若竹七海のミステリ短篇集『暗い越流』を読みました。
若竹七海の作品は、昨年の6月に読んだ『古書店アゼリアの死体』以来ですね。
-----story-------------
凶悪な死刑囚に届いたファンレター。
差出人は何者かを調べ始めた「私」だが、その女性は五年前に失踪していた!(表題作)
女探偵の葉村晶は、母親の遺骨を運んでほしいという奇妙な依頼を受ける。悪い予感は当たり……。(「蠅男」)
先の読めない展開と思いがけない結末――短編ミステリの精華を味わえる全五編を収録。
表題作で第66回日本推理作家協会賞短編部門受賞。
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2014年(平成26年)に刊行された短篇集……『蝿男』と『道楽者の金庫』の2篇は葉村晶シリーズの作品です。
■蝿男
■暗い越流
■幸せの家
■狂酔
■道楽者の金庫
■単行本あとがき
■解説 近藤史恵
5年前、通りかかった犬に吠えられ飼い主と口論になった末に逆上し車で暴走、死者5名、重軽傷者23名という事件を引き起こした最低の死刑囚・磯崎保にファンレターが届いた……その差出人・山本優子の素性を調べるよう依頼された「私」は、彼女が5年前の嵐の晩に失踪し、行方が知れないことをつきとめる、、、
優子の家を訪ねた「私」は、山本家と磯崎家が目と鼻の先であることに気づいた……折しも超大型台風の上陸が迫っていた…(「暗い越流」)。
第66回日本推理作家協会賞“短編部門”受賞作『暗い越流』を収録……短篇ミステリの醍醐味と、著者らしいビターな読み味を堪能できる傑作集!!
葉村晶シリーズ2篇にショッキングでダークなオチが用意されたノンシリーズ3篇を挟んだ構成でした。
イチバン印象に残ったのは……ひとりの男性の自己紹介から始まり、そこから一人称で少しずつ情報が開示され、過去の状況、現在の状況、そしてこれから何が起こるのかが徐々に判明する展開の『狂酔』、、、
教会らしき建物に立て籠り、人質らしきシスターらしき人物に話し続けている中で、読み手は時間を遡り恐るべき事件を知る……その中である事件に隠されたゾッとする事実が判明する結末、ママは戻りたいところに戻れたんでしょうねー 最後の1行が強烈な印象を残す作品でした。
その他では、、、
死刑囚にファンレターが届き、ある編集者が死刑囚の弁護士から差出人についての調査を依頼されるという展開の序盤からぐいぐい惹き込まれ、思いがけない結末まで一気に連れていかれ、叙述トリックに心地良く騙されてしまった『暗い越流』、
ある生活雑誌の編集長が行方不明になり、部下の編集者が編集長の行方を捜す……丁寧な暮らしを提唱する生活雑誌の裏にひそむ闇を描き、日々の暮らしの中でのうんざりさや、重要さ、欺瞞のバランスが絶妙に混ざり合っている『幸せの家』、
この2篇は、似たような印象……事件が解決した後に起きることの方が衝撃的で、いやーな、暗い感じの結末が印象的でした。
葉村晶シリーズの2篇は安定の面白さ、、、
本宮波留という女性から亡くなった祖父の家に置きっぱなしの母親の骨壷を取ってきてほしいと依頼され、群馬の伊香保温泉の奥にある建っている崩れかけた洋館に行った葉村晶がトラブルに巻き込まれながらも真相を明らかにする『蝿男』、
こけし収集家で資産家だった後宇多啓介が亡くなり、遺品整理業者と一緒に残された本の選別を任された葉村晶が、貴重品を入れた金庫を開く手がかりのこけしがあるという福島のにある故人の別荘まで探しに行くことを依頼されトラブルに巻き込まれながらも真相を明らかにする『道楽者の金庫』、
似たような展開でしたが……葉村晶が、相も変わらず災難に巻き込まれ、タフで不運な女探偵ぶりを発揮していて愉しめました。
スッキリしなくて後味の悪い結末なんだけど、それが面白いんですよねー 若竹七海らしい巧くて毒のある作風の5篇を愉しめました。
