低調の札幌にも助けられ、5試合ぶりのクリーンシート勝利。
前半に2点、後半に1点、計3得点でクリーンシートと、数字的に見れば快勝だが、内容としては諸手を上げて喜べるものではなかった。前半2点はともにPKでの得点で、後半も札幌の最終ラインでの受け渡しのなかで、荒野のパスをカットしてアダイウトンが飛び出しているGKを見てループシュートを決めたもので、相手を崩して、流れのなかで挙げた得点ではなかった。ボールを持ち、自分たちの時間を作ることに主眼を置いているはずが、ボール支配率は札幌がかなり優勢に。“ボールを持たせている”というよりは、札幌に多くの時間帯でボールを握られ、守勢に回っているという印象の方が強かった。
その意味では、3点快勝を結果だけを見てしまうと、次節以降大きな痛手を負う可能性も少なくないだろう。どちらも中3日での一戦となるが、札幌は前節・京都とアウェイ連戦での長距離移動に蒸し暑さも重なって、かなり疲労からの判断力と精度を欠いていたようだ。攻撃時はシュートチャンスも枠内シュートが少なく、最終ラインや中盤からのパスミスが散見され、正直なところその低調なパフォーマンスにFC東京は助けられたところが大きい。札幌はマンマークで最終ラインが高いため、そこをおびき寄せると裏へのスペースが空き、そこへボールを送ると、左はアダイウトン、右は紺野が走り込める余地があった。そして中央はレアンドロがトリッキーなフェイントでエリア付近まで持ち込めた。だが、そこからのアイディアや連動性はあまり感じられず。前半34分にペナルティエリア右からの紺野のシュート気味のクロスを菅が手に当てて、FC東京がPKを獲得。これをレアンドロが難なくこれを決めたことで、FC東京の方に精神的な余裕が生まれ、ゲームバランスの重心がFC東京の方に傾いていった。
その後、互いに中盤でボールを収められない状況が続き、シュートチャンスもないなかで、前半終了間際にペナルティエリア手前でのアダイウトンのドリブル突破を岡村が倒してFC東京がFKを獲得。レアンドロのFKを壁に入っていた興梠がジャンプする際に肘を出してしまい、ハンドの判定。これで得たPKをアダイウトンが左ポストの内側に当てながらゴールへ流し込み追加点。札幌にとっては心身ともに厳しい失点で前半を終えることになった。
さらに、後半早々、札幌は最終ラインからビルドアップの際に、荒野のパスがアダイウトンにカットされると、アダイウトンは札幌・GK大谷の飛び出しを見て、遠目からのがら空きのゴールマウスにループシュートを放って3点目。FC東京にとっては幸運だが、札幌にとってはミスが連続しての3失点。なかば自滅のような形で、自ら厳しい状況に追い込んでしまった感が拭えない。
札幌は前節・京都戦でGK菅野が退場して出場停止となったため、GKは大谷の先発となったが、DFラインとの連係で呼吸が合わなかったということではなく、最終ラインと中盤との意思疎通があまり図れなかったようだ。攻勢になりかけるところをパスミスでチャンスを失って、リズムを崩し、守備への負担を自ら重ねていった感があった。
それを考えると、後半のFC東京は、低調な札幌にアダイウトンのラッキーな1点のみというのは、やや不甲斐なさも。アダイウトンを永井に、紺野をディエゴ・オリヴェイラにスイッチし、さらにレアンドロに代わって渡邊凌磨を投入するなど選手交代で流れを引き寄せようとするも、かえって札幌にチャンスを作られる場面が増え、FC東京陣内へ押し込まれる時間帯も。GKヤクブ・スウォビィクのファインセーヴなどもあって失点は免れたが、これが調子の上がらない札幌が相手ではなかったらと考えると、ゲームの運び方にも不安要素は残る。
したがって、Jリーグ初先発となった梶浦や、アンカーで札幌のパスをスクリーンして奪っていた東慶悟などは良いパフォーマンスではあったが、これが即他のチームに通用するかとなると別問題ではある。
ただ、それでも、このところ続いていた失点を止めたことは良かった。一部のエリアではあるが、声出し応援運営検証対象試合として両ゴール裏からコールやチャントが響き渡るホームゲームで、1ヵ月以上ぶりの勝ち点3を得た意味は、今後の順位の動向を考えると、非常に大きい。
再び中3日で次節はアウェイ浦和戦を迎えるFC東京だが、エンリケ・トレヴィザン、安部柊斗、青木と怪我人が増えてくるなかで、どのようなやり繰りをしていけるか。アンカーの東慶悟、松木と梶浦のIHコンビは新たなピースになり得るか。また、怪我人によってチャンスを掴む下からの“突き上げ”は出てくるか。勝敗はもちろんだが、次節・浦和戦はさまざまな意味で分水嶺になりそうだ。
◇◇◇
【明治安田生命J1リーグ 第20節】
2022年7月6日(水)19:03試合開始 味の素スタジアム
入場者数 11,516人
天候 曇 / 気温 25.3℃ / 湿度 73%
主審 荒木友輔 / 副審 山内宏志、日比野真
第4の審判員 森川浩次
VAR 榎本一慶 / AVAR 川俣 秀
FC東京 3(2-0 / 1-0)0 札 幌
得点:
(東)レアンドロ(35分、PK)、アダイウトン(45+4分、PK)、アダイウトン(51分)
(札)
〈試合経過〉
15分 交代 札幌 ガブリエル・シャビエル → 興梠慎三
