会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

「gumiショック」で迎えたIPO市場の正念場(日経ビジネスより)

「gumiショック」で迎えたIPO市場の正念場

gumiショック後の状況を取り上げた記事。

「足元のIPO相場は堅調に推移しているように見える。4月以降に新規上場した企業12社のうち9社で上場時の初値が公開価格を上回っており、直近に新規上場した企業の値動きを示すQUICK IPOインデックス(単純平均)も4月に入り上昇している。

ただgumiショックの影響はじわりと広がっている。冒頭の企業幹部が明かすように、弱気になった証券会社が、これまでよりも慎重に企業の上場時の株価を見積もるようになっている。」

上場審査基準を甘くしたこともショックの背景にあるそうです。監査法人についてもふれています。

「関係者の中には「ショックは起こるべくして起こった」と見る向きもある。東証は3年ほど前から新規上場の審査基準を緩和し、審査を簡略化した。06年のライブドア事件以降、低迷していたIPO市場をテコ入れするためだ。基本的に「上場企業の成長性の有無は証券会社の判断に任せる」(東証関係者)方針を打ち出した結果、上場企業数は増加し、15年度は9年ぶりに100社を超える企業が上場する見通しとなった。

・・・

 審査基準の緩和を機に、多くの企業が「今がチャンス」とばかりに上場準備に乗り出し、証券会社や監査法人の間でも顧客企業の獲得競争が激化したことがその背景にあると考えられる。上場する段階にない企業にも証券会社が営業をかけるなど、上場予備軍の「青田買い」が繰り広げられたという。

・・・「成長性を吟味したり、内部統制が整っているかどうかを慎重に見極めて指導したりするよりも、とにかく上場を優先させる動きが広がった」とある証券会社関係者は言う。証券会社、監査法人とも顧客企業を手一杯に抱えていたため、指導、審査がおざなりになったという指摘もある。」

たぶん監査法人も東証と同じで、会社の将来性を見極めるのは証券会社の役割で、監査人は上場時に公表する決算に粉飾がなければそれでいいと割り切っているのかもしれません。内部統制監査も一定の新規上場企業は免除されており、あまりうるさく指導しないのでは・・・。監査法人業界がリストラ騒ぎで揺れていた時期に、甘い言葉で勧誘し獲得したクライアントには、厳しいことは言いづらいだろうと推測されます。

こちらは上場予備軍の会社へのアンケート調査結果に関する記事。

「IPO」意向、業種別では"サービス業"が圧倒--予定市場は東証マザーズ半数超(マイナビ)

「IPOの目的を尋ねたところ、「知名度や信用度の向上」が72.4%で最多となり、次の「優秀な人材の確保」は66.3%と前年より14.9ポイント増加した。IPOの予定時期については、「今後5年以内」が42.3%を占めた。

IPOの予定市場を聞くと、「東証マザーズ」が51.0%で最も多く、調査開始以降で初めて半数を超えた。IPOの検討に当たり特に強化すべきと考える点としては、「コンプライアンス、内部監査体制の充実」が56.3%に上った。」

IPO予定市場、「東証マザーズ」が初の半数超え(帝国データバンク)
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