繭と鋼-神奈川とフランスの交流史-
2014年4月26日~6月22日
神奈川県立歴史博物館
幕末明治の「神奈川」の姿を紹介する展覧会。
フランス人の実業家で日仏交流の研究家でもあるクリスチャン・ポラック氏のコレクション(現在は明治大学図書館所蔵)をメインとして、他所蔵の特別出品・参考出品が加わる。
「繭と鋼」とは、
繭:横浜は生糸の輸出港として栄えた
鋼:横須賀に製鉄所が構えられた
主な出品内容(ボリュームを基準)
・生糸(Raw Silk)の束に貼られた商標(ラベル)のコレクション
・仏蘭西人を描いた浮世絵
・幕末明治の横浜の写真
・幕末明治の横須賀の写真
など
なんか面白いものはないか、と目についたのが、
・原輸出店カレンダー「孔雀明王像」
原輸出店の経営者は、きわめて有名な美術コレクターだったらしい。本カレンダーは、コレクションのなかでも特に重要な作品を使ったとのこと。見たことがあるなと思ったら、現在は東京国立博物館所蔵の「国宝」だった。
・原輸出店のポスター
チラシ掲載の東洋趣味濃厚のものより、参考出品の4点が興味深い。きちんとした着物の女性が製糸場の工婦の仕事をしている(ふりをしている)姿が大きく描かれ、製糸場の建物や建物内を撮影した小さな白黒写真3点とその年のカレンダーが小さく添えられる。そして、下4分の1には、過去10年の生糸市場相場のグラフ。
・富岡製糸場を描いた浮世絵
「富岡製糸場と絹産業遺産群」の世界遺産登録が確実になったということもあってか、富岡製糸場関連展示もある。そのなかでは、工場内で談笑しながら糸繰りをする工婦を描いた浮世絵が印象的(現にそういう光景があったとは思えないが)。なお、富岡製糸場は群馬県に所在する。ただ、本展における富岡製糸場は、原輸出店の経営者が一時経営していた富岡製糸場と、「神奈川」に繋げられる。
「原輸出店」「神奈川の昔の姿」が満載。
神奈川とは縁のない人生を送っている私には、ちょっとしんどい。