金融庁の公認会計士・監査審査会は、九段監査法人を検査した結果、「当該監査法人の運営が著しく不当なものと認められた」として、2014年7月11日付で、当該監査法人に対する行政処分その他の措置を講ずるよう勧告しました。
以下のような指摘がなされています。
「当該監査法人は、採算管理を明確にするため支部制を採用しており、・・・当該監査法人においては、他の支部の業務運営には関与しない風土が醸成されている。」
「監査契約の更新時における被監査会社の適切なリスク評価や監査実施者の選任における社員の能力等を考慮した監査チームの編成、業務執行社員による適切な監査調書の査閲が行われていない監査業務がみられるなど、品質管理のシステムに広範に不備が認められる。」
「当該監査法人は品質管理のシステムが機能しておらず、品質管理態勢は著しく不適切である。」
「特別な検討を必要とするリスクに対する監査手続を十分に実施していない監査業務が広範にみられる。」
「不正による虚偽表示又はその兆候が窺われるにもかかわらず、職業的専門家としての正当な注意を払っておらず、懐疑心を保持していないことから、監査の基準に準拠した監査手続を実施していない監査業務も認められる。」
(本当に「監査の基準に準拠した監査手続を実施していない」のであれば、その監査の監査報告書は取り消さなければならないはずですが・・・)
「実質的な審査を行っていない監査業務が認められ、審査態勢は著しく不適切である。」
「(日本公認会計士協会の品質管理レビューの指摘事項について)監査チーム等による改善状況の確認が形式的となっており、企業及び企業環境の理解並びに重要な虚偽表示リスクの評価等について、改善が不十分な事項が認められ、改善に向けた取組状況は不十分である。」
九段監査法人の行政処分勧告 公認会計士・監査審査会(日経)
「同監査法人は有価証券報告書の虚偽記載で金融庁から約4億円の課徴金納付命令を受けたリソー教育を監査していた。」
大手監査法人の場合は、オリンパス事件のようなことが起きても、数百社ある上場会社クライアントのうちの1社にすぎないということで、「品質管理態勢は著しく不適切」とまでは言われないようですが、中堅法人の場合は、1社のミスでもこてんぱんにやられるようです。
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