(2022/9/20)第三者委員会による追加調査報告書の受領に関するお知らせ
オウケイウェイヴ(名証ネクスト)のプレスリリース。
RagingBull合同会社との取引(投資詐欺に引っかかった取引であると報じられています)に係る追加調査の報告書を受領したとのことです。200ページ強の報告書も添付されています。
「追加調査報告書では、前経営体制のもとで、本件取引に係る一部の役員の架空の認識可能性や取締役会をはじめとする内部管理体制全般の不備、本件取引に係る適時開示の不適切な対応があったこと等が報告されております。当社は、追加調査報告書の内容を真摯に受け止め、改めて深くお詫びを申し上げますとともに、追加調査報告書に記載の調査結果及び提言について十分に分析・検討の上、その内容を経営に反映する他、特に内部統制における統制環境の整備を主軸とし、再発防止のための会社全体の雰囲気や社風づくりを行ってまいります。」(プレスリリースより)
会計処理については...
「追加調査報告書では、本件取引の全てが架空であったと認定され、第1回取引から第3回取引の利益相当額を仮受金に振り替えることで投資有価証券売却益を消去し、第4回取引の利益相当額については貸倒引当金繰入額と相殺消去することで、投資有価証券売却益の計上を認めないとする現状の会計処理は一貫しており、一定の合理性が認められるとされていることから、過年度決算等の修正はございません。」(同上)
第3四半期(~2022年3月)の四半期報告書(四半期レビューは無限定)を見ると、仮受金が約10億円計上されています。このような多額な仮勘定を残したままで決算を締めていいのかというのは疑問に感じますが、保守的な処理を行っているようですから、間違いとまではいえないのかもしれません。なお、2022年6月期本決算については、決算短信までは出ています。
子会社を経由して保有していたアップライツという会社(孫会社ということになります)の株式が、自己株式取得され、持分を失ってしまった問題についても、調べているそうです。
「当社子会社の自己株式の取得等の事実関係を調査するため、社内調査委員会を設置しております。今回の再発防止の取り組みの中で当該自己株式の取得等の事実関係も明らかにし、再発防止策の策定に取り組んでまいります。」(同上)
追加調査報告書の方は、役員ひとりひとりについて、投資意思決定などのタイミングごとに、責任の有無を細かく検討しているようです。
報告書の構成は以下のようになっています(目次より一部抜粋)。
第 1. 第三者委員会による調査の概要
第 2. OKW 社の概要等
第 3. 当委員会が認定した事実等
1. 本件取引に係る事実経過
(4) 会計監査人による指摘及びこれを受けた OKW 社内の検討状況
2. 各個別契約に関する不合理性等
3. 実在性に関する検討
4. 本件投資スキームに関する各役員の認識及び認識可能性
(2) 前記取引期間において OKW 社の役員であった者の認識及び認識可能性
5. 本件取引に係る一連の適時開示及びその訂正について
(2) 業績予想の修正開示に係る事実経過
(3) 債権の取立不能または取立遅延のおそれに関する適時開示に係る事実経過
(4) 会計監査人の異動等の開示に係る事実経過
6. 一部のウェブサイト等における疑惑記事について
(2) 本件利益提供疑惑
(3) 本件インサイダー疑惑
7. 会計上の処理について
第 4. 発生原因
第 5. 再発防止策
会計監査人の異動に関する開示について、こういう調査報告書で検討するというのは珍しいと思います。報告書によると、関東財務局から臨時報告書における会計監査人の異動に至った理由等の記載が不十分であるとの指摘もあったそうです。