政府が、来年の通常国会で、マイナンバーと全預貯金口座のひも付けを義務化する法整備を目指すという記事。
「政府は今回の10万円給付に際し、申請手続きにはマイナンバーを活用しているが、口座振り込みには活用していない。内閣府の担当者は「ひも付けが進んでいれば、今回使用できた可能性は高い」と話す。
マイナンバー制度は行政手続きの簡素化を目指し、民主党政権下で増税政策と一体で進められた。平成27年に開始されたが、口座ひも付けの義務化は見送られた。3年後の見直しでもひも付けは任意とされ、新規口座開設者の約2割しか番号登録をしていない。
背景には各省庁や政財界が消極的だったことがある。財務省は約8億円ともいわれる導入コストを銀行に負わせることを懸念した。「政府に資産状況を管理されるとの誤った認識が広がった」(元財務官僚)こともある。」
政府、マイナンバー「全口座ひも付け」義務化検討 来年の法改正目指す(毎日)
「実現すれば、政府は国民の資産状況を正確に把握することが可能となり、必要に応じて給付などに活用するほか、徴税の強化を図る方針だ。」
「現行法はマイナンバーと口座情報のひも付けを認めていない。ひも付けさせる場合は本人の同意が必要で、金融機関が任意で行っている。このため、政府が国民の資産状況を正確に把握できず、本当に困っている人を特定して支援する番号制度本来の目的は達成されていない。」
産経は、ひもつけにより政府に資産状況を管理されるというのは間違った認識だといっているのに対し、毎日の方は、国民の資産状況を正確に把握することが可能になるといっています。
今回のように、政府が国民ひとりひとりに直接カネを配るというのは滅多にないことです。もともとのねらいは、徴税強化なのではないでしょうか。
産経の記事によると、内閣府の役人は「ひも付けが進んでいれば、今回使用できた可能性は高い」といっているようですが、今回のオンライン申請システムは、実質的に入力情報をメールで送る機能しかなかったわけですから、ひもつけされていたとしてもうまくいかなかったでしょう。そもそも、ひもつけしていても、複数の口座がある場合は、どれかを給付用として指定する手続が必要となる(あるいは使うかどうかわからない給付用の口座をあらかじめ指定しておき、それをずっとメンテナンスしていくことが必要となる)わけですから、国民からすれば、さほど利便性は高まらないでしょう。
税金の還付を受ける機会が多いような人が、任意で登録できるようにしておけば、それで十分なのでは。
最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事