大志ブランドン
DF 17 徳元悠平
DF 04 木本恭生
MF 10 東 慶悟
MF 35 塚川孝輝
FW 22 ペロッチ
FW 42 野澤零温

〈監督〉
ピーター・クラモフスキー


◇◇◇

【明治安田生命J1リーグ 2023シーズン FC東京試合日程・結果】
第01節 02月18日(土)14:00〇FC東京 2-0 浦 和(H・味スタ
第02節 02月26日(日)15:00△FC東京 1-1  柏 (A・三協F柏
第03節 03月04日(土)14:00✕FC東京 0-2 京 都(A・サンガS
第04節 03月12日(日)15:00〇FC東京 3-1 横浜FC(H・味スタ
第05節 03月18日(土)14:00△FC東京 0-0 名古屋(A・豊田ス
第06節 04月01日(土)15:00✕FC東京 0-1 鳥 栖(A・駅スタ
第07節 04月09日(日)15:00△FC東京 2-2 湘 南(H・味スタ
第08節 04月15日(土)16:00✕FC東京 1-2 C大阪(H・味スタ
第09節 04月22日(土)14:00〇FC東京 2-1 広 島(A・Eスタ
第10節 04月29日(土)15:00〇FC東京 2-1 新 潟(H・味スタ
第11節 05月03日(水)15:00✕FC東京 0-1 福 岡(A・ベススタ) 
第12節 05月06日(土)14:00✕FC東京 1-5 札 幌(A・札幌ド) 
第13節 05月12日(金)19:30〇FC東京 2-1 川 崎(H・国 立
第14節 05月20日(土)15:00△FC東京 1-1 鹿 島(A・カシマ
第15節 05月27日(土)14:00✕FC東京 2-3 神 戸(A・ノエスタ
第16節 06月03日(土)15:00✕FC東京 2-3 横浜FM(H・味スタ) 
第17節 06月11日(日)18:00✕FC東京 1-3 G大阪(A・パナスタ
第18節 06月24日(土)19:00〇FC東京 2-0 名古屋(H・味スタ

第19節 07月01日(土)19:00 FC東京 ✕  柏 (H・味スタ
第20節 07月08日(土)19:00 FC東京 ✕ 浦 和(A・埼 玉
第21節 07月16日(日)19:00 FC東京 ✕ 鹿 島(H・味スタ
第22節 08月06日(日)19:00 FC東京 ✕ C大阪(A・ヨドコウ
第23節 08月12日(土)19:00 FC東京 ✕ 京 都(H・味スタ
第24節 08月19日(土)19:30 FC東京 ✕ 横浜FM(A・日産ス) 
第25節 08月26日(土)19:00 FC東京 ✕ 神 戸(H・国 立) 
第26節 09月02日(土)00:00 FC東京 ✕ 福 岡(H・味スタ
第27節 09月16日(土)00:00 FC東京 ✕ 川 崎(A・等々力
第28節 09月23日(土)00:00 FC東京 ✕ 鳥 栖(H・味スタ) 
第29節 09月30日(土)00:00 FC東京 ✕ G大阪(H・味スタ
第30節 10月21日(土)00:00 FC東京 ✕ 横浜FC(A・ニッパツ
第31節 10月28日(土)00:00 FC東京 ✕ 広 島(H・味スタ
第32節 11月11日(土)00:00 FC東京 ✕ 新 潟(A・デンカS
第33節 11月25日(土)00:00 FC東京 ✕ 札 幌(H・味スタ
第34節 12月03日(日)00:00 FC東京 ✕ 湘 南(A・レモンS


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