仮想通貨技術を使った資金調達(ICO)の会計処理をめぐる監査法人の対応について取り上げた記事。
メタップスとその監査人であるあらたについてまず書いています。
「「ちょっと待ってほしい」。昨年12月、PwCあらた監査法人が手がける顧客企業の会計処理に上部組織のPwCから文字通り「待った」がかかった。その対象は決済代行サービスなどを手掛けるメタップスが実施した日本の上場企業初となるICOだ。
メタップスはあらたに対してICOの実施を伝えており、当初はあらた側も会計上の処理方法を容認していたようだ。しかし、1月の土壇場になって協議が難航。結局、2017年9〜11月期決算の、四半期報告書の提出期限を1カ月延長した。
その一因はメタップスが国際会計基準(IFRS)の採用企業という点にもある。「メタップスの会計処理がICOの先行事例として今後世界で参考にされる可能性がある」(関係者)との警戒感だ。
メタップス側の当初案では、韓国子会社で立ち上げた仮想通貨交換業者が顧客から預かる仮想通貨は、貸借対照表(BS)上に載せない扱いをする予定だった。だが、協議の結果、棚卸し資産として扱い、同額を流動負債として計上するなどの処理に変更した。」
ASBJがICOに関する会計ルール策定を見送った話、ICOを検討している会社との監査契約には慎重になるという大手監査法人幹部(匿名)のコメント、ICOを予定している他社の例、日本取引所グループCEOの記者会見でのコメント(「上場企業は慎重に」)などにもふれています。
会計処理の問題もあるのでしょうが、そもそも、ICOというスキームが相当あやしいものだ、ビッグ4事務所がそういうあやしい取引で金集めをする企業と関わっていいのかという懸念があるのでしょう。
「ICOは資金調達をしたい企業が「トークン」と呼ばれるデジタル権利証を発行し、投資家がビットコインなどの仮想通貨で購入する仕組み。トークンを仮想通貨として交換業者で取引できるようにすれば、自社で保有するトークンの売却により利益が得られる。」
企業はトークンを発行するだけで、その後何の義務も負わず、出資者は市場で勝手にトークンを売却してかせいでくれというスキームだとしたら、トークン発行益は、そのまま企業の利益になる(トークン発行にかかったコストは費用計上する)のでしょうが、そんな(出資者ではなく企業にとって)うまい話があり得るのかということでしょう。純粋に会計処理だけの議論ではありません。
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