ゆうちょ銀行社長兼務とIFRS採用表明の裏側
株式上場を予定している日本郵政(JP)を取り上げた記事。IFRS採用を検討しているそうです。
「もう一つはIFRS(国際会計基準)の採用。西室社長は「今後、IFRSを採用していく。保険など確定していない分野もあり完全な移行にはしばらくかかるが、可能な限り早く、できるところから、さし当たりJPグループ連結から移行していきたい」とした。
IFRSを採用すると具体的に何が変わるのか。西室社長が挙げたのが、2月18日に今後の成長戦略の柱の一つとして発表した、JPの中核子会社である日本郵便による豪州物流大手トール社の買収の扱いだ。「のれん償却が財務面で心配だ、という評論が散見されたが、IFRSを採用した場合にはこの負担がなくなる」(西室社長)。
巨額6300億円の買収により、のれんは3000億円超発生する見込みだ。現行の日本基準であれば最長20年償却でも年償却額は150億円。一方で、JPの子会社である日本郵便の2015年3月期経常利益計画は60億円に過ぎない。日本郵便が連結決算を公表すれば、営業利益や経常利益段階での赤字もありうるだろう。」
非常にわかりやすいIFRS採用理由です。
しかし、IFRS採用で巨額買収の懸念事項がすべて解決とはいかないでしょう。たとえば、直接の親会社である日本郵便の単体決算(日本基準)において、子会社株式の減損処理が問題になるかもしれません。買収先が赤字を出さなくても、のれんの価値も含めた実質価値が取得原価と比べて著しく下がれば、一挙に損失処理しなければなりません。(先日参加した会計士協会東京会の研修でも、「非上場株式の減損処理」ということでそのような設例を解説していました。)
また、よくいわれているように、IFRSは、のれんの減損に関しては、日本基準よりも厳しいので、のれんの減損処理のリスクは日本基準の場合よりも高まることになります。
保険に関しては、日本郵政がIFRS採用なら、子会社であるかんぽにおける保険の会計処理も(日本郵政の連結目的では)IFRSにせざるを得ないのでは・・・。
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