江戸の人物画 姿の美、力、奇
2011年3月19日~5月8日
府中市美術館
前期・後期とも行ってきました。
時代も画風もバラバラの絵画。共通項は人が描かれていることのみ。
でも非常に楽しめる。
相応のレベルの作品が集められているということなのでしょう。
加えて、「奇」がまぶされているところがよかったと思います。
印象に残った作品です。
最初のコーナーは、等身大の絵画が展示。
後期は、曽我蕭白の「寒山拾得図」(興聖寺)。
いきなりのメイン登場、その迫力にしばし圧倒される。
「奇」が入った美人画群では。
伝土佐光起の「乙御前図」(後期)。いわゆる、おかめ、おたふく。その顔を眺める。
最近関心を持ち始めた祇園井特は、前・後期各1点。
「観桜美人図」(前期)と「立姿美人図」(後期)。強烈には至らないとしても、充分に濃厚な「奇」顔。
円山応挙「三美人図」(前期)。いわゆる美人には描かれていない。
曽我蕭白「美人図」(前期)。手紙を噛みちぎる女性。異様な表情。
美人画以外では。
太田洞玉「神農図」(通期)。印象的な目線。
「舞踊図」(前期)、「文使い図」(後期)。
安土桃山から江戸時代の初めにかけての「近代初期風俗画」を母体として生まれたとのこと。
特に後期の二人の表情・ポーズには長く見入る。この雰囲気は意外と好み。
司馬江漢「学術論争図屏風」、亜欧堂田善「海浜アイヌ図」(ともに前期)。
アイヌ女性の表情・姿がよい。
蝦蟇仙人図が前・後期2点ずつ。
個人的には蕭白(前期)の異形のイメージしかなかったが、佐竹曙山や太田洞玉(後期)の西洋風のちょっとしゃれた仙人も魅力的。
庶民を描いた、英一蝶「屋根葺図」(後期)。細長い画面を生かしている。
東東洋「農婦図」(前期)。ほんわか系だが、堂々と絵の主人公となっている農婦。
前・後期各1点の久米仙人図は、ともに女性の足の白さを強調。
伊藤若冲「付喪神」(後期)は、ただただ楽しい作品。
他にもいろいろと楽しめる作品多数。
江戸の絵画も、こういう見せ方をしてくれると、非常に楽しめます。
府中市美術館に感謝。