ジャスダック上場の「セラーテムテクノロジー」が、中国企業買収に関連して行ったとされる第三者割当増資が架空だった疑いが強まっているという記事。証券取引等監視委員会が強制調査したそうです。
「関係者によると、同社は21年11月、中国市場への参入名目で、中国・北京のソフトウエア開発会社を子会社化すると発表。買収資金約15億円は英領バージン諸島のファンドを引受先とする第三者割当増資で調達するとし、同年12月に子会社化が完了したとしていた。
だが、公表された増資は実際は行われず、買収は自社株と中国企業株を交換する形が取られた。中国企業側はセラーテム社に複数の役員を送り込み実質支配。・・・」
中国企業買収で虚偽発表か 摘発へ(NHK)
「関係者によりますと、実際には買収のための資金は調達しておらず、資金の代わりに自社の株の半分近くを中国企業側に渡して中国企業の株を取得していたということです。この取り引きのあと、中国企業は中国人の役員を送り込むなど実質的に、この会社を支配下に置いていたということです。証券取引等監視委員会は、株価対策のために実態とは異なるうその発表をして投資家をだましたとして、金融商品取引法違反の偽計取引の疑いで、この会社の社長らの刑事告発に向け、強制調査に乗り出しました。」
株式交換で子会社化すること、それ自体では、不正な取引であるとか、架空取引とは言えませんが、虚偽の発表をしていたとすれば問題ですし、取引後の株主構成によっては、逆取得(セラーテムを買収された側として会計処理する)ということにもなるでしょう。相手の会社が本当に15億円の価値があった会社なのかも確かめなければなりません。
証券監視委:IT企業を架空増資の疑いで強制調査(毎日)
FACTAleaks――セラーテムへの公開質問状(←雑誌FACTAが以前から目をつけていたようです。)
FACTAleaks――対セラーテム戦争4 お笑い決算会見(上)
FACTAleaks――対セラーテム戦争6 お笑い決算会見(下)(←監査人のことも質問しています。)
「中国のハイエナ」が大証裏上場(FACTA2010年9月号)
当サイトの関連記事(米国における裏口上場問題)
(補足)
セラーテムからプレスリリースが出ています。
↓
当社に対する強制調査に関する報道について(PDFファイル)
「当社が、証券取引等監視委員会により金融商品取引法違反の嫌疑で捜索・差押を受けたことは事実ですが、それは、平成23 年6 月2 日のことであります。その後、当社役員らは、証券取引等監視委員会の調査に協力してきておりますが、本日現在、告発などの手続はなされておりません。当社は、金融商品取引法に違反するような行為は行っておらず、今後とも、関係当局に対し、当社が金融商品取引法に違反するような行為を行っていないことを説明していく所存です。」
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