会計事務所のマザー(グローバル展開している中堅事務所)が、仮想通貨関連の業務を停止したという記事。クライアントのうちの1社であるバイナンスが明らかにしたそうです。
「暗号資産(仮想通貨)交換業者バイナンスは、監査法人のマザーが仮想通貨関連の全顧客向けに作業を停止したと明らかにした。世界中の顧客が対象だという。バイナンスもマザーの顧客企業だった。」
「11月のFTX破綻を受け、バイナンスなど大手の仮想通貨交換業者に対して準備金の保有を証明する、いわゆる「プルーフ・オブ・リザーブ(PoR)」を求める動きが業界で加速。この監査業務の主要な担い手がマザーだった。」
12月2日の報道では、バイナンスは、マザーと契約したとされていました。
バイナンス、トランプ元大統領にサービスを提供した監査法人を雇い、仮想通貨保有量を検証(コインテレグラフ)
「仮想通貨取引所バイナンスは、仮想通貨の保有量を検証する「プルーフ・オブ・リザーブ(PoR)」監査の一環として、監査法人のマザー(Mazars)と連携する。ウォール・ストリート・ジャーナルが11月30日に報じた。
バイナンスのPoRの一環として「第三者による財務検証」を行う。マザーは、ドナルド・トランプ前米国大統領の会社から仕事を受けていた企業だ。
この会計事務所は、すでにバイナンスが公開しているすべての情報を検証しているとされ、ビットコインのPoRと、今後のアップデートやトークンの検証も行うという。「BTCの最初の検証アップデートは今週中に完了する予定」と広報担当者が回答している。」
仮想通貨関連の業務はあぶなそうだと、マザーは判断したということでしょうか。バイナンスは世界的にも大手の業者のようです。それなのに、ビッグ4事務所が手を出していないという点も気になります。
Accounting firm Mazars Group has suspended all work with its crypto clients. The decision to cut ties with Binance, KuCoin and Crypto.com comes just after the global accounting firm released “proof of reserve” reports for several digital asset exchanges.
マザーのコメント。
Proof of Reserves Reports業務は、報告書に関する公衆の理解のしかたに懸念があり、停止したとのことです。
Mazars Group said in a statement to CNBC that it had “paused its activity relating to the provision of Proof of Reserves Reports for entities in the cryptocurrency sector due to concerns regarding the way these reports are understood by the public.”
この業務は、合意された手続業務であり、過去のある時点における主題事項に関して実施した「合意された手続」に基づき限定的な発見事項を報告するものある、保証あるいは監査とは違うといっています。
The statement added Mazars’ proof of reserves reports are “performed in accordance with Reporting Standards relevant to an Agreed Upon Procedures report.”
“They do not constitute either an assurance or an audit opinion on subject matter. Instead they report limited findings based on the agreed procedures performed on the subject matter at a historical point in time,” the statement continued.
監査とは全然違う報告書なのに、誤解されて、後で問題が起きたときに責められるのは困るということなのでしょう。もちろん、あぶない業界だから、少し距離を置こうという考えもあるのでしょう。