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金融商品取引法の改正法案の概要及び(仮称)中間会計基準等の検討方針(企業会計基準委員会)

金融商品取引法の改正法案の概要及び(仮称)中間会計基準等の検討方針(PDFファイル)

企業会計基準委員会では「四半期報告書制度の見直しへの対応」の検討を始めていますが、その会議資料です(2023年10月5日開催の会議の資料より)。

四半期報告制度見直しを含む金商法等改正は、継続審議となっており、成立していません。9月の会議では、金融庁から法律改正に関する説明があり、今回の会議では、法案どおりに改正がなされる前提で、事務局から検討方針が示されたようです。

それによると、既存の中間財務諸表作成基準はそのまま残り、新たな基準を加え、2種類の中間財務諸表に関する基準ができることになるようです。

「8. 金融商品取引法等の一部を改正する法律案要綱では、「上場会社に対する期中の業績等の開示について、現在の3ヶ月ごとの開示から6ヶ月ごとの開示に頻度を落とし(四半期報告書制度の廃止)、上場会社に対して、四半期報告書に代わり半期報告書の提出を義務付ける」とされている。これまで当委員会では、我が国の上場企業等で用いられる会計基準の開発を行っていることから、まず改正法案に合わせて金融商品取引法上の半期報告書において開示される中間連結財務諸表又は中間財務諸表に関する会計基準等の開発を行うことが考えられる。

9. ただし、本資料の第 7 項の図 2 に記載のとおり、改正法案において、特定事業会社及び上場会社等の制度を適用しない非上場会社については、従前どおり既存の中間作成基準等を適用して半期報告書を提出することが想定されている。このため、既存の中間作成基準等の改正は行わず、改正法案により新たに半期報告書を提出することとなる以下の会社に適用される会計基準等を、(仮称)中間会計基準等として新たに開発することが考えられるがどうか。
(1) 特定事業会社以外の上場会社等
(2) 特定事業会社以外の非上場会社が上場会社等の制度を適用する場合」

 新しい基準の方は、現行の四半期会計基準・適用指針を踏襲するという方針です。

「本資料の第 4 項に記載のとおり、(仮称)中間会計基準等の適用対象となる半期報告書については、現行の第 2 四半期報告書と同程度の記載内容とする方針が示され、2024 年 4 月 1 日が改正法案の施行日とされている(改正法案附則第 3 条第 1 項)。改正法案において現行の第 2 四半期報告書と同程度の記載内容が想定され、早期の基準開発へのニーズがあることを踏まえると、原則として四半期会計基準等における第 2 四半期の会計処理及び開示の取扱いを踏襲し、四半期会計期間等の用語を中間会計期間等に置き換えることが考えられるがどうか。」(11項)

見直し後の上場会社の半期報告書(第2四半期報告書)は、従来とあまり変わらない(変わらないように基準を決める)のでしょう。

それにしても、企業会計審議会で検討している半期報告書の保証の基準も中間監査とレビューの2本建てです。昭和時代から続くレガシーは、なかなか捨てられないのでしょう。

本来は、保証基準はレビューに一本化し、作成基準も、共通する基本的な考え方と対象会社によって異なる細かい開示ルールにわけて検討し、ひとつの基準とするべきでしょう。

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