会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

「本当の粉飾」はこれだ 有罪判決の元会計士が開く闇(日経より)

先週(11月25日~29日)の日経夕刊の連載で会計評論家(元会計士)の細野氏を取り上げていました。

「本当の粉飾」はこれだ 有罪判決の元会計士が開く闇
会計評論家・細野祐二さん(1)
(記事冒頭のみ)

「邪魔者扱い」に幻滅 有罪判決・元会計士の新人時代
会計評論家・細野祐二さん(2)
(同上)

英国では邪魔者じゃない 会計士の誇り、日本離れ知る
会計評論家・細野祐二さん(3)
(同上)

「粉飾共犯」で突然の逮捕 最年少パートナーから暗転
会計評論家・細野祐二さん(4)
(同上)

有罪判決で「会計士」剥奪 粉飾の指摘、自由な立場で
会計評論家・細野祐二さん(5=終わり)
(同上)

監査法人(特に細野氏が所属していた監査法人)から反発を買いそうな発言も...

「なぜ、企業の財務諸表をチェックする監査法人は不正を見逃すのでしょうか。それは企業からお金をもらっている弱みがあるからだと思います。監査報酬は大企業だと数億~数十億円に上ります。公認会計士も生活がかかっているので、不正の兆候を見つけても言い出しにくい。

私は企業から1円の報酬も受けていませんし、公認会計士という権威にも寄りかかっていません。そうやって、まっとうな会計監査を市民の手に取り戻したいと考えています。」(第1回)

細野氏がピート・マーウィック・ミッチェルに入った頃の話(1980年頃?)。

「外資系の監査法人はトップが英米人で、その下にパートナーと呼ばれる日本人幹部がいて、私のような若手はパートナーの下について実務を学びます。上司や先輩に飲みに連れていかれても、口から出るのは事務所の悪口ばかり。彼らが尊敬できませんでした。

会計士は顧客の企業に出向いて、会計帳簿をもとに資金の出入りなどに不審な点はないかを確認するのが仕事です。それなのに企業ではいつも邪魔者扱いされて、肩身の狭い思いを何度も味わいました。こんなことでは会計士の仕事に誇りを持てない。...」

英国で勤務していたときの印象。

「英国の社会全体が、会計士をプロフェッショナルな職業として尊重していることに驚きました。」(第3回)

帰国してからは...

「...こうした仕事が評価され、90年にパートナー(共同経営者)に昇格しました。通常、パートナーは40代半ばにようやくなれるものでした。当時、私は36歳。日本オフィスの最年少記録を更新しました。」(第4回)

第4回の後半から第5回にかけて、細野氏が巻き込まれた(関与した?)キャッツ事件についてふれています。

「上場企業だったキャッツの粉飾決算の共犯容疑で逮捕された。社会的に抹殺されるなか、家族が支えとなった。

罪を認めなかったので、拘置所に190日間、勾留されました。自分の力ではどうしようもない世界に放り込まれ、絶望感にさいなまれました。

そんなときも妻は明るく、弱音を吐きませんでした。手紙も毎日寄こしました。
...

家族のためにも、なんとかして身の潔白を証明したかった。妻は控訴審に負けた直後に白血病で亡くなりました。」(第5回)

人質司法の犠牲になったことには同情しますが、日本の司法制度がおかしいからといって、キャッツ事件に関する細野氏の主張(粉飾はなかった)が正しいということにはなりません。

キャッツがシロなら、細野氏が不正だと指摘している会社は真っ白でしょう。キャッツはクロであった(監査ミスもあった)といさぎよく認めた方が、不正会計の指摘も説得力が出てくるように思われます。

当サイトの関連記事(キャッツ事件の裁判の解説記事について)
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