兵庫県朝来市が、多額の含み損が生じている仕組み債について、ADR(裁判外紛争解決手続き)を申請するという記事。
「朝来市はこれまで市が公金運用の一環として購入した仕組み債など約62億5000万円について、販売元のSMBC日興証券、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、三井住友銀行の4社と解約交渉を行ってきたが、不調だったためADR申請に踏み切る決断をした。
朝来市は、「確実で有利だとして、市に金融商品を誤って判断させて購入させ、リスクの説明が不十分だった」との主張で、会見した嵯峨山正・副市長は「朝来市のような小規模な自治体を投資のプロと見なすのは無理がある。短期的に大量の仕組み債を購入させた売り手側の責任が問われるべきだ」と強調した。」
記事によれば、「(ADRで)朝来市に有利な結果が出た場合、同様に仕組み債運用で巨額な損失を抱えている他の自治体や学校法人などへ波及することは必至」だそうです。
兵庫・朝来市 30日にADR申請 仕組み債で含み損12億円(SankeiBiz)
「市は平成18~20年にかけ、財政調整基金などを運用するため米ドルや豪ドルと連動した債券を購入。償還分を除き約61億5千万円の契約が残るが、円高の進展で5月末の評価額は49億1千万円に落ち込んでいる。満期を迎える30年後まで解約できない契約で、市の基金の53%が事実上の塩漬け状態になっている。」
これは深刻です。朝来市のホームページをみると、市の予算は約300億円(平成23年度)しかありません。貸借対照表(平成21年度)では、資産は約1100億円ありますが、そのうち1000億円は有形固定資産です(地方自治体としてはめずらしくないのでしょう)。
23年度予算資料
http://www.city.asago.hyogo.jp/zaisei/h23/20110307-h23yosan-1.pdf
21年度財務諸表
http://www.city.asago.hyogo.jp/zaisei/h21/h21koukaikei.pdf
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