会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

<ニュース深堀り>役員の資質向上不可欠 秋田おばこ農協巨額赤字(河北新報より)

<ニュース深堀り>役員の資質向上不可欠 秋田おばこ農協巨額赤字

秋田おばこ農協という農協が、ずさんな会計で多額の赤字を出した件は、何度か取り上げましたが、そのやや詳しい記事。

「組合員数2万9000人と秋田県内最大の秋田おばこ農協(大仙市、原喜孝組合長)が、コメの直接販売で約62億円の累積赤字を生じさせた背景には、役員による統治機能不全がある。コメ取扱量日本一の「優良農協」とされたが、実際は歴代役員が赤字隠しなどを指示した前組合長(故人)の「独断」を許していた。」

「赤字は農協本体の会計とは別の共同計算会計であり、昨年8、9月のJA全国監査機構県監査部の期中監査を機に発覚した。

赤字の要因は組合員への過払い。集荷時の仮渡し金は全農県本部より500~1000円高いとされる。東北大大学院の冬木勝仁教授(農業市場学)は「契約した販売量を確保するため、無理してコメを集めたのでは」と指摘する。
 
組合員に赤字分を請求できるとはいえ、手間が掛かるため仮渡し金は慎重に設定する必要がある。しかし、実際は「理事会での慎重な議論がうかがえない」(報告書)状況下で決定された。第三者委は「前組合長の判断でなされた」と推測する。
 
直接販売の急拡大もずさんな会計処理に拍車を掛けた。事業を始めた2004年産は全取扱量の6%程度だったが、ピーク時の12年産は8割超に上昇。2、3人の職員が事務処理などをほぼ手作業でこなし、正確な在庫把握すらできていなかった。」

「[共同計算] 農協が農家から委託されて卸売業者などに販売し、販売代金から経費や手数料を除いて残額があれば農家に追加で精算し、逆に不足があれば農家に請求する仕組み。全農に販売する「系統販売」と、農協が独自に卸売業者などに販売する「直接販売」がある。」

農家から委託を受けて行う取引であり、本来、農協がリスクを負う取引ではないようですから、農協の仕入・売上にしないのは正しいのでしょう。しかし、事務処理がまずくて、損失を被ってしまったようです。事務処理をきちんとやると、農家への過払い金過大分の請求を行わなければならず、トップがそれを嫌って、あえて、いい加減な処理のまま放置していたのでしょうか。事務処理の乱れと、不正とは、無関係ではありません。

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