伊藤忠商事の子会社、伊藤忠ホームファッションで多額の架空取引が発覚したという記事。「不正による影響額は約43億円」だそうです。
「伊藤忠によると、4人は各自が受け持った取引での損失を隠すため、2002年度ごろから14年度まで不正な会計処理をしていた。今年1月、在庫の数字などが不自然だったことから不正が発覚した。」
当社連結子会社における不適切な取引及び会計処理について(伊藤忠商事)(PDFファイル)
当初は、単純な架空在庫の計上だったものが、途中から取引先と共謀して循環取引(実在在庫と架空在庫の取引が混在)を行うようになり、損害を増やしてしまったようです。さらには、循環して戻ってきた在庫を隠すために、様々な工作を行っていました。
「IHF の営業担当者が、独断で、自身が担当した取引により発生した損失を隠蔽するため、自社内で伝票を偽造する等して、架空在庫を計上していました。 さらに、これにより増加した在庫を処理するため、2010 年度頃から取引先に依頼したり、取引先と結託したりして、実在する在庫及び架空の在庫の双方について、 最終的に IHF が買い戻す前提で売却を行ういわゆる循環取引を開始しました。 当該循環取引において、各取引先がそれぞれ利益を得るよう価格が設定されていたため、 IHF が買い戻す際には在庫の価格が上昇し、損害額がさらに拡大する結果となりました。
また、 IHF の営業担当者が、本不正取引等により増加した在庫を減少させるため、当該在庫の返品処理、その買戻し、仕入取引と買掛金の相殺等の隠蔽会計処理を行っていたこと、及び仕入諸掛を適切に原価計上せず、 関係のない製品在庫や架空の製品在庫の簿価に振り替えることで、在庫の簿価の水増しが行われていることも発覚しました。」
不正が長期間発覚しなかった理由については、取引先との結託(取引先にもメリットがあった)などを挙げています。
「本不正取引等は、一部取引先の資金不足穴埋めにも活用されており、これらと結託した営業担当者が証憑類の取得・偽造等の用意周到な隠蔽工作を行ったことが本件の発見を一層困難にさせました。」
この件に関する会計処理は、「約43 億円を当社2015 年3 月期連結決算において損失計上する予定」ということで、遡及訂正は行わず、一括損失処理するようです。
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