2021年8月11日開催の倫理委員会の議事要旨及び会議資料が公表されました。
報酬関連の倫理規則の改正について、議論したようです。
「担当副委員長から、再構成版の国際会計士倫理基準審議会(以下「IESBA」という。)の倫理規程を踏まえた倫理規則の改正案について、報酬規定の概要や7月 29 日に開催された有識者懇談会準備会合を踏まえた対応について説明がなされ、その後、意見交換が行われた。」
PIE(大会社等)の場合の報酬依存度規制は...
これに関する意見は...
「上場会社における監査人の交代がかなり行われており、また、IPO 監査の担い手として、中小監査事務所の基盤を強化する動きがある。そうした中で、中小監査事務所においても、一定の規模が必要であり、報酬依存度の 15%ルールにも対応していかなければならないという課題がある。こうした状況を鑑みると、報酬規定の適用時期に関しては、2024 年4月としていただきたい。」
これに対する協会の回答は、辞任規定の適用の開始から5年間の猶予があるので、その間に準備をすればよい(だからもっと早くてよい)という趣旨のようです。
「 適用から5年を経過して 15%ルールを解消できず他の会計事務所等に交代せざるを得ない場合において、他に代替できる適格な会計士がいない可能性もあるのではないか。そのような中で、この辞任規定を強制的に適用した場合には、他の会計事務所等に交代した時点で監査品質の低下が生じる可能性があり、かえって公共の利益に反することが考えられる。しかし、これは避けなければならず、今から努力していくことになると思う。」
これに対しては、「厳格に実態を勘案した上で、公共の利益の観点から、例外規定の適用の適否を判断」とのことです。
報酬に関する開示も論点になっています。
監査報酬・非監査報酬の開示については、現行の日本のルール(有報での開示など)とは、微妙に違っているようです。また、報酬依存度が連続で15%超となった場合の開示は、監査報告書でやらせることを考えているようです。
これに関する意見は...
「 報酬関連情報の開示について、我が国だけ開示における重要性が考慮されることにより、開示対象となる報酬の範囲が緩和されていると捉えられることは避けたいものの、実務への影響も十分に考慮するべきであると考える。会社法の事業報告の作成時点でネットワーク・ファームの報酬を全て集計することは、実務上困難であると思われるため、対応が可能となる方法を考慮すべきではないか。」
「報酬依存度の開示について、監査報告書に記載することが適当と考えるが、利用者が当該記載を通して監査品質に何らかの懸念があると誤って解釈する恐れがあるのではないか。報酬依存度の開示については、透明性報告書やウェブサイト等、他の方法も考えられる。」
結局、監査報告書に依存度のことを書きたくなかったら、連続して15%超とならないようにしなさいということなのでしょう。抵触しそうな監査事務所は、5年間までなら大丈夫、影響なしと軽く考えない方がよいのでは。
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