不正防ぐ「内部統制」 金融庁、制度見直しへ議論開始(記事冒頭のみ)
13日に企業会計審議会の作業部会(内部統制部会のことでしょう)で内部統制報告制度見直しの議論が始まったという記事。
「議論に参加した複数の委員が「気候変動対応などの非財務情報を評価の範囲に含めるべきだ」と述べた。今後、報告書の訂正時の対応などを含めて年内にも結論をまとめる。」
現行の制度は、有報の財務情報に関する内部統制を会社が評価し,その結果を公表し、会計監査人がその評価結果について監査するというものです。会計監査人による監査は、財務諸表監査と一体で行うということが強調されていたと思います。
会社による評価の範囲を非財務情報に関する内部統制にまで拡げることは考えられますが、監査に関しては、そもそも、非財務情報について保証業務を行っていないのですから、その内部統制だけ監査の対象とするというのは、無理な話でしょう。
会社による内部統制評価にしても、非財務情報として何を開示すべきかを議論している段階なのに、先走りすぎでしょう。
いずれにしても、基本的なところから見直すのであれば、年内に結論を出すというのはあまりにも急ぎすぎです。もっと時間をかけて、議論すべきでしょう。
当サイトの関連記事(内部統制部会の会議資料など)
会議資料によると、COSOフレームワークの改訂版で、内部統制の目的のひとつを、非財務情報を含む「報告」に変えたそうです。金融庁には、この改訂版や全社的リスクマネジメントの内容を取り込みたいという意図があるのでしょう。
(内部統制部会会議資料より)
内部統制に関するフレームワークとしては、社会のニーズに対応して、守備範囲を拡げるのはよいことです。しかし、強制される制度としては、別によく考えるべきでしょう。
(補足)
NHKでも報じられたようです。
金融庁 内部統制報告制度の見直しへ 適正活用されないケースも(NHK)
「13日の会合では、金融庁から監査人の役割を強化し、経営者との議論の経緯を報告書に記載することや不適切な事例が発覚して報告書を訂正する際に、企業にその理由を開示させることなど制度改正に向けた論点が示されました。
金融庁は議論の結果を踏まえ、企業が内部管理の体制などを評価する際の基準についても見直しを検討することにしています。」