会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

IASB議長、のれん定期償却の議論「導入側に勢い」(日経より)

IASB議長、のれん定期償却の議論「導入側に勢い」(記事冒頭のみ)

IASBのハンス・フーガーホースト議長に、IFRSへののれん償却再導入論について聞いた記事。

「IASB内の議論は「定期償却を導入する意見に勢いがある」」のだそうです。

「IASBでは18年夏にのれんの定期償却の導入について検討を開始。19年6月の採決では14人の理事のうち8人が導入に反対し、導入は見送られた経緯がある。IASB議長は足元の経済情勢を踏まえ「理事は導入の可能性に近づきつつある」との見方を示した。」

現行のIFRSや米国会計基準は減損オンリーですが...

減損テストは企業が事業価値をどうみているかのメッセージが伝わると肯定的な意見がある一方、「現行の減損テストは(投資家に適切な情報を伝える)効果が少ないとの認識がIASB内で広まってきている」(IASB議長)という。

IASBは導入に向けた議論のたたき台となる「ディスカッションペーパー」を3月に公表する見通し。半年にわたり規制当局など関係者から意見を募り、再度導入の採決をする方針だ。」

米国の議論の行方が大きく影響するとのことです。

「米国主要500社ののれんは総額300兆円を超える。」

こちらは、米国基準へののれん償却再導入に反対する主張を述べた記事。CFA Instituteという団体の人が書いています。

FASB Turns Up the Heat on Goodwill Impairment Testing(CFO)

これによると、GE社やKraft Heinz社が巨額のれん減損を計上したこともあって、 FASB(米国の会計基準設定主体)でも、議論は盛り上がっているそうです。

In the United States, the significant goodwill write-offs at General Electric and KraftHeinz have been political fuel for FASB, which was already considering whether to revisit the idea of permitting or requiring public companies to amortize goodwill.

Going a step further, last July FASB issued an Invitation to Comment (ITC) that assumed the high cost of goodwill impairment testing exceeds the benefit to investors, and that change was necessary. The ITC referred to the current private company accounting for goodwill, which allows amortization over 10 years, again and again. It would appear that FASB is leaning in that direction.

しかし

・のれんは消耗する資産なのか(償却するということはそのように定義することになる)

・米国の上場企業は、5.6兆ドルも計上している。そのうちS&P 500社は3.3兆ドルで、総資産の9%、株主持分の41%にもなる。

・のれんを償却したのでは、取得した事業の経営がいいのか悪いのか、投資家には判断がつかなくなる。のれん償却は、「情報ゼロのアプローチ」だ。

・のれんの減損テストは負担かもしれないが、経営陣は、買収した事業のパフォーマンスに関する評価を、取締役会に提供しなければならないはずだ、したがって、大きな追加的コストがかかるわけではない。

・投資家にとって、会計専門職や監査専門職の価値は、見積もりを行い、減損に関して判断するスキルにあるのであり、償却のような機械的手順では、生かされない。

といった理由を挙げて、反対論を展開しています。

記事末尾に、のれんの金額が大きい米国企業のリストが載っています。
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