学校法人明浄学院をめぐる21億円横領事件の続報。現時点でわかったことがまとめられているようです(検察のリークだと思われますが)。
学校法人の土地を手に入れるために、上場不動産会社である「プレサンスコーポレーション」の前社長が提供した18億円もの資金が、学校法人を実質的に乗っ取るのに使われ、その後、予定通り土地取得を達成すると、不正な手段によって、18億円の資金を回収したという構図です。
「学生数の減少などもあり、以前から資金繰りの悪化に苦しんでいた法人。状況を打開するため、外部から登用したのがO容疑者(61)だった。
かつて教育関係の事業に携わっていたというO容疑者は平成28年4月に副理事長に就任。その際、18億円に上る資金を持参し、このうち10億円を当時の経営陣に渡したほか、5億円を法人に寄付するなどした。
この18億円は何のための金なのか。関係者は「法人を乗っ取るための、事実上の買収資金だった」と説明する。この巨額資金を用意したのが、不動産会社「プレサンスコーポレーション」(大阪市)の前社長、Y容疑者(56)だった。法人が抱える一等地に着目したY容疑者はO容疑者に接近。巨額資金で法人経営を掌握させることで、円滑な土地取得の構図を描いたとみられる。」
記事によれば、乗っ取り以前の平成28年に土地売買の協定を締結するところまでいったそうです。それが生徒の保護者らの反対で頓挫した後に、18億円が投入され乗っ取りと土地取得が達成されました。
そうすると、今度は前社長が出した18億円を回収する必要が出てきます。
「特捜部は、一連の計画は借り入れた18億円の返済を目的に進められたとみている。」
学校法人には、営利会社のような持分はなく、配当もないので、法人買収に使った資金は、持分売却や配当といった、まともな手段では回収できないでしょう。上場会社なら、そんなことははじめからわかっていたはずです。いったいどういう計画だったのでしょうか。
また、投入された18億円の資金は、いったいどこに消えてしまったのでしょう(5億円の寄付金は除く)。「10億円を当時の経営陣に渡した」という点が(学校法人のガバナンスという点では)気になりますが、合法的な取引なのでしょうか。
さらに、プレサンスコーポレーションの土地取得に、社長(当時)がかかわっていたということだと、関連当事者取引の開示の問題もありますし、会社が取得予定の土地に、社長が先に手をつけていたとみると、会社と社長との利益相反取引の疑いもあるでしょう。学校法人における不正(学校法人が被害者)というだけでなく、プレサンスにおける開示不備や不正の可能性も考えるべきだということになります。
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