会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

独裁と「経営不在」の歪んだ聖域 大学法人にメスは入るか(フォーサイトより)

独裁と「経営不在」の歪んだ聖域 大学法人にメスは入るか

先日取り上げた別記事と同じ記者によるほぼ同じ趣旨の記事ですが)政府が「大学のガバナンス体制」の見直しにとりかかっているという記事。

背景は...

「政府は大学ファンドの創設と共に、国立大学改革や私立大学の改革に乗り出している。日本の大学の研究基盤が弱く、国際競争力が低い背景には、何と言っても資金力が桁外れに小さいことが挙げられる。国家が丸抱えで大学のレベルアップを図っている中国は別として、欧米の大学は「経営力」を高めることで、寄付や共同研究などの資金を集め、それを教育・研究に再投資することで、競争力を高めてきた。

一方、日本の国立大学は政府の限られた予算の中で、ジリ貧傾向が続いてきた。また、私立大学も資金醸成力が低く、政府の助成金に頼ってきた。長年にわたる「経営不在」が問い直されているわけだ。また、少子化が一段と進むことで、私立大学の経営環境は厳しさを増しつつあり、経営改革が喫緊の課題になっている。」

国立大学と並んで私立大学のガバナンス体制の見直しが焦点になっているそうです。

「私立大学は他の公益法人と同様に理事会が置かれ、理事会が経営執行を行うこととされている。ところが多くの伝統的な大手の私立大学では、教学トップの学長が経営トップの理事長を兼務しているケースが多く、「経営不在」が問題になっている。そうした経営不在をついて権力を握った理事長が独裁的な行動を取り、不祥事が発生する例も少なくない。一方、戦後創立の比較的歴史の浅い大学では、創業者やその親族が理事長として大きな権限を振るっているような事態もままある。つまり、現行では経営を担う理事会などのガバナンス体制が著しく不備なのだ。」

2019年のいわゆる「骨太の方針」で学校法人のガバナンスについて指摘がなされ、文科省でも有識者会議を設け、議論してきたそうです。また、今年の「骨太の方針2021」でも、学校法人のガバナンスの抜本改革を定めているとのことです。

先月、「学校法人ガバナンス改革会議」(座長は元会計士協会会長)というのが設けられ、法制化に動き出したのだそうです。(会計監査の話はやや唐突ですが)

「文科省は7月19日に「学校法人ガバナンス改革会議」(座長、増田宏一・元日本公認会計士協会会長)を設置、骨太の方針で求められた法案化に向けて動き出した。会議のメンバーにはガバナンス問題の専門家が集められ、現職の学校法人理事長など当事者や利害関係者は外された。公益法人としてのあり方を優先してガバナンス体制を構築する事を狙っているのだろう。通常は、「大学設置・学校法人審議会」などが大臣に答申する形が取られるが、同審議会はまさに当事者の集まりで、ここでガバナンスの議論をすれば、手足を縛られる本人たちに縄をなわせることになる。今回の改革会議は「他の審議会等を経ずに直接大臣に報告する」とされており、大学のガバナンスが一気に進む可能性が出てきた。

学校法人関係者は規模に応じて会計監査の義務付けなどの一部猶予も求めているが、助成金や税制優遇を受けている法人の決算書に監査が義務付けられない事に、国民の理解は得られないだろう。今後も月に2回のペースで改革会議が開かれる予定で、どんな議論が行われるのか、大いに注目したい。」

ガバナンス強化の見返りに、コストのかかる会計監査は縮小か...(公益法人と同じということであればそれもあり得る?)。
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