東芝を金融庁の証券取引等監視委員会が調査するという記事。
「巨額の損失を計上した米原子力発電事業の会計処理を巡って、決算書類や有価証券報告書(有報)の作成過程を確認する。監査法人にも聞き取りを始めており、一連の経理処理を把握し、適正な進め方だったかどうかを調べる。」
「監視委は、なぜ限定付き適正になったのか、どんなやりとりを東芝と監査法人がしていたか、など決算作成時の経緯を把握したい考え。現時点で新たな疑いが浮上しているわけではない。」
「現時点で新たな疑いが浮上しているわけではない」というのは、たぶん金融庁がそういうふうにいっているのだと思われますが、ふざけているとしかいいようがありません。会計監査人が最大6千億円規模の虚偽記載があると監査報告書で正々堂々と述べているわけですから、不正の疑いは誰が見ても明白です。金融庁は本気で調べるつもりがないのでしょう。
金融庁(監視委)の能力を超える事案だということもあるのでしょう。金融庁のこれまでのやり方は、会社に財務諸表を訂正させ、場合によっては特別の委員会などによって経緯を調べさせ、その訂正結果や調査結果に基づいて、処分を下すというものでした。東芝の場合は、財務諸表を会社の方から自主的に訂正するつもりはなさそうですから、今までのやり方は通用しません。また、今回の虚偽記載疑惑の舞台は米国子会社(当時)であり、現地の監督当局(米SEC、チャプター11を申請したので裁判所など)と協力して調べる必要がありますが、そんなノウハウをもっているようには見えません。
やる気や能力があっても、官邸や経産省などの東芝をつぶすな、上場廃止にするなという思惑を忖度して、まともに調べないという可能性もあるでしょう。そもそも、限定付き適正意見が出たのは8月なのに、2ヶ月も経ったいまごろになって調査に着手するというのが、あやしい感じです。
あらた監査法人による今回の監査証明が、金融庁のやる気のなさ、あるいは無能さ、あるいは忖度をも証明することになるのか、今後が注目されます。
(しばらく調査しているふりを続けて、ほとぼりが冷めるのを待つという作戦ではないかと思われますが...)
監視委、東芝の有価証券報告書の提出経緯を調査=関係筋(ロイター)
「東芝の不正会計で、監視委は2015年、同社に課徴金納付命令を出すよう金融庁に勧告した。ただ、現時点で新たな不正の疑いは出てきていないもようだ。」
この件は、日経などより先に産経や共同通信が報じています。
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