企業会計基準委員会は、「企業結合会計の見直しに関する論点の整理」を2007年12月27日付で公表しました。
国際会計基準審議会(IASB)との2007年8月の「東京合意」を達成するため、いわゆるEU 同等性評価に関連して欧州証券規制当局委員会(CESR)から提案された補正措置項目を中心に議論が整理されています。のれんの償却の問題は、補正措置項目に入っていないため、論点には挙げられていません。
今後、企業結合会計基準だけでなく「連結財務諸表原則」など関連する会計基準の見直しにつながる論点整理です。
取り上げられている検討項目は以下のとおりです。(「」内は論点整理からの引用)
【論点1-1】持分プーリング法の取扱い
「会計基準のコンバージェンスを推進する観点から持分プーリング法を廃止することを考えている。」
【論点1-2】取得企業の決定が困難な場合の取扱い
「いずれの結合当事企業が取得企業であるかを判断する際の具体的な指針の必要性について、我が国における企業結合の実態や国際的な会計基準の定めを踏まえながら、引き続き検討する。」
【論点1-3】逆取得又は共同支配企業の形成に係る会計処理
「我が国において持分プーリング法を廃止した場合、(中略)表現方法などについて併せて見直す必要があるかどうか、引き続き検討する。」
【論点2】株式を対価とする場合の対価の測定日
「本論点整理において示された意見等に加え、我が国における市場関係者のニーズや企業結合に係る実務慣行を踏まえるとともに、国際的な会計基準とのコンバージェンスに配慮して検討することが必要である。」
【論点3】負ののれんの会計処理
(負ののれんの)「発生原因を整理し、関連する定めを整備することによって、国際的な会計基準と同様に、負ののれんを取得日の利益として処理するよう見直すことができるのではないかと考えている。」
【論点4】少数株主持分の測定
「本論点整理では部分時価評価法を選択する余地を無くすことが妥当であると考えている。」
【論点5】段階取得における会計処理
「被取得企業の取得原価は、国際的な会計基準と同様に支配獲得時における時価をもって測定し、過去に所有していた株式の帳簿価額との差額は損益として処理するように見直すこともできるのではないかと考えている。」
【論点6】外貨建のれんの換算方法
「本論点整理では、のれんが被取得企業の有する超過収益力であるならば、外貨建のれんについても、当該被取得企業の有する他の資産と同様に、決算日の為替相場により換算する方法に見直すことが適当ではないかと考えている。」
個人的には、持分プーリング法の廃止と外貨建のれんの換算(親会社における単なる消去差額ではなく海外子会社の資産として期末日レートで換算する)については賛成です。少数株主持分の測定と段階取得における会計処理については、まだ理屈がのみこめないので、保留しておきます。
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