金融庁は、企業内容等開示ガイドラインの一部改正案を、2010年4月9日付で公表しました。
今年5月実施予定です。今回公表されたものは発行開示(届出書)に関する部分が多いのですが、継続開示(有価証券報告書等)についてもこの改正後に検討、実施するといっています。
改正内容ですが、まず「A.共通事項」として、金融庁や財務局による開示事務における共通的な運用方針が新たに定められています(別のところですでに示されているのかもしれませんが)。
例えば「基本的な考え方」として次のようなことが書かれています。
「開示行政を行うに当たっては、個別具体的に列挙された規定のみを機械的・画一的に適用するのではなく、法令の趣旨を踏まえ、投資者が投資判断を行うに当たり必要な情報が、投資者に理解しやすく、誤解を生じさせない形で、適切に開示されることを確保することが必要である。
このような目的を果たすためには、開示内容が、投資者の投資判断に当たっての必要性や社会常識等に照らして判断されたものであることが重要であり、開示しようとする項目・事項が個別具体的に規定されていないことや前例がないこと等をもって、開示する必要がないと考えることがないように留意する必要がある。また、提出者等にとって都合が悪い事項が開示されないことや、提出者等の主観的な判断及びその時々における一貫性のない判断によって開示が行われることなどにより、投資者の適切な投資判断を損なうことがないように注意を払う必要がある。」
これからは実質主義でどんどん摘発するという宣言でしょうか。
「基本ガイドライン」では、(監査法人がつき合っているような普通の企業には関係ないとは思いますが)「無届募集等について」という項目が新設されており、違法的な募集行為を発見した場合の具体的な対応が定められています。その留意事項では、「有価証券の内容や勧誘の実態を含む諸状況に照らし、実質的に同一種類と認められる有価証券を、6ヶ月以内に、50名未満の相手方に対し複数回に分けて勧誘することにより、少人数向け勧誘とはみなされないにもかかわらず、有価証券届出書等を提出しない場合」などは無届募集だといっています。
その他、「手取金の使途において、直接の使途に加え、最終的な使途が決定されている場合は、両者とも記載が必要であること」、「開示書類の訂正命令、効力停止命令等の不利益処分については、投資者の投資判断の影響度や提出者を巡る状況等を個別に検討すること」などが定められています。
後者の関係では、「連結財務諸表等に係る虚偽記載等がある可能性が判明した場合は、当連結財務諸表等に監査証明を行なった公認会計士又は監査法人(以下25-2において「監査法人等」という。)に対しても、深度あるヒアリング、若しくは必要に応じて、法第26条又は第193条の2第6項の規定に基づく報告を求めることとする」という規定もあります。
個別ガイドラインでは、「「株券等発行に係る第三者割当」の記載に関する取扱いガイドライン」という項目が新設されています。
上場会社が提出する大規模なものや割当先の実態に周知性がないもの等に該当する第三者割当増資を審査対象とすることが定められています。また、手取金の使途、割当予定先の状況、発行条件に関する記載、大規模な第三者割当の必要性に関する審査要領が述べられています。
このうち「割当予定先の状況」では、割当予定先の実在性、払込資金の実在性、特定団体等の確認内容等を審査するとされています。
未公開株トラブル急増 被害相談件数、前年度同期の2倍
【暴かれる証券犯罪】仕手筋の新手手法解明へ「市場浄化作戦」展開中
【暴かれる証券犯罪】新興市場銘柄をターゲット 無謀な増資に走った阪中被告
最近の「金融庁」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事