19分 警告 札幌 金子拓郎
34分 警告 札幌 菅 大輝
35分 得点 東京 レアンドロ(PK)
45+2分 警告 札幌 興梠慎三
45+4分 得点 東京 アダイウトン(PK)
46分*' 交代 札幌 福森晃斗 → 宮澤裕樹
51分 得点 東京 アダイウトン
55分 交代 札幌 荒野拓馬 → 深井一希
58分 交代 東京 アダイウトン → 永井謙佑 / 紺野和也 → ディエゴ・オリヴェイラ
72分 交代 東京 レアンドロ → 渡邊凌磨
75分 警告 東京 バングーナガンデ佳史扶
78分 交代 札幌 興梠慎三 → ミラン・トゥチッチ / 菅 大輝 → 西 大伍
87分 交代 東京 東 慶悟 → 品田愛斗 / バングーナガンデ佳史扶 → 鈴木準弥
◇◇◇
【FC東京】
≪スターティングメンバー≫
GK 24 ヤクブ・スウォビィク
DF 05 長友佑都
DF 30 木本恭生
DF 03 森重真人
DF 49 バングーナガンデ佳史扶 → 鈴木準弥(87分)
MF 44 松木玖生
MF 10 東 慶悟 → 品田愛斗(87分)
MF 43 梶浦勇輝
FW 17 紺野和也 → ディエゴ・オリヴェイラ(58分)
FW 15 アダイウトン → 永井謙佑(58分)
FW 20 レアンドロ → 渡邊凌磨(72分)
≪サブスティテューション≫
GK 13 波多野豪
DF 28 鈴木準弥
DF 29 岡崎 慎
MF 18 品田愛斗
MF 23 渡邊凌磨
FW 11 永井謙佑
FW 09 ディエゴ・オリヴェイラ
≪監督≫
アルベル
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◇◇◇
【FC東京 2022シーズンスケジュール・J1リーグ】
第01節 02月18日(金)19:00 ✕FC東京 0-1 川 崎(A・等々力)
第02節 02月26日(土)15:00 FC東京✕名古屋(H・味スタ) ※中止
第03節 03月06日(日)16:00 〇FC東京 1-0 C大阪(A・ヨドコウ)
第04節 03月12日(土)15:00 〇FC東京 2-1 広 島(H・味スタ)
第05節 03月19日(土)14:00 〇FC東京 1-0 京 都(A・サンガS)
第06節 04月02日(土)19:00 ✕FC東京 1-2 横浜FM(A・日産ス)
第07節 04月06日(水)19:00 〇FC東京 3-1 神 戸(H・味スタ)
第08節 04月10日(日)14:00 △FC東京 0-0 浦 和(H・味スタ)
第09節 04月16日(土)13:00 △FC東京 0-0 札 幌(A・札幌ド)
第02節 04月20日(水)19:00 △FC東京 0-0 名古屋(H・味スタ)※代替
第10節 04月29日(金)19:00 〇FC東京 2-0 G大阪(H・国 立)
第11節 05月03日(火)17:00 ✕FC東京 1-5 福 岡(A・ベススタ)
第12節 05月08日(日)15:00 ✕FC東京 0-1 鳥 栖(H・味スタ)
第13節 05月14日(土)14:00 ✕FC東京 1-2 磐 田(A・ヤマハ)
第14節 05月21日(土)15:00 △FC東京 0-0 柏 (H・味スタ)
第15節 05月25日(水)19:00 〇FC東京 3-0 清 水(A・アイスタ)
第16節 05月29日(日)15:00 〇FC東京 3-1 鹿 島(H・味スタ)
第17節 06月18日(土)18:00 ✕FC東京 0-2 湘 南(A・レモンS)
第18節 06月26日(日)19:00 ✕FC東京 0-5 鳥 栖(A・駅スタ)
第19節 07月02日(土)18:00 △FC東京 2-2 福 岡(H・味スタ)
第20節 07月06日(水)19:00 〇FC東京 3-0 札 幌(H・味スタ)
第21節 07月10日(日)19:00 FC東京✕浦 和(A・埼 玉)
第22節 07月17日(日)18:00 FC東京✕磐 田(H・味スタ)
第23節 07月30日(土)19:00 FC東京✕広 島(A・Eスタ)
第24節 08月07日(日)18:00 FC東京✕清 水(H・味スタ)
第25節 08月13日(土)19:00 FC東京✕C大阪(H・味スタ)
第27節 08月27日(土)19:00 FC東京✕ 柏 (A・三協F柏)
第28節 09月03日(土)・04日(日) FC東京✕横浜FM(H・味スタ)
第29節 09月10日(土)・11日(日) FC東京✕G大阪(A・パナスタ)
第26節 09月14日(水) FC東京✕神 戸(A・ノエスタ)※
第30節 09月17日(土)・18日(日) FC東京✕京 都(H・国 立)
第31節 10月01日(土)・02日(日) FC東京✕鹿 島(A・カシマ)
第32節 10月08日(土) FC東京✕湘 南(H・味スタ)
第33節 10月29日(土) FC東京✕名古屋(A・豊田ス)
第34節 11月05日(土) FC東京✕川 崎(H・味スタ)
※神戸がACLにおいてGS敗退の場合、8月20日(土)19:00に変更の可能性あり
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