会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

【取材の周辺】コロナ禍で暗躍する「パクリ屋」の手口(東京商工リサーチより)

【取材の周辺】コロナ禍で暗躍する「パクリ屋」の手口

(信用調査会社の宣伝みたいな感じもしますが)新型コロナ禍などで売上げ不振の企業を取り込み詐欺が狙っているという記事。

古典的な経済犯罪ですが、新しい傾向もあるようです。

「「取り込み詐欺」、いわゆるパクリ屋は、古典的な経済犯罪だ。最初は小口取引を重ねて期日通りに支払い、相手を信用させ取引量を増やす。やがて大量の商品を仕入れ、経営悪化を理由に債務を踏み倒す。手口は単純かつアナログだが、令和の時代でも減らないのは相応のうまみがあるからだ。一般企業を装い、大企業と見違えるほどの看板や名刺、ホームページを作る。信用調査への対策として、優良企業ばりの「ニセ決算書」も準備する。」

最近は、弁護士に頼んで、通常の倒産を装っているのだそうです。

「最近は通常の倒産を装い、事業停止と同時に弁護士が債務整理を引き受ける「弁護士受任型」が増えてきた。弁護士が表に立って当人は雲隠れする。そのうち、「債務者と連絡がつかない」、「依頼者から弁護士費用が支払われない」などの理由で、弁護士が債務整理を辞任し、うやむやのまま終わる。パクリ屋と思しき企業の債務整理に何度も同じ弁護士が登場することがある。経緯を聞いても「詐欺行為は関知していない」の一点張りだが、審査担当者や調査員はチェックを欠かさない。」

遠方の企業も狙われています。

「被害は地方企業にも及んだ。遠方の営業所に注文するのは営業マンの直接訪問を避けるため。情報インフラや物流の発達を逆手に取り、メールのやり取りだけで完結する顔の見えない取引が被害に拍車をかける。」

会社の正体を隠すために、会社分割も使われているそうです。

「先日、問い合わせを受けた都内のX社。移転歴もなく代表1名、一見すると何の変哲もない登記簿だ。ただ、X社は2年程前に会社分割で設立されていた。そこで、分割元となるY社の登記を確認したところ、Y社はX社のほかに、わずかな期間で10社以上に会社分割していた。

アメーバのように会社を増殖させていたが、それぞれ分割された企業の住所は、かつてのパクリ屋企業の住所と一致する。」

「法務省は2月、ネットで有料閲覧できる商業登記に関して、代表者の住所の開示をやめると発表した。9月から実施される見込みだ。個人情報保護に配慮した措置だが、パクリ屋チェックの面では障害になる可能性がある。」

取り込み詐欺は、会計処理的には、最低限、事後的に引き当てが正しくなされるようになっていれば、問題ないのでしょうが、管理的には、詐欺に引っかからないように、受注前の与信管理が大事なのでしょう。
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