司法取引第1号の事件だそうですが、タイの発電所建設に絡む贈賄事件で、不正競争防止法違反(外国公務員への贈賄)の罪に問われた「三菱日立パワーシステムズ」元取締役の控訴審判決の記事。
一審の懲役1年6月、執行猶予3年が破棄され、罰金250万円となりました。
「昨年9月の一審判決は、元執行役員ら部下2人=いずれも有罪確定=と共謀し賄賂を供与したと認めたが、朝山裁判長は、被告が供与を了承したとする部下の証言は信用できないと指摘。「代替手段の検討を促すなど終始消極的な姿勢を示しており、共謀を認定した一審判決は合理的に疑問がある」と述べた。
その上で、取締役として阻止すべき地位にあったのに事実上黙認したとして、ほう助罪に当たると認定した。」
司法取引は、やはり冤罪の温床なのでしょうか。
とはいえ、部下の不正を事実上黙認すれば、(取締役としての役割を果たさなかったとして?)罪になるわけであり、責任は重いのでしょう。
元役員、二審は罰金 共謀否定「ほう助にとどまる」―司法取引の海外贈賄・東京高裁(時事)
「朝山裁判長は、被告に責任を負わせるため、贈賄指示役の部下が虚偽供述した可能性を指摘。「被告は贈賄に終始消極的で、部下との共謀は成立せず、ほう助犯にとどまる」と判断した。司法取引適用事件の控訴審判決は初めて。」
三菱日立パワーシステムズの幹部が「司法取引の犠牲者」となった背景(2018年8月)(現代ビジネス)
「三菱日立パワーシステムズ(MHPS)といえば、三菱重工業と日立製作所の合弁子会社で、我が国を代表する発電関連ビジネスの大手企業だ。そのMHPSが2015年2月、タイ南部にあるカノムという土地で、火力発電所建設のための資材を船で運び、設置した仮桟橋を使って陸揚げしようとしたところ、カノムの港湾支局長が地元労務者を使って仮桟橋を占拠、MHPS側の資材陸揚げは実力で阻止された。
実はMHPSが使っていた物流業者が、仮桟橋の設置使用許可を港湾当局から適切に取得していなかったのだ。港湾支局長は「陸揚げしたいのなら2000万バーツを払え」と通告。これは、実質的には「賄賂」の要求だった。
資材を陸揚げできないと建設プロジェクトの納期が遅延、発注元との間で違約金が発生する――。困り果てたMHPS本社のプロジェクト及び調達部門の責任者は、膨大な遅延損害金を払う代わりに、要求に応じて賄賂を渡すことを決定。実際に1100万バーツ(約3900万円)がこの港湾支局長に渡った。
ところが、これを問題視する関係者がいた。その関係者の内部通報によってMHPS本社が事態を把握。日本の不正競争防止法が禁止している「外国公務員に対する贈賄」にあたるとして、MHPSは自主的に東京地検に情報を提供し、捜査に全面的に協力した。結果、折から始まった司法取引制度の適用を受けて、会社としての責任を免れることになった。これが今回の事件の構図である。」
司法取引導入で、サラリーマンが会社に「売られてしまう」時代が来た(2018年8月)(現代ビジネス)
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