ニデック株式会社が2023年6月2日に公表したニュースリリースについて(2023年6月3日)
(趣旨がよくわからないのですが)PwC京都監査法人は、違法配当・時価株式取得を行っていたというニデック(旧・日本電産)のプレスリリースに関するコメントを、発表しました。
「PwC京都監査法人は、ニデック株式会社が2023年6月2日に公表した「分配可能額を超えた前期の中間配当金、並びに前期の当社株式取得について」の記載を事前に認識しており、その記載と相違はありません。」
ニデックのプレスリリースでは、京都監査法人について「当社の会計監査人であるPwC 京都監査法人も分配可能額の超過を、見落としにより、指摘できていなかったことが判明しました」と述べています。
このプレスリリースの記載を京都監査法人は事前に認識しており(つまり、記載することを承諾したかどうかはわからないものの、少なくとも事前に知っており)、かつ、「見落としにより、指摘できていなかった」という記載は、(事実と?)相違はないということになるのでしょう。
同監査法人は、今後、必要な対応を行うそうです。
この京都監査法人のプレスリリースを受けて、ニデックもプレスリリースを出しています。
本日の一部報道機関における当社の分配可能額の監査に係る報道について(2023年6月3日)(ニデック)
「昨日当社より発表した「分配可能額を超えた前期の中間配当金、並びに前期の当社株式取得」について、一部報道機関において誤解を招く表現があることに関連して、PwC京都監査法人からお知らせが発表されておりますので以下にお知らせいたします。」(上記京都監査法人のリリースへのリンクを記載)
一部報道機関の誤解を招く表現というのは、6月2日の日経記事のことでしょうか。しかし、どこが誤解を招く表現なのでしょうか。報道におかしな点があるのなら、それを直接指摘すればよいのに、監査人のリリースを参照するというのは、ちょっとへんです。
そもそも問題がずれているような気がします。会社の当初のプレスリリースを読んで、違和感を感じたのは、監査人に責任転嫁しようとしているような記載になっていた点です。監査人に、違法配当の直接の責任はないはずです。少なくとも、社外の弁護士による外部調査をこれから実施するといっているわけですから、外部関係者の責任は、調査結果が出てからふれるべきものでしょう。それを、再度、監査法人に書かせたようなリリースをもとに、自社の主張を述べるというのは、おかしな話です。
監査法人も、日経に対しては、一般論を述べた上で、守秘義務を理由にコメントを拒否したわけですから、それを貫いた方がよかったように思われます。わざわざ、会社に迎合するようなリリースを出す必要はありません。監査の独立性が疑われます。
(補足)
今回の問題は違法な自己株式取得も含まれていますが、昨年、東洋経済が、自己株式取引のインサイダー疑惑を報じていました。
↓
当サイトの関連記事