会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

「平成21年度税制改正に関する提言」取りまとめ

日本経団連タイムス No.2921-03

日本経団連が9月16日にまとめた「平成21年度税制改正に関する提言」のプレスリリース。

「昨今、米国が国際会計基準(IFRS)を採用する動きがあるなど、会計基準の国際的な統一の動きが加速しているが、会計基準の見直しが安易な増税につながることのないよう、税制と会計の調整が必要である。」

それならば、連結先行ではなく、連結・個別完全分離方式がよいかもしれません。

ちなみに、提言の本文を読むと、念頭に置いているのは、後入先出法の廃止などのようです。

「現在、企業会計基準委員会では、「棚卸資産の評価に関する会計基準」において後入先出法の廃止を、また「企業結合に関する会計基準」において段階的に取得した子会社株式の評価方法の変更等を検討している。コンバージェンスに伴う会計基準の見直しは、企業の国際競争力強化や投資活動の促進に向けたインフラ整備の一環として加速させていくべきであるが、これが安易な課税ベースの拡大となり企業増税につながれば本末転倒である。」

最近適用の新会計基準にリース会計基準があります。新・リース会計基準では、リースの借り手は固定資産の購入、貸し手は資金の貸し付けと同じ処理になります。借り手の方は簡便的な方法をとるケースが多いと予想され、損益には大きな影響はないと考えられます。しかし、貸し手の方は、原則どおりの処理となり、リース期間の前の方では元本が大きいため、受取利息が多く計上され、うしろの方では少ない受取利息が計上されることになります。したがって、日本の企業全体で考えれば、利益が前倒しで計上され、結果として増税になります(増税額の正確な見積もりは困難ですが)。

会計基準改正に便乗した増税が行われる(しかし表面的には増税にカウントされない)ことは大いにあり得ます。
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