若竹七海の作品は、昨年の6月に読んだ『古書店アゼリアの死体』以来ですね。
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凶悪な死刑囚に届いたファンレター。
差出人は何者かを調べ始めた「私」だが、その女性は五年前に失踪していた!(表題作)
女探偵の葉村晶は、母親の遺骨を運んでほしいという奇妙な依頼を受ける。悪い予感は当たり……。(「蠅男」)
先の読めない展開と思いがけない結末――短編ミステリの精華を味わえる全五編を収録。
表題作で第66回日本推理作家協会賞短編部門受賞。
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2014年(平成26年)に刊行された短篇集……『蝿男』と『道楽者の金庫』の2篇は葉村晶シリーズの作品です。
■蝿男
■暗い越流
■幸せの家
■狂酔
■道楽者の金庫
■単行本あとがき
■解説 近藤史恵
5年前、通りかかった犬に吠えられ飼い主と口論になった末に逆上し車で暴走、死者5名、重軽傷者23名という事件を引き起こした最低の死刑囚・磯崎保にファンレターが届いた……その差出人・山本優子の素性を調べるよう依頼された「私」は、彼女が5年前の嵐の晩に失踪し、行方が知れないことをつきとめる、、、
優子の家を訪ねた「私」は、山本家と磯崎家が目と鼻の先であることに気づいた……折しも超大型台風の上陸が迫っていた…(「暗い越流」)。
第66回日本推理作家協会賞“短編部門”受賞作『暗い越流』を収録……短篇ミステリの醍醐味と、著者らしいビターな読み味を堪能できる傑作集!!
葉村晶シリーズ2篇にショッキングでダークなオチが用意されたノンシリーズ3篇を挟んだ構成でした。
イチバン印象に残ったのは……ひとりの男性の自己紹介から始まり、そこから一人称で少しずつ情報が開示され、過去の状況、現在の状況、そしてこれから何が起こるのかが徐々に判明する展開の『狂酔』、、、
教会らしき建物に立て籠り、人質らしきシスターらしき人物に話し続けている中で、読み手は時間を遡り恐るべき事件を知る……その中である事件に隠されたゾッとする事実が判明する結末、ママは戻りたいところに戻れたんでしょうねー 最後の1行が強烈な印象を残す作品でした。
その他では、、、
死刑囚にファンレターが届き、ある編集者が死刑囚の弁護士から差出人についての調査を依頼されるという展開の序盤からぐいぐい惹き込まれ、思いがけない結末まで一気に連れていかれ、叙述トリックに心地良く騙されてしまった『暗い越流』、
ある生活雑誌の編集長が行方不明になり、部下の編集者が編集長の行方を捜す……丁寧な暮らしを提唱する生活雑誌の裏にひそむ闇を描き、日々の暮らしの中でのうんざりさや、重要さ、欺瞞のバランスが絶妙に混ざり合っている『幸せの家』、
この2篇は、似たような印象……事件が解決した後に起きることの方が衝撃的で、いやーな、暗い感じの結末が印象的でした。
葉村晶シリーズの2篇は安定の面白さ、、、
本宮波留という女性から亡くなった祖父の家に置きっぱなしの母親の骨壷を取ってきてほしいと依頼され、群馬の伊香保温泉の奥にある建っている崩れかけた洋館に行った葉村晶がトラブルに巻き込まれながらも真相を明らかにする『蝿男』、
こけし収集家で資産家だった後宇多啓介が亡くなり、遺品整理業者と一緒に残された本の選別を任された葉村晶が、貴重品を入れた金庫を開く手がかりのこけしがあるという福島のにある故人の別荘まで探しに行くことを依頼されトラブルに巻き込まれながらも真相を明らかにする『道楽者の金庫』、
似たような展開でしたが……葉村晶が、相も変わらず災難に巻き込まれ、タフで不運な女探偵ぶりを発揮していて愉しめました。
スッキリしなくて後味の悪い結末なんだけど、それが面白いんですよねー 若竹七海らしい巧くて毒のある作風の5篇を愉しめました。