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【名盤】影響を受けた音楽をうすーくディスクレビューする【紹介】John zorn/Naked city

2020-11-30 21:10:25 | 名盤紹介

JUN SOUNDSYSTEMが影響を受けた私的名盤をうすーく語る。
主に若かりし頃に沢山聴いた音楽を紹介していきます。
John zorn/Naked city ジョン・ゾーン/ネイキッド・シティ



あふりらんぽのレビューでも触れたTZADIKというレーベルを主宰するジョン・ゾーンの代表作と名高い90年の作品。
HMVのサイトでたまたまセールで安くなってたのも手伝って、彼が手掛けた映画音楽集「フィルム・ワークス」を試聴して
みたところ、そのエキゾチックな雰囲気にすっかり嵌ってしまい、とりあえず代表作をと手に取ってみたのが始まりです。

John Zorn - Zhakor (vocal) [Filmworks XIV - Hiding and Seeking]

                    
通常、レビューはその人自身の人となりやキャリアに触れることからはじめるべきなのでしょうが、数十年もの音楽家人生を
持つ彼の歴史や足跡を事細かに説明できるほどの知識は残念ながら僕にはないし、彼と共演、共作したり、関わった人達が
どれくらい偉大かも良く分からないレベルです。知ったようなつもりの文章書くためにウェブで調べるだけでも膨大な時間が
かかるのは間違いない人物なので、そういう類の話は専門家の方や、精通なさってる方に託すとして、スムーズに内容に
ついての言及に移ろうと思います。

ちなみに彼の生き様は参考になること間違いなしなので興味ある方は是非どうぞ。 精神論も含めて。
                    

で、まず目を引くのはそのジャケット。男性の死体と彼を死に至らしめたと思しきリボルバー。ジョン・ゾーンの場合、
各種プロジェクト作品のアートワークはグロいものも多いです。なぜか学生時代に学校の図書室にあった死体だけをまとめた
写真集を怖いもの見たさで開いた時と、その後の重い気分をまさか大人になってからも味わうとは・・・といった感じです。
CDを開けるとこれま たグロい漫画が・・・。丸尾末広さんという方の書いた絵のようですね。



漫画喫茶で興味本位に読んだホラー漫画を思い出します。でも、彼が音楽に求めるものだったり、打ち出すイメージとは
こういうものなんでしょう。確かにヴァイオレンスを感じる演奏を聴かせてくれます。同時にいまだ知られていない
日本の文化をもっと世界に発信すべきという姿勢には脱帽です。

また話が逸れ気味なので、手っ取り早く内容を説明すると、世に言うフリー・ジャズ、アヴァンギャルド・ジャズ、
ハードコア・ジャズに当てはまるのかな。でも、聴いていただくと分かると思いますが、時に自慰行為とも取れるその手の
即興演奏の脈絡のなさは感じないどころか、メロディの骨格はむしろしっかりしてます。

John Zorn (Naked City) - Batman, The Sicilian Clan


Naked City Track 4 Latin Quarter


しかも全ての楽器がスタンドプレーしているようでいて、不快な触れ幅を感じないのはその実、計算し尽くされている
という事ですし、それぞれが一人歩きすることなく統率が取れてる恐ろしいクオリティ。ジャズとは複雑なコード進行や
理論が示しているように知性の音楽とも言えますし、演奏するのも曲を書くのも難儀であるのは想像に難くないのですが、
今作はロック・バンドの形で体現するのが目的だけあって、僕のようなライトリスナーにも門戸が広く、馴染み深くも
新鮮であるという強烈なインパクトを与えてくれます。

個人的な感想としては中盤の山塚アイ(ヴォアダムス)のスクリーミング・シャウトはいらないと思ってしまいますが
(これが入ることで、グッとアングラっぽくなってしまう。といっても8 曲4分程で終わりますが。)

John Zorn & Naked City with Eye - NYC live


特に前半と後半のスリリングさ。そしてほぼ全曲にいえる性急で圧倒される急展開。ハードコアからお洒落なバーが
似合いそうなモダン・ジャズに突如変貌するところなどは聴いていてゾクゾクします。ソリッドなギターサウンド、
超技巧ながらもパワフルなドラム、時おり絡むニューウェーブにも通じるシンセ・サウンドやオルガン、そしてジョン
自身のサックスも含めて、ジェームズ・チャンスやノーウェイブ周辺、ポスト・パンク、ポップグループなんかを
聴く人には抵抗ないと思います。

John Zorn-Naked City - A Shot In The Dark


個人的に阿部薫で一度は挫折を思い知ったジャンルですがこうやって徐々に耳を慣らしていければなと思います。
また超有名なジェームス・ボンドのテーマや、バットマンのカバーといった馴染み深いものが入っていたり、
エンリオモリコーネの曲が絡んできたり、その他多種多様なジャンルの音楽が見え隠れします。
それもそのはず彼のプロジェクトは多岐に渡っていて、中近東の音階を用いたり(僕が買ったフィルム・ワークスは
この色が濃い)、トラディッショナル(この辺りが好きな方は MASADAをどうぞ。ユダヤ音楽です。)

John Zorn - Masada - Live at Tonic 1999 - Beeroth


または中国の音階や日本の純邦楽を思わせる曲、クロード・チアリが弾きそうな曲まであります。クラシックの素材集めに
没頭しているという発言もあり、彼の中に根付く「ハードボイルド」、または「エロ・グロ・ナンセンス」とも取られかねない
過激な感性と、あの教養の固まりとも言えるクラシックがどんな形で融合するのか。物凄く興味が湧きますが、
それこそ彼の創作意欲に呼応するように湯水の如く作品を発表しているので、とても追いつく事や全ての把握は出来ません。
徐々に造詣を深めていけたらと思います。

ちなみに、彼はユダヤ人で人種の坩堝であるNYで育ったらしく、それがこれだけ多岐の音楽を吸収する礎になったと
インタビューで語っています。そんな中で日本にも興味を持ったと。この「ネイキッド・シ ティ」制作時も、NYと日本を
行ったり来たりの生活をしていたようで、日本を愛してくれる外国人が大好きなお国柄なんですから、もっとクローズ・アップ
されてもいいと思います。といってもご本人は「外人扱い」されるのを嫌ってるようですが。

余談としてマイク・パットン率いる「Mr.Bungle」というグループがいまして、1stがとんでもない奇天烈ミクスチャー音楽で
僕も気に入って聴いていたのですが、プロデューサーが何と「ジョン・ゾーン」だと知った時、納得過ぎて、すっごい笑いました。

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自分の聴く音楽はやっぱり知らない間にどこかで繋がってるんだなぁと痛感しましたが、未だに狭い檻の中からすら
出ていないじゃないかと改めて「井の中の蛙大海を知らず」の意味を思い知りました。